根拠が定かでない誹謗(ひぼう)中傷を、許すわけにはいかない。
一部の雑誌やインターネットなどで、皇室へのバッシングとしか言いようのない批判が相次いでいる。
特に秋篠宮家に関する事実無根の内容が目立つ。言論の自由を看板にして許される話ではない。一部とはいえ、不敬で非礼な人間が跋扈(ばっこ)しているのは本当に残念だ。
秋篠宮家への中傷は、平成29年に眞子内親王殿下(当時)と小室圭さんが婚約した頃からエスカレートした。佳子内親王殿下の「お相手」とする興味本位の誤情報や、最近では悠仁親王殿下のご進学先をめぐる偽情報も多い。親王殿下は今、高校3年の大事な時期を過ごされているにもかかわらずだ。
秋篠宮皇嗣妃殿下は11日の誕生日を前に、宮内記者会の質問に対し、ネット上でのバッシングに悩む人々を案じた上で、「私たち家族がこうした状況に直面したときには、心穏やかに過ごすことが難しく、思い悩むことがあります」と文書で思いを明かされた。どれほどお辛(つら)いか、お察しするに余りある。
この問題で宮内庁の西村泰彦長官は11日の定例会見で「心を痛めている」と話した。
だが、宮内庁幹部が心痛しただけでは何も変わらない。あらぬバッシングから皇室の方々を守るための対策を、内閣や宮内庁は早急に講じるべきだ。
根拠のない皇室へのバッシングは以前もあった。平成5年には当時皇后の上皇后陛下が、週刊誌報道などが原因で失声症になられた。皇后陛下も皇太子妃時代から、いわれなき中傷を受けられた。
一般人であるなら名誉毀損(きそん)で訴えたり、損害賠償を請求したりもできよう。しかし皇室の方々は、そうした直接的な対抗手段をお持ちにならない。
宮内庁は平成19年以降、「あまりにも事実と異なる報道」に対し、必要に応じて「正確な事実関係を指摘する」ことにしているという。現状を見れば十分な対応がなされているとは言いがたい。報道に加え、SNSやインターネット動画の影響力が拡大している時代だ。偽情報が独り歩きしないよう、一層積極的に反論するなど対策の強化が求められる。
秋篠宮家をお守りし、日本の品格を取り戻したい。