シリーズ6作目の放送が、今月から始まったテレビアニメーション番組「ルパン三世」。おなじみの軽快で、洒脱(しゃだつ)なテーマ曲など劇中の音楽は、今回も作曲家でジャズピアニストの大野雄二(80)が手掛けている。「この話をするのは初めてだ」と大野が、40年以上黙して語らなかった音楽の秘密をいま明かす。
またやるのか!
「ルパン三世」は、アルセーヌ・ルパンの孫が活躍するアクション、ミステリー作品。漫画家、モンキー・パンチの代表作が原作で、最初にアニメ化されたのは昭和46年。ちょうど50年前だ。52年に放送したシリーズ2作目は、放送が3年も続くほどの人気に。以後、断続的にシリーズは回を重ねている。また「ルパン三世 カリオストロの城」など映画も作られた。
劇中の音楽は、シリーズ2作目からずっと大野が手掛けている。テーマ曲「ルパン三世のテーマ」については、シリーズのたびに新しい編曲を施している。
「新シリーズの話を聞いたときは、正直いって、またやるのかって思ったね。もう困っているんですから、こっちは。やり尽くしちゃって」
苦笑いするが、今回もロック色の強いエレキギターの演奏を前面に出した編曲で、おなじみのテーマ曲を新しい装いで聴かせる。エレキを選んだのは、物語の舞台が英国だから。「英国といえばロック」とひらめいた。
ジャズピアニストから作曲家へ
大野は16年、静岡県熱海市の旅館の家で生まれた。高校時代からジャズピアノを弾き、慶応大を卒業してプロになったが、45年頃、誘われてCM音楽の作曲の道に進んだ。
「制約だらけの世界なんだけど、こちらのアイデアでぎゃふんといわせてやるのがおもしろくて」
やがてドラマや映画の劇中音楽の作曲へと守備範囲を広げた。
一方、「ルパン三世」は、シリーズ2作目から番組制作が読売テレビ(大阪)から日本テレビ(東京)に代わった。
ちょうど大野は、日テレで連続ドラマの音楽を立て続けに担当しており、一新される「ルパン三世」への参加を請われた。
「ものすごくうれしかった」と振り返る。