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懲罰的賠償 日本で認めず 最高裁判断、米訴訟の弁済分

 日本企業が外国で損害賠償命令を受けた場合、日本ではどの範囲で支払い義務が生じるのか。米国などが採用している「懲罰的損害賠償」は、日本国内で適用されないとの判例はすでに示されているが、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は25日、米国で一部弁済した場合にも、請求総額に懲罰的損害分を含めないとの判断を示した。

 判決などによると、米カリフォルニア州所在の飲食店が、企業秘密を取得されたなどとして日本の不動産会社を提訴。同州の裁判所は不動産会社に懲罰的損害9万ドル(約980万円)を含む27万ドルの支払いを命じ、うち13万ドルの債権を、弁済のために差し押さえた。

 飲食店側は、残る14万ドルの債権の強制執行(回収)を日本国内で求め、訴訟となった。2審大阪高裁は、14万ドルの執行を認め、「同州の懲罰的損害賠償の債権までは否定できない」と指摘。外国裁判所の手続きで得た一部弁済金は、懲罰的損害を含む「債権全体に充てられたとみるほかない」としていた。

 これに対し、第3小法廷は、懲罰的損害賠償が日本で無効である以上、その債権が存在するとみることはできないと指摘。外国裁判所の手続きで一部弁済されたとしても「異なる解釈をする理由はない」として、懲罰的損害を除く賠償額からすでに弁済した額を差し引いた5万ドル分の執行判決をすべきだと判断し、高裁判決を破棄した。4裁判官全員一致の結論。

 ■懲罰的損害賠償制度 実質的な損害への賠償とは別に、加害者に制裁を加える目的の賠償も認める制度。英米法系の多くの国・地域が採用しており、実際の損害に対する賠償(補償的損害賠償)以上に高額が認定される場合もある。民事責任と刑事責任を厳格に分ける大陸法の流れを受けた日本にはこのような制度はなく、加害者への制裁は刑事上、行政上の手続きが担うとされている。

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