新年を迎えた春日神社=佐賀市富士町

 「弱点は完璧を目指した自分だった」

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 2025年が始まった。毎年どんな一年になっていくのか自分の中で考えるが、今年はいつもと違う年になりそうだ。「三十にして立つ。四十にして惑わず」という孔子の言葉がある。30歳で自己を確立し、自立する。40歳で迷いがなくなるという意味だそうだ。 

 10年前、30歳の私はシンガポールで自主企画の舞台やベトナムで舞台企画をしていたが、その夢も諦めなければならなくなり、日本に帰国。役者も劇団も諦めた時期だ。その後、番組制作の仕事を本格的に始めてディレクターになった。35歳で佐賀に移住し、会社を作った。自立したとは言い難いが、自分の足で人生を歩く起業家の道に進んだ。

 それまでは「逃げる」ことで自分の心が壊れないようにしてきた人生で、「私はここにいます」と誰かに見つけてもらいたいがために叫び続けた30代だったのかもしれない。佐賀という土地でたくさんの人が見つけてれた結果「変化し続ける人、山本卓」が現れた。

 そして今思うことは、「自分の100点なんてたかが知れている」ということだ。何でもやってみたいという探求心と完璧主義になりすぎる傲慢(ごうまん)さで、失敗するかしないかに執着するのであれば、周りの求めていることとズレが生じる。

 完璧ではなく、少し余白をもつことで、自分の中にある狭い世界から飛び出せるきっかけになるのではないか。周りと共生することで世界が広がると信じ、80点を目指そう。だって、佐賀には自分より面白い人がたくさんいるから。そんなみんなと過ごす2025年はまた一段と面白くなるだろう。今年40歳になる私にもう迷いはない。

 (音無てらすオーナー 山本卓)