Docker社、Appleシリコン搭載Mac用の「Docker Desktop」を開発中と表明。Rosetta 2による変換では十分に動かない模様

2020年11月17日

Docker社がオープンソースで開発しているDocker Desktopは、WindowsやMacで手軽にDockerコンテナ環境を構築できるツールです。

11月16日付で同社ブログに投稿された記事「Apple Silicon M1 Chips and Docker」で、同社はAppleの新製品、AppleシリコンのM1搭載Macについて、Docker Desktopの対応を進めていることを明らかにしました。

ただし完成までには少し時間がかかりそうです。

AppleはIntel Mac用のバイナリをM1搭載Macで動作するように変換するツール「Rosetta 2」を提供していますが、Docker DesktopはこのRosetta 2による変換では十分に動作しない模様とのこと。問題がどの程度なのかは分かりませんが、次のように説明されています。

Although Apple has released Rosetta 2 to help move applications over to the new M1 chips, this does not get us all the way with Docker Desktop.

AppleはRosetta 2をリリースすることでアプリケーションを新たなM1チップへ移行するのを支援していますが、Docker Desktopがこれによってあらゆる面で使えるようになるわけではありません。

その理由として、仮想マシン、Go言語、Electronなどが挙げられています。

新たな仮想化フレームワークやGo言語、ElectronのM1チップ対応が課題

Docker Desktopは、WindowsやMacの内部で仮想マシンを立ち上げ、そのうえでLinuxOSを起動し、そこにDockerコンテナ環境を構築しています。

この仮想マシンを立ち上げるために、WindowsではWSL(Windows Subsystem for Linux)を利用しており、Mac版ではOSに組み込まれたハイパーバイザフレームワークであるHyperkitを利用しています。

そしてM1搭載MacにDocker Desktopを対応させるには、新たなハイパーバイザフレームワークに対応させる作業が発生するとのこと(あるいはもしかしたら新OSのBig Surへの対応作業なのかもしれません)。

また、Docker Desktopのバックエンド部分はGo言語に依存しており、ダッシュボードの表示関連はElectronフレームワークを利用しているため、M1搭載Mac対応を正式に完了させるには、これらのM1チップ対応の進展を待たなくてはならないともしています。

Docker社では開発を迅速に進めるべく、M1チップ搭載のMac Miniを25台用意し、自動テストと継続的統合(CI)環境をセットアップしはじめるところだとのことです。

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