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車椅子ギャルが「うっせぇわ」に乗せた障害者の本音、乗車拒否騒動で見えた「“思いやり”で解決できないから世の中は炎上する」

 先天性の骨の病気によって車椅子生活を送る“さしみちゃん”は、グラフィックデザイナーとして働きながら、YouTuberとしても活動。彼女のチャンネル『脊損ギャルさしみちゃん』では、Adoの「うっせぇわ」に乗せて障害者の本音を赤裸々に歌った動画も、25歳女性ならではのファッショントークも、同じ熱量で発信されている。何かあると、ネットを中心に障害者VS健常者の構図になったり、妙な偏見もまだまだ残っている現在。そんな世の中をさしみちゃんはどう捉えているのか。障害者のリアルについて聞いた。

「純情な障害者気取ってスマイル」障害者側と健常者側、どちらにも共感できないジレンマ

――障害のあれこれをAdoさんの「うっせぇわ」に乗せた、歌ってみた動画がとても衝撃的かつ、面白かったです。「純情な障害者気取ってスマイル 障害者じゃ当然のルールです」「一切合切健康な あなたじゃ分からないかもね」「“障害”も“障がい”もクソどうでもいい」など、障害者あるあるを吐き出していて

 「あれはもう、ストロングゼロを飲んで書きました(笑)。歌がほんと難しくって、100テイクくらい撮ったのに、まさかの低クオリティーという(笑)。普段の動画だとキャッチーに伝えなきゃいけないので、なかなかあそこまでは言えないんですよ。でも、もともとの「うっせぇわ」がメッセージ性の強い歌詞なので、言っちゃえ!みたいな勢いがつきました」

――反響はいかがでしたか?

 「観てくれた人からは、歌詞が面白かったとか、車椅子の人の目線がよくわかったという反応が多くて、ヘタな歌をさらしてよかったなと思いました(笑)」

――とくに「純情な障害者気取ってスマイル」という歌詞には、ハッとさせられましたが。

 「障害者って、ものすごくいい人とか、逆に性に奔放だったり酒好きだったりする人のほうが、メディアとかにはもてはやされるんです。自分も“ギャル”を名乗ってブランディングはしてますけど、障害者だってみんな良いも悪いもない、一人の人間なんだよというのを伝えたかったんですよね」

――なぜ、YouTubeやTikTokなどで発信しているんですか?

 「世の中には『障害者差別をやめてほしい』とか『優先してほしい』という意見もありますし、反対に健常者側の意見もあるんですけど、私はどちらにも共感できなくて。そのフラストレーションを感じているなかで、テレビでたくさんのLGBTQの方が活躍しているのを見て思ったんです。この人たちは、マイノリティである自分への理解を求めていない。それなら私も私自身を発信して、一人の人間として興味を持ってもらえたら、もっと障害者のリアルを伝えられるかなと。エンタメとして私を楽しんでくれた人が、日々の生活のなかで『そういえばこの段差は、さしみちゃんだったら困るんじゃないかな?』とか、思い出してくれたらいいなって」

車椅子の乗車拒否騒動から感じる“見られている”意識、「笑顔で、お礼をするときには過剰に喜んで」

――そんなさしみちゃんが、自分は周りと違うと感じたのはいつ頃ですか?

 「正直、人と違うなと感じたのは高校以降、一人で行動することが増えてからでした。それまでは養護学校のようなところに通ったこともなく、普通に友だちと日々を過ごしてこれたし、車椅子であることに不自由を感じていなかったんです」

――周りのサポートが素晴らしかったのはもちろん、さしみちゃん自身が好きなものを見つけるのがうまかったり、障害を理由に諦めたりすることがなかったんでしょうね。

 「まさにその通りです。いつも自分の趣味や好きな人のことで頭がいっぱいで、あまり障害について考えていませんでした。周りと同じように走れなくても、『走れねえなぁ〜』って思うくらいで(笑)。人の言葉や扱いで傷つくことはありましたけど、それを障害のせいだとは思わなかったし、誰もが持つ悩みのひとつくらいにしか捉えてなかったんですよね」

――とはいえ、「純情な障害者気取ってスマイル」、というときもある?

 「そうですね(笑)。電車に乗るときは、なるべく笑顔でいるようにしています。昨年の車椅子の乗車拒否騒動(車椅子の女性が、JRの無人駅で車椅子は下車できないという理由で乗車そのものを拒否された件)があってから、電車や街中でも人に見られているという意識が強くなって。いつもハッピーな笑顔でいて、お礼をするときには過剰に喜んで、家に帰ったらぐったりする、みたいなことが続いたんです」

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