次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれたリアルバンド・Ave Mujica(アヴェムジカ)が24日、最新シングル「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」をリリースした。
Ave Mujicaは、ミュージックビデオや配信楽曲、映像、SNSを通じて提示される謎をユーザーが紐解くという、“現実”と“仮想”を交差させる形でコンテンツを展開させ、2023年6月4日に『Ave Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」』で初めてファンの前に姿を見せた。
しかし、この時点ではキャラクター/キャストともに謎に包まれており、同年9月14日に放送されたテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』#13でついに“結成”。佐々木李子(Gt&Vo、ドロリス/三角初華役)、渡瀬結月(Gt、モーティス/若葉睦役)、岡田夢以(Ba、ティモリス/八幡海鈴役)、米澤茜(Dr、アモーリス/祐天寺にゃむ役)、高尾奏音(Key、オブリビオニス/豊川祥子役)からなるバンドであると明かされ、今年1月27日に発表後初となる単独公演『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』を行った。
このライブでは、バンドとして初となるシングル作品「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」の発売や5ヶ月連続配信リリースの決定、神奈川と愛知での『Ave Mujica 2nd LIVE』の開催なども発表された。
Ave Mujicaのストーリーを描くテレビアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』が放送される2025年に向け、その勢いを加速度的に高めている現在。本インタビューでは佐々木を招き、最新作に抱いている思いはもちろん、バンドの現状や今後の展望について聞いていく。
■新たな手法とツールで創出した今までにない表現
――まずは、キャスト発表後初の単独ライブとなった『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』の感想から聞かせてください。
【佐々木】『Perdere Omnia』というタイトル(※ラテン語で「すべてを破壊する」という意味)の通り、「既存の世界を破壊し、5人で新たな世界、理想郷を作っていく」という姿勢を表現できたライブだったと感じています。5人で何度も相談しながら作っていったので、当日は緊張よりもワクワクした気持ちでいっぱいでした。
――『1st LIVE』で大きな変化だと感じたのは、ヘッドセットマイクの導入でした。
【佐々木】確かにマイクの変更も大きなポイントでした。私たちは、アニメだけでなくライブでもAve Mujicaの世界をたくさん考察してほしいと思っていて、ふとした動作の中にキャラクター同士の関係性や曲の背景などを入れ込んでいるんです。背中合わせでギターを弾く、アイコンタクトする…といった動きも決してその場の思いつきではなくて、しっかり話し合って作り込んでいるんですね。
――だとすれば、メインマイクの変更によって得られるメリットは大きいですね。
【佐々木】スタンドマイクだとそういった動きをするのが難しいタイミングも出てきますが、ヘッドセットなら自由度がとても高いですから。リハーサルで一度試してみたところ、Ave Mujicaの世界観や今回のライブのコンセプトにも合っているんじゃないかということで、新たな試みとして挑戦しました。
――マイクとの距離感で声色や音量、ニュアンスを変化させることもボーカリストの武器になりますが、その点でヘッドセットマイクならではの難しさは感じましたか?
【佐々木】全編を通してヘッドセットで歌うのは初めてだったので、慣れるまで少し時間がかかりました。ただ、最後に歌った「Angles」でハンドマイクに切り替えたように、“曲ごとに見せ方を変えられる”という新たな武器が得られたと思っています。スタンドマイクでどっしりと歌うことが映える曲もありますが、ヘッドセットを使うことでファンのみなさんとの心の距離を近づけられた気がしたんです。
――曲の合間に寸劇を織り交ぜていく展開も新しかったです。
【佐々木】寸劇が入ることで音源以上に気持ちが込められた曲も多かったです。Ave Mujicaのライブは、例えば私が演じている三角初華ちゃんがドロリスという役を演じているように、「キャラクターが演じているキャラクターを演じる」というところも個性の1つになっていると思うので、お客さんと一緒に私たち自身もこの世界観に入り込んでいけるように意識しています。
■バンドの姿勢を如実に描き出す新曲たち
――『1st LIVE』では今回のシングルに収録される新曲2曲も披露されましたが、手応えはいかがでしたか?
【佐々木】「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」は、歌詞に<壊せ 壊せと いつも叫んでる>とあるように、本当にこのライブにピッタリの曲だったと思います。演奏中は「5人全員で壊して1つの新たな世界を作る」という意識をしっかりと持ちたかったので、ほかの曲以上にメンバーと目を合わせながら歌っていました。ブレイクの箇所でリフを弾くモーティスを見つめたり、ドラムがハッキリと響いてくる場面で全員がアモーリスの方を向いて演奏したり…。そうやって「それぞれの思いを持って壊す」という強い覚悟と意思を表現できたらと思っていたんです。
――「Angles」は『1st LIVE』のラストナンバーで、10曲目の「黒のバースデイ」から「Angles」へつなげるという流れも、聞き手を没入させる大きなポイントになっていたと思います。
【佐々木】この曲は、オブリビオニス(高尾)とドロリスの関係性が中心にあるパワーバラードなので、「今までの世界と別れを告げる」というニュアンスをすごく大切にしましたし、「生と死」がテーマになっている曲だからこそ、その間の寸劇も含めて1つひとつの言葉をより大切にしていました。
――演奏面ではいかがでしたか?
【佐々木】今回の2曲に関しては、全体のアンサンブルで聞かせるアプローチが主体になっているので、「Angles」の間奏でギターを武器のように振り回しながらチョーキングをするなど、“見せ方”に重きを置いて演奏しました。あと、個人的に「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」でリフを弾くゆづむん(渡瀬)にハッとさせられたんです。練習中にいろいろな表情を試しているのは側で見ていたんですが、本番はもう…今まで見たことのないような、鳥肌が立つくらいの視線だったんですよ。
――そのときの感情の昂ぶりが演奏や表情に現れるのも“ライブ感”と言えます。
【佐々木】個人的に、Ave Mujicaはあえて感情を抑え込んでいるからこそ輝く部分があると思うんですね。あのときのゆづむんの視線は、まさにそれを感じさせてくれるものでした。きっとこの楽曲たちもライブごとに見え方や聴こえ方が変わってくると思うので、自分たちとしてもすごく楽しみです。
■レコーディングを通じて見つけ出したボーカリストとしての可能性
――『1st LIVE』では5ヶ月連続の配信リリースも告知され、その第1弾「Symbol I : △」が4月7日にリリースされました。佐々木さん、一体何種類の歌声を持っているんですか?(笑)
【佐々木】私の中で“歌い分けている”という意識はあまりないんですよ(笑)。いろいろなテーマの楽曲があり、毎回それぞれの曲の主人公になれるように精神統一して歌っているので、結果、自然と曲ごとに色や景色が変わっているのかな…と。
――同じ音域やキーであったとしても、ある曲ではハイトーン、別の曲ではミックスボイスで歌うなど、声の使い分け方が印象的です。
【佐々木】全体的な声色などは無意識的に生まれるものが多いんですが、セクションごとの声の使い分け方については意識している場面もたくさんあります。それはやっぱり、Diggy-MO’さんが書いてくださる歌詞の影響が強いんですね。自然と1つひとつの言葉を大切に歌いたいという気持ちになり、流し聴きできないような、ハッとさせる瞬間をたくさん作りたいと思わせてくれるんです。
――レコーディングだと歌詞のワード単位で歌い方を考えていくのですか?
【佐々木】細かく決め込む部分はありつつ、考えすぎて型にハマりすぎてしまうのもよくないなと思うので、Ave Mujicaの音楽を楽しみながら歌うことを基本にしつつ、こだわるところは絶対に曲げない…という向き合い方ですね。
――これまでにレコーディングした曲も含め、ボーカルディレクションで新たな気づきを得た瞬間などはありましたか?
【佐々木】“気づき”とは少し違うかもしれませんが、「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」のレコーディングはすごく記憶に残っています。この曲は、録り終わってデータのチェックをしていただいている中で、私もやり切れたと思っていたんですね。でも、プロデューサーさんから「もう1回だけ歌ってみませんか?」と提案していただいて、最後に力を振り絞ったそのテイクが採用されたんです。そのとき、「Ave Mujicaの楽曲はこんなにも自分の可能性を広げてくれるんだ」「もっと限界突破できるかもしれない」と思えて…。
――ボーカリストとしての可能性が見い出せた?
【佐々木】それまでの私は、わりと“及第点”を目指しがちなタイプだったんです。でも、Ave Mujicaのレコーディングを通して、「自分自身の限界を決めたくない」「誰も行ったことがない領域まで行きたい」と思うようになりましたし、「最後まで妥協せずに完成させたものを届けたい」という気持ちがすごく強くなったなと思います。
――そういった思いがバンドに対する理想像につながる部分も?
【佐々木】はい、あります。自分1人で夢を持っていても前には進めないですし、この5人で進みたいんですよ。同じ気持ちで、同じ場所を見て、同じ思いを重ねながら。そのために、私は限界を作らないボーカリストでありたいですし、世界すらも飛び越えてもう…宇宙ぐらいの規模で歌を届けられる人になりたいです(笑)。
■「Ave Mujicaにしか作れないライブを…」 限界を超えて突き進む未来
――限界を作らないという点で、今の自分に足りていないと感じる部分はありますか?
【佐々木】足りない部分は…たくさんあります(笑)。それこそ毎週やっているバンド練習で、メンバーのみんなから学ぶ部分がすごく多いんです。のんたん(高尾)の緩急をつけたパフォーマンスを見て、「ガムシャラに継ぎ足せばいいということじゃないんだ」と学びましたし、茜ちゃん(米澤)は作り込まれたパフォーマンスの中に音楽を純粋に楽しんでいないと出てこない仕草があって、いつも参考にさせてもらっています。
――プロジェクト外のロックフェスや音楽イベントに出演する機会も増えてきましたが、そこで影響を受けることもありますか?
【佐々木】神戸の『MEGA VEGAS 2024』で初めてモッシュを目の当たりにして、いいなぁ…と思いました(笑)。というのも、お客さんが激しくノッてくださる姿を見て、私も自然と叫んでいたりして、“ライブ感”をすごく感じられたんですね。あと、シャウトがすごくカッコいいバンドさんを見たときに、Ave Mujicaにも採り入れられるかな…って考えたりもしました(笑)。
――Ave Mujicaの音楽性ならば、シャウトやグロウルなども選択肢の一つとして十分にあり得ますよね。
【佐々木】私、メンバーの姿を見ていると、超越した存在になれるバンドだなってすごく思うんですね。だからシャウトもそうですし、例えば「神さま、バカ」という曲でフライングをしてみたら…みたいな突飛な演出も空想しています(笑)。“Ave Mujicaらしさ”を大前提とした上で、自分たちで制限をつけずに楽しみながら作っていきたいです。
――6月8日と7月7日に行われる『Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」』がますます楽しみになりますし、来年放送のテレビアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』への期待も高まります。
【佐々木】Ave Mujicaにしか作れないライブをやっていきたいですし、開幕前の雰囲気やライブ中のパフォーマンス、演出、終わった後の余韻すらも楽しめるような世界、心臓がいくつあっても足りないような音楽を作っていきたいです。あと、これは個人的な思いでもあるんですが、絶望に苛まれてどん底にいるときに、Ave Mujicaの曲は「歪んだままでもいいんだよ」と言ってくれるような気がしていて、私自身もすごく救われたんです。なので、私たちの音楽が今絶望を感じている人たちに響いてくれたら、救いになってくれたらいいなと思っています。
■『Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」』日程
6月8日(土) 神奈川県民ホール 大ホール
7月7日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
Ave Mujicaは、ミュージックビデオや配信楽曲、映像、SNSを通じて提示される謎をユーザーが紐解くという、“現実”と“仮想”を交差させる形でコンテンツを展開させ、2023年6月4日に『Ave Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」』で初めてファンの前に姿を見せた。
しかし、この時点ではキャラクター/キャストともに謎に包まれており、同年9月14日に放送されたテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』#13でついに“結成”。佐々木李子(Gt&Vo、ドロリス/三角初華役)、渡瀬結月(Gt、モーティス/若葉睦役)、岡田夢以(Ba、ティモリス/八幡海鈴役)、米澤茜(Dr、アモーリス/祐天寺にゃむ役)、高尾奏音(Key、オブリビオニス/豊川祥子役)からなるバンドであると明かされ、今年1月27日に発表後初となる単独公演『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』を行った。
このライブでは、バンドとして初となるシングル作品「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」の発売や5ヶ月連続配信リリースの決定、神奈川と愛知での『Ave Mujica 2nd LIVE』の開催なども発表された。
Ave Mujicaのストーリーを描くテレビアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』が放送される2025年に向け、その勢いを加速度的に高めている現在。本インタビューでは佐々木を招き、最新作に抱いている思いはもちろん、バンドの現状や今後の展望について聞いていく。
■新たな手法とツールで創出した今までにない表現
――まずは、キャスト発表後初の単独ライブとなった『Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」』の感想から聞かせてください。
【佐々木】『Perdere Omnia』というタイトル(※ラテン語で「すべてを破壊する」という意味)の通り、「既存の世界を破壊し、5人で新たな世界、理想郷を作っていく」という姿勢を表現できたライブだったと感じています。5人で何度も相談しながら作っていったので、当日は緊張よりもワクワクした気持ちでいっぱいでした。
――『1st LIVE』で大きな変化だと感じたのは、ヘッドセットマイクの導入でした。
【佐々木】確かにマイクの変更も大きなポイントでした。私たちは、アニメだけでなくライブでもAve Mujicaの世界をたくさん考察してほしいと思っていて、ふとした動作の中にキャラクター同士の関係性や曲の背景などを入れ込んでいるんです。背中合わせでギターを弾く、アイコンタクトする…といった動きも決してその場の思いつきではなくて、しっかり話し合って作り込んでいるんですね。
――だとすれば、メインマイクの変更によって得られるメリットは大きいですね。
【佐々木】スタンドマイクだとそういった動きをするのが難しいタイミングも出てきますが、ヘッドセットなら自由度がとても高いですから。リハーサルで一度試してみたところ、Ave Mujicaの世界観や今回のライブのコンセプトにも合っているんじゃないかということで、新たな試みとして挑戦しました。
――マイクとの距離感で声色や音量、ニュアンスを変化させることもボーカリストの武器になりますが、その点でヘッドセットマイクならではの難しさは感じましたか?
【佐々木】全編を通してヘッドセットで歌うのは初めてだったので、慣れるまで少し時間がかかりました。ただ、最後に歌った「Angles」でハンドマイクに切り替えたように、“曲ごとに見せ方を変えられる”という新たな武器が得られたと思っています。スタンドマイクでどっしりと歌うことが映える曲もありますが、ヘッドセットを使うことでファンのみなさんとの心の距離を近づけられた気がしたんです。
――曲の合間に寸劇を織り交ぜていく展開も新しかったです。
【佐々木】寸劇が入ることで音源以上に気持ちが込められた曲も多かったです。Ave Mujicaのライブは、例えば私が演じている三角初華ちゃんがドロリスという役を演じているように、「キャラクターが演じているキャラクターを演じる」というところも個性の1つになっていると思うので、お客さんと一緒に私たち自身もこの世界観に入り込んでいけるように意識しています。
■バンドの姿勢を如実に描き出す新曲たち
――『1st LIVE』では今回のシングルに収録される新曲2曲も披露されましたが、手応えはいかがでしたか?
【佐々木】「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」は、歌詞に<壊せ 壊せと いつも叫んでる>とあるように、本当にこのライブにピッタリの曲だったと思います。演奏中は「5人全員で壊して1つの新たな世界を作る」という意識をしっかりと持ちたかったので、ほかの曲以上にメンバーと目を合わせながら歌っていました。ブレイクの箇所でリフを弾くモーティスを見つめたり、ドラムがハッキリと響いてくる場面で全員がアモーリスの方を向いて演奏したり…。そうやって「それぞれの思いを持って壊す」という強い覚悟と意思を表現できたらと思っていたんです。
――「Angles」は『1st LIVE』のラストナンバーで、10曲目の「黒のバースデイ」から「Angles」へつなげるという流れも、聞き手を没入させる大きなポイントになっていたと思います。
【佐々木】この曲は、オブリビオニス(高尾)とドロリスの関係性が中心にあるパワーバラードなので、「今までの世界と別れを告げる」というニュアンスをすごく大切にしましたし、「生と死」がテーマになっている曲だからこそ、その間の寸劇も含めて1つひとつの言葉をより大切にしていました。
佐々木のメインギターはアルダー2Pボディー+648ミリスケールのメイプルネックを持つSCHECTER AR-07 Ave Mujica Proto Model (C)ORICON NewS inc.
【佐々木】今回の2曲に関しては、全体のアンサンブルで聞かせるアプローチが主体になっているので、「Angles」の間奏でギターを武器のように振り回しながらチョーキングをするなど、“見せ方”に重きを置いて演奏しました。あと、個人的に「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」でリフを弾くゆづむん(渡瀬)にハッとさせられたんです。練習中にいろいろな表情を試しているのは側で見ていたんですが、本番はもう…今まで見たことのないような、鳥肌が立つくらいの視線だったんですよ。
――そのときの感情の昂ぶりが演奏や表情に現れるのも“ライブ感”と言えます。
【佐々木】個人的に、Ave Mujicaはあえて感情を抑え込んでいるからこそ輝く部分があると思うんですね。あのときのゆづむんの視線は、まさにそれを感じさせてくれるものでした。きっとこの楽曲たちもライブごとに見え方や聴こえ方が変わってくると思うので、自分たちとしてもすごく楽しみです。
■レコーディングを通じて見つけ出したボーカリストとしての可能性
――『1st LIVE』では5ヶ月連続の配信リリースも告知され、その第1弾「Symbol I : △」が4月7日にリリースされました。佐々木さん、一体何種類の歌声を持っているんですか?(笑)
【佐々木】私の中で“歌い分けている”という意識はあまりないんですよ(笑)。いろいろなテーマの楽曲があり、毎回それぞれの曲の主人公になれるように精神統一して歌っているので、結果、自然と曲ごとに色や景色が変わっているのかな…と。
――同じ音域やキーであったとしても、ある曲ではハイトーン、別の曲ではミックスボイスで歌うなど、声の使い分け方が印象的です。
【佐々木】全体的な声色などは無意識的に生まれるものが多いんですが、セクションごとの声の使い分け方については意識している場面もたくさんあります。それはやっぱり、Diggy-MO’さんが書いてくださる歌詞の影響が強いんですね。自然と1つひとつの言葉を大切に歌いたいという気持ちになり、流し聴きできないような、ハッとさせる瞬間をたくさん作りたいと思わせてくれるんです。
――レコーディングだと歌詞のワード単位で歌い方を考えていくのですか?
【佐々木】細かく決め込む部分はありつつ、考えすぎて型にハマりすぎてしまうのもよくないなと思うので、Ave Mujicaの音楽を楽しみながら歌うことを基本にしつつ、こだわるところは絶対に曲げない…という向き合い方ですね。
――これまでにレコーディングした曲も含め、ボーカルディレクションで新たな気づきを得た瞬間などはありましたか?
【佐々木】“気づき”とは少し違うかもしれませんが、「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」のレコーディングはすごく記憶に残っています。この曲は、録り終わってデータのチェックをしていただいている中で、私もやり切れたと思っていたんですね。でも、プロデューサーさんから「もう1回だけ歌ってみませんか?」と提案していただいて、最後に力を振り絞ったそのテイクが採用されたんです。そのとき、「Ave Mujicaの楽曲はこんなにも自分の可能性を広げてくれるんだ」「もっと限界突破できるかもしれない」と思えて…。
――ボーカリストとしての可能性が見い出せた?
【佐々木】それまでの私は、わりと“及第点”を目指しがちなタイプだったんです。でも、Ave Mujicaのレコーディングを通して、「自分自身の限界を決めたくない」「誰も行ったことがない領域まで行きたい」と思うようになりましたし、「最後まで妥協せずに完成させたものを届けたい」という気持ちがすごく強くなったなと思います。
――そういった思いがバンドに対する理想像につながる部分も?
【佐々木】はい、あります。自分1人で夢を持っていても前には進めないですし、この5人で進みたいんですよ。同じ気持ちで、同じ場所を見て、同じ思いを重ねながら。そのために、私は限界を作らないボーカリストでありたいですし、世界すらも飛び越えてもう…宇宙ぐらいの規模で歌を届けられる人になりたいです(笑)。
■「Ave Mujicaにしか作れないライブを…」 限界を超えて突き進む未来
――限界を作らないという点で、今の自分に足りていないと感じる部分はありますか?
【佐々木】足りない部分は…たくさんあります(笑)。それこそ毎週やっているバンド練習で、メンバーのみんなから学ぶ部分がすごく多いんです。のんたん(高尾)の緩急をつけたパフォーマンスを見て、「ガムシャラに継ぎ足せばいいということじゃないんだ」と学びましたし、茜ちゃん(米澤)は作り込まれたパフォーマンスの中に音楽を純粋に楽しんでいないと出てこない仕草があって、いつも参考にさせてもらっています。
――プロジェクト外のロックフェスや音楽イベントに出演する機会も増えてきましたが、そこで影響を受けることもありますか?
【佐々木】神戸の『MEGA VEGAS 2024』で初めてモッシュを目の当たりにして、いいなぁ…と思いました(笑)。というのも、お客さんが激しくノッてくださる姿を見て、私も自然と叫んでいたりして、“ライブ感”をすごく感じられたんですね。あと、シャウトがすごくカッコいいバンドさんを見たときに、Ave Mujicaにも採り入れられるかな…って考えたりもしました(笑)。
――Ave Mujicaの音楽性ならば、シャウトやグロウルなども選択肢の一つとして十分にあり得ますよね。
【佐々木】私、メンバーの姿を見ていると、超越した存在になれるバンドだなってすごく思うんですね。だからシャウトもそうですし、例えば「神さま、バカ」という曲でフライングをしてみたら…みたいな突飛な演出も空想しています(笑)。“Ave Mujicaらしさ”を大前提とした上で、自分たちで制限をつけずに楽しみながら作っていきたいです。
――6月8日と7月7日に行われる『Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」』がますます楽しみになりますし、来年放送のテレビアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』への期待も高まります。
【佐々木】Ave Mujicaにしか作れないライブをやっていきたいですし、開幕前の雰囲気やライブ中のパフォーマンス、演出、終わった後の余韻すらも楽しめるような世界、心臓がいくつあっても足りないような音楽を作っていきたいです。あと、これは個人的な思いでもあるんですが、絶望に苛まれてどん底にいるときに、Ave Mujicaの曲は「歪んだままでもいいんだよ」と言ってくれるような気がしていて、私自身もすごく救われたんです。なので、私たちの音楽が今絶望を感じている人たちに響いてくれたら、救いになってくれたらいいなと思っています。
■『Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」』日程
6月8日(土) 神奈川県民ホール 大ホール
7月7日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール

2024/04/24