17年ぶりにアニメ『セーラームーン』が帰ってきた。7月5日に配信開始後、2日間で全世界約100万試聴を記録した『美少女戦士セーラームーン Crystal』第1話だが、その視聴方法はテレビの前ではなく、パソコンやスマートフォンの前だった。原作の漫画は1992年に武内直子氏が月刊誌『なかよし』(講談社)で連載開始。92〜97年に放送されたテレビアニメほか、さまざまなメディアミックスが展開され、いまもなお根強い人気を誇る。多くのファンが待っているにもかかわらず、テレビ放映しないのはなぜか。その狙いを同作のプロデューサーを務める、東映アニメーションの神木優氏に聞いた。
■土曜夜7時に“帰ってくる”のがベスト
――ファン待望の新作アニメ『セーラームーン』。すばり、ターゲット層は?
【神木】セーラームーンを知っている方にも知らない方にも観ていただきたいです。ですが、あえて言うならば、昔『セーラームーン』に夢中だった少女たちにもう1度観てほしいという思いがあります。
――というと、アラサー世代ということでしょうか。
【神木】はい。セーラームーンを観ていた少女たちは、現在20代前半から30代前半となっています。しかし、その世代は昔はアニメを見ていたが、大人になり卒業している人の多いアニメーションにはとって難しい層。『セーラームーン』はそんな女性たちに訴えられる数少ない作品だと思います。
――しかし、多くの方に観てほしいのなら、なぜテレビ放映しないのでしょうか?
【神木】ずばり、世界同時配信を実現したかったからです。ネット配信をすることにより、ほか国の方も同時に観られるというメリットがあります。『セーラームーン』はワールドワイドなコンテンツなので、それを生かしたかったのが一番の理由です。
――前アニメは世界40ヶ国以上で展開され、新作は、英語、中国語、フランス語など計12言語で配信されていますね。
【神木】日本だけの人気ではないので、世界同時配信の盛り上がりが欲しかったんです。また、ニコニコ動画でネット配信をするというを選択することで、放送時間を選ぶことが可能となります。検討の結果、90年代のアニメが放送されていた“土曜夜7時に帰ってくる”のがベストだと決めました。
――当時のファンにとって、なじみ深い時間帯ですね。
【神木】そうですね。また、『セーラームーン』は当時から新しい要素を取り入れ挑戦を重ねてきた作品でもあると思います。当時、家庭に普及していなかったパソコンが登場したり、(水野)亜美ちゃんがポケットコンピューターを持っていたりと新鮮でした。そもそも、魔法少女のジャンルはありましたが、“戦う女の子”が出てきたもの新しかったですし、この時代にも何か新しいことを取り入れたかった。ネット配信という選択を最大限活かすことのできる施策を今後も模索していきたいと思います。
■かつてのファンを絶対に裏切ってはいけない
――ビッグタイトルをゼロからアニメ化するのは、相当重圧があったかと。
【神木】ありましたね〜(苦笑)。ありましたが、新しいコンセプトのもと制作している作品ですので、昔のアニメが大好きだった方には、前作と異なる雰囲気を感じ取った上で観てほしいですね。キャラクターデザインもそうですが、音楽や色づかいなども含め本作の世界観だからこそ、改めて一新しています。観ていただいた方が違和感なく本作の世界に入ることができて初めてスタートラインに立ったということでしょうか。
――ざっくりとした質問ですが、1番苦労した点は何でしょうか?
【神木】ん〜、いろいろ思い出されますね(笑)。でも、やはり“かつてのファンに向けて新しいものをお届けする”ところに悩みました。『セーラームーンCrystal』は新しいコンセプトの新作ではあるのですが、これまでセーラームーンを応援してくださっていた方を裏切ることは絶対に避けたいと思っていました。そのため、変身シーンなどは前作から要素を取り入れるなど、「懐かしさ」と「新しさ」を両立することを心がけました。
――『セーラームーン』が時を経て帰ってきた。これは、プロデューサーの視点からみるとどんな意味があるのでしょうか?
【神木】「セーラームーン生誕20周年」ということで、アニメも含めプロジェクトが動いておりますが、「20年」という節目に私は意味を感じています。かつてリアルで『セーラームーン』を観ていた少女たちは、いまはアラサー世代。この世代は、いま選択を迫られる時期だと思うんです。転職するのか、結婚するのか…。いろんな選択肢が広がっていて、思い悩み、勇気をふり絞らなくてはいけない。もう1歩踏み出さなくてはいけない時期に、『セーラームーン』が帰って来るのは、この世代にとって、とても勇気を与えてくれること。「また、うさぎちゃんが背中を押してくれるんだ!」って思えることではないでしょうか。
◆美少女戦士セーラームーンCrystal
2012年にスタートした『美少女戦士セーラームーン』20周年プロジェクトの一環として製作される新作アニメ。毎月第1、3土曜日にニコニコ動画にて配信される(タイムシフト視聴期間2週間、バンダイチャンネルでも配信)。監督は境宗久氏、主題歌はももいろクローバーZが担当。
【公式サイト】http://sailormoon-official.com/animation/
■土曜夜7時に“帰ってくる”のがベスト
――ファン待望の新作アニメ『セーラームーン』。すばり、ターゲット層は?
【神木】セーラームーンを知っている方にも知らない方にも観ていただきたいです。ですが、あえて言うならば、昔『セーラームーン』に夢中だった少女たちにもう1度観てほしいという思いがあります。
――というと、アラサー世代ということでしょうか。
【神木】はい。セーラームーンを観ていた少女たちは、現在20代前半から30代前半となっています。しかし、その世代は昔はアニメを見ていたが、大人になり卒業している人の多いアニメーションにはとって難しい層。『セーラームーン』はそんな女性たちに訴えられる数少ない作品だと思います。
――しかし、多くの方に観てほしいのなら、なぜテレビ放映しないのでしょうか?
【神木】ずばり、世界同時配信を実現したかったからです。ネット配信をすることにより、ほか国の方も同時に観られるというメリットがあります。『セーラームーン』はワールドワイドなコンテンツなので、それを生かしたかったのが一番の理由です。
――前アニメは世界40ヶ国以上で展開され、新作は、英語、中国語、フランス語など計12言語で配信されていますね。
【神木】日本だけの人気ではないので、世界同時配信の盛り上がりが欲しかったんです。また、ニコニコ動画でネット配信をするというを選択することで、放送時間を選ぶことが可能となります。検討の結果、90年代のアニメが放送されていた“土曜夜7時に帰ってくる”のがベストだと決めました。
――当時のファンにとって、なじみ深い時間帯ですね。
【神木】そうですね。また、『セーラームーン』は当時から新しい要素を取り入れ挑戦を重ねてきた作品でもあると思います。当時、家庭に普及していなかったパソコンが登場したり、(水野)亜美ちゃんがポケットコンピューターを持っていたりと新鮮でした。そもそも、魔法少女のジャンルはありましたが、“戦う女の子”が出てきたもの新しかったですし、この時代にも何か新しいことを取り入れたかった。ネット配信という選択を最大限活かすことのできる施策を今後も模索していきたいと思います。
■かつてのファンを絶対に裏切ってはいけない
――ビッグタイトルをゼロからアニメ化するのは、相当重圧があったかと。
【神木】ありましたね〜(苦笑)。ありましたが、新しいコンセプトのもと制作している作品ですので、昔のアニメが大好きだった方には、前作と異なる雰囲気を感じ取った上で観てほしいですね。キャラクターデザインもそうですが、音楽や色づかいなども含め本作の世界観だからこそ、改めて一新しています。観ていただいた方が違和感なく本作の世界に入ることができて初めてスタートラインに立ったということでしょうか。
――ざっくりとした質問ですが、1番苦労した点は何でしょうか?
【神木】ん〜、いろいろ思い出されますね(笑)。でも、やはり“かつてのファンに向けて新しいものをお届けする”ところに悩みました。『セーラームーンCrystal』は新しいコンセプトの新作ではあるのですが、これまでセーラームーンを応援してくださっていた方を裏切ることは絶対に避けたいと思っていました。そのため、変身シーンなどは前作から要素を取り入れるなど、「懐かしさ」と「新しさ」を両立することを心がけました。
――『セーラームーン』が時を経て帰ってきた。これは、プロデューサーの視点からみるとどんな意味があるのでしょうか?
【神木】「セーラームーン生誕20周年」ということで、アニメも含めプロジェクトが動いておりますが、「20年」という節目に私は意味を感じています。かつてリアルで『セーラームーン』を観ていた少女たちは、いまはアラサー世代。この世代は、いま選択を迫られる時期だと思うんです。転職するのか、結婚するのか…。いろんな選択肢が広がっていて、思い悩み、勇気をふり絞らなくてはいけない。もう1歩踏み出さなくてはいけない時期に、『セーラームーン』が帰って来るのは、この世代にとって、とても勇気を与えてくれること。「また、うさぎちゃんが背中を押してくれるんだ!」って思えることではないでしょうか。
◆美少女戦士セーラームーンCrystal
2012年にスタートした『美少女戦士セーラームーン』20周年プロジェクトの一環として製作される新作アニメ。毎月第1、3土曜日にニコニコ動画にて配信される(タイムシフト視聴期間2週間、バンダイチャンネルでも配信)。監督は境宗久氏、主題歌はももいろクローバーZが担当。
【公式サイト】http://sailormoon-official.com/animation/
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2014/08/02