我々の日常生活や社会の基盤となる科学技術の高度化・複雑化に伴い、科学技術イノベーション人材の活躍は一層重要となっています。我が国が科学技術による成果やイノベーションを継続的に生み出していくためには、大学、公的研究機関や民間企業など様々なセクターにおいて日本や世界をリードする人材の育成に今まで以上に力を入れ、その能力を発揮できる環境を整えることが重要な課題となります。
一方で、将来の活躍が期待される科学技術イノベーション人材の育成のためには、制度やキャリアの状況を把握するだけではなく、人材育成の現場やキャリアパス構築を進める上での問題点や課題を的確に把握し、課題を解決する道筋を示すことが必要です。このような問題意識の下、当研究所では、大学や大学院等の科学技術イノベーション人材の育成や研究者の国際移動を含むキャリアパスの実態等を調査し、我が国の科学技術イノベーションの推進や学術の活動を支える人材を巡る諸課題の解明と分析に取り組んでいます。
調査研究成果
科学技術イノベーション人材の育成に関する調査研究
我が国の大学・大学院では、質の高い教育や研究を通じた人材育成、教育の組織的展開の強化(実質化)を進めるために、様々な特徴的な取組を実施しようとしています。
本調査研究では、主に博士課程での日本の大学院の教育・研究、人材育成の状況や、世界各国の大学での取組と日本の状況の比較などを通じて、人材育成に関する実態把握と今後に向けた課題を明らかにすることを目的としています。
- 大学学部生の科学技術情報と進路選択に対する意識[調査資料-272 / 2018.3]
- 博士課程修了者調査2011:我が国の博士課程における研究指導・教育に関する調査研究[調査資料-217 / 2012.12]
- 我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況に関する調査研究[調査資料-206 / 2012.3]
- 研究教育拠点形成の効果とその継続性に関する実態調査~21世紀COE事業採択拠点のケーススタディ~[調査資料-179 / 2010.3]
- 第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 – 「大学・大学院の教育に関する調査」プロジェクト 第1部 理工系大学院の教育に関する国際比較調査報告書[NISTEP REPORT No.125 / 2009.3]
- 第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究
「大学・大学院の教育に関する調査」プロジェクト報告書 要約版[NISTEP REPORT No.124 / 2009.3]
科学技術イノベーション人材の進路、キャリアパス構築に関する調査研究
我が国の博士やポストドクターは、若手研究者としてのキャリアを積み、大学や公的研究機関において活躍していますが、近年は民間企業等へ活躍の場が広がり、進路選択やキャリアパスは今まで以上に拡大、多様化しています。
本調査研究では、主に博士課程学生やポストドクターに焦点を当て、博士課程修了後の進路選択、進路選択後の多様な場での活躍や移動状況の把握分析に取り組んでいます。
- 「博士人材追跡調査」第2次報告書[NISTEP REPORT-174 / 2018.2]
- ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2015 年度実績)[調査資料-270 / 2018.1]
- 博士課程在籍者のキャリアパス等に関する意識調査-フォーカス・グループ・インタビューからの考察-[DISCUSSION PAPER-152 / 2017.9]
- 博士人材政策から見た米国UMETRICS:UMETRICS と博士人材データベース(JGRAD)の国際比較研究[調査資料-263/ 2017.7]
- 博士課程での研究指導状況とインパクト-「博士人材追跡調査」による総合的な分析-[DISCUSSION PAPER-150 / 2017.6]
- 博士の入職経路の特徴と賃金・仕事満足度で見たマッチング効率の検証―「博士人材追跡調査」の個票データを用いて―[調査資料-250 / 2017.6]
- 博士人材データベース(JGRAD)を用いた博士課程在籍者・修了者の所属確認とキャリアパス等に関する意識調査[調査資料-250 / 2016.5]
- 「博士人材追跡調査」第1次報告書-2012 年度博士課程修了者コホート-[NISTEP REPORT-165 / 2015.11]
- 「第1回日本博士人材追跡調査結果 (速報版)」
“The first Japan Doctoral Human Resource Profiling Survey result(Preliminary Report)” - ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 ―大学・公的研究機関への全数調査(2012年度実績)-[調査資料-232 / 2014.12]
- 民間企業における博士の採用と活用-製造業の研究開発部門を中心とするインタビューからの示唆-[DISCUSSION PAPER-111/2014.10]
- ポストドクターの正規職への移行に関する研究[DISCUSSION PAPER No.106 / 2014.5]
- 我が国の博士課程修了者の就職意識・活動に関する調査研究[調査資料-212 / 2012.6]
- ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査(2009 年度実績)-[調査資料-202 / 2011.12]
- ―博士人材の将来像を考える― 農学系博士課程修了者のキャリアパス[調査資料-190 / 2010.9]
- ―博士人材の将来像を考える― 理学系博士課程修了者のキャリアパス[調査資料-184 / 2010.5]
- 第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 – 「大学・大学院の教育に関する調査」プロジェクト 第2部我が国の博士課程修了者の進路動向調査報告書[NISTEP REPORT No.126 / 2009.3]
科学技術イノベーション人材の多様性・流動性に関する調査研究
我が国の科学技術イノベーション人材が優れた研究を行う上では、研究者の機関間移動などの流動性を高め、互いに切磋琢磨する環境を生み出すことが求められます。また、女性研究者や外国人研究者の活用等人材の多様性を確保することによって、優れた成果の創出につながることが期待されます。
本調査研究は、科学技術イノベーション人材の流動や移動、多様性に関する客観的な評価指標や定量データの獲得、データの分析を行っています。
- 科学技術・学術政策研究所講演会「博士人材のキャリアパスの多様化に向けたURA の可能性」[講演録-307/2017.9]
- 第1回 NISTEP 人材政策研究ワークショップ「スーパーサイエンスハイスクール、高大連携で生かす博士力」[講演録-306/2016.3]
- ドイツにおける博士の育成と活用 ~フラウンホーファー日本代表部における経験から[講演録-304/2015.7]
- アジア地域の人材育成~AUN/SEED-Net の経験と今後の展望~[講演録-302/2014.10]
- フランスの高度人材の活用と課題[講演録-298/2014.3]
- Empirical analysis on factors associated with international scientific collaboration”[DISCUSSION PAPER No.95/2013.7]
- 日本の大学教員の女性比率に関する分析[調査資料-209 / 2012.5]
- 我が国における博士課程修了者の国際流動性[調査資料-180 / 2010.3]
- 論文生産から見る途上国の研究活動と研究者の国際的ネットワーク[調査資料-178 / 2010.3]
- 大学院進学時における高等教育機関間の学生移動 ―大規模研究型大学で学ぶ理工系修士学生の移動機会と課題― [調査資料-174 / 2010.1]
- 第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 – 科学技術人材に関する調査報告書[NISTEP REPORT No.123 / 2009.3]
科学技術イノベーション人材に関連したその他の調査研究
日本の科学技術の推進と発展に寄与する人材を巡る諸課題の発見と解明に関連して、科学技術に携わる人材が働く環境や研究時間、処遇などに関する調査・研究を行っています。
- 大学教員の雇用状況に関する調査-学術研究懇談会(RU11)の大学群における教員の任期と雇用財源について-[調査資料-241 / 2015.9]
- 大学等教員の職務活動の変化-「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」による2002年、2008年、2013年調査の3時点比較-[調査資料-236 / 2015.4]
- スーパーサイエンスハイスクール事業の俯瞰と 効果の検証[DISCUSSION PAPER No.117 / 2015.3]
- 減少する大学教員の研究時間 ―「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」による 2002 年と 2008 年の比較―[DISCUSSION PAPER No.80 / 2011.12]
- 我が国の大学・公的研究機関における研究者の独立の過程に関する分析 ―研究職歴と研究権限についての大規模調査―[調査資料-195 / 2011.3]
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博士人材データベースの構築
科学技術によるイノベーション促進の担い手として産学官より期待されている博士人材の活躍を把握することを目的に、博士人材課程修了者の属性や、終了後の継続的なキャリアを追跡する情報基盤として、博士人材データベースを開始しました。