ユーモアたっぷりに別府描く 95歳富永一朗さん「まんが展」
大分県佐伯市で少年時代を過ごし、長寿番組「お笑いマンガ道場」でレギュラー解答者を務めた漫画家富永一朗さん(95)の作品を集めた「まんが展」が、別府市美術館(同市野口原)で開かれている。同館が所蔵する作品46点のほか、別府の観光地を描いた観光漫画など貴重な作品を展示している。30日まで(月曜休館)。
富永さんは京都市生まれ。3歳で父を亡くし、5歳で父の郷里の佐伯市に移り住んだ。佐伯中(佐伯鶴城高)を卒業後、台湾の台南師範学校に進学。終戦に伴って帰国後は佐伯市の小学校で図画や理科を教えた。1951年に上京し、漫画家として活動を始めた。
代表作は「チンコロ姐ちゃん」。76年に始まった「お笑いマンガ道場」では漫画家鈴木義司さんとの掛け合いが好評で、番組は18年続いた。漫画が芸術として認められるよう尽力し、92年に紫綬褒章、98年に勲四等旭日小綬章を受章した。
富永さんは84年10月の市美術館の開館式に招待されて出席。この際に寄贈を受けた作品を展示している。日常や男女、忍者、歴史物語などをテーマにした作品が並び、いずれも「クスッ」と笑わせるユーモアが盛り込まれている。海地獄や別府ロープウェイなどを描いた観光漫画13点や観光はがきも展示している。
荒金薫学芸員は「何げなく見ている光景にひねりを加えているのが富永作品の特徴」と説明。漫画はすべて色鉛筆で描かれており「線はシャープでキレがあるが、色合いなどから優しい印象を与えている」と分析している。 (稲田二郎)