米政府、市民のメールや通話履歴を収集 現地報道
【ワシントン=芦塚智子】米メディア各社は6日、米国家安全保障局(NSA)と米連邦捜査局(FBI)がグーグルなどの大手インターネットサービス会社を通じて、市民の間でやり取りされている電子メールや写真を大規模に収集していたと報じた。米政府高官は同日、報道が誤りを含むと指摘したうえで情報収集に違法性がないと強調した。人権団体などが「行き過ぎた監視行為」と批判するのは必至だ。
6日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、NSAとFBIがグーグルやヤフー、アップルなど9社のサーバーにアクセス。電子メールのほか、文書、接続記録などを広範に収集し、人物の行動履歴などの監視に活用してきた。フェイスブックへの投稿やユーチューブでの画像閲覧の記録も含まれる。アップルは報道内容を否定し、他社も政府への違法な情報提供はないとする声明を発表した。
「プリズム(PRISM)」とよばれるこのプログラムは2007年に始まったという。
ロイター通信によると、ジェームズ・クラッパー国家情報長官はワシントン・ポストなどの報道に「いくつもの誤りがある」との声明を発表した。米政府には米国外に住む「非米国人」の情報をネット企業から収集することが法律で認められていると強調した。
また、6日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはNSAが通信大手ベライゾンのほか、AT&Tやスプリントの顧客の通話データも入手していたと報道。クレジット会社からも情報を収集していたとしている。同日付の英紙ガーディアン(電子版)も米政府がベライゾンの顧客、数百万人分の通話履歴を極秘に収集していると伝えた。
アーネスト大統領副報道官は6日、記者団に「情報機関は法に基づき、裁判所が認めた情報収集活動を実施している」と述べ、収集の事実を認めた。収集対象は電話番号や通話時間などのデータだけで、政府が通話を盗聴しているわけではないとも語った。
上院情報特別委員会のファインスタイン委員長(民主党)は議会も定期的に報告を受けてきたと指摘した。