自動運転車、公道で初実験 首相「世界一の技術」
国会周辺の公道で9日、車の自動運転の実証実験があり、安倍晋三首相が試乗した。政府によると国内の一般道での本格的な自動走行実験は初めて。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社が参加、1周700メートルほどの周回道路を4~5分かけて走り、首相は3社の車の助手席に順次乗り込んで自動運転を体験した。
首相は試乗後「さすが日本の技術は世界一だ。日本を世界で最もイノベーションが起こりやすい国にしたい」と強調。国会審議中の産業競争力強化法案にはこうした実証実験をしやすくする規制緩和も盛り込んでおり、首相が率先して実験に参加することで法案の早期成立を訴えた形だ。
実験に参加したトヨタの豊田章男社長は「交通事故死ゼロに向けた偉大な一歩。技術革新をスピードアップできる可能性が出てきた」と指摘。「国内の道路の85%は幹線道路などではない細い道で、人と二輪車や自転車が混在している」とも述べ、実用化に向け、通信技術を使った車と道路の情報のやり取りや、車と運転者の役割分担の明確化など事故減少につながる仕組みづくりが重要だとの認識を示した。
日産自動車の志賀俊之副会長は「自動車とIT(情報技術)産業が一緒になって成功させていきたい」と強調。ホンダの伊東孝紳社長は「官民共同で技術を発展させるのは日本の強み」と話した。
自動走行車両はカメラやレーダーなどで周囲の状況を把握し、ハンドルやブレーキを自動で操作する。人為ミスによる事故防止や渋滞緩和、高齢者らの運転が容易になるという利点がある。国内では高速道路での試験走行はすでに行われており、早期の実用化に向け各自動車メーカーが技術力を競っている。