懲役・禁固刑に「一部執行猶予」 改正刑法が成立
懲役や禁錮刑の一部を執行した後に残りの刑期を猶予する「一部執行猶予制度」の創設を盛り込んだ改正刑法などが13日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。一部執行猶予は実刑と執行猶予の中間的な刑罰で、薬物使用などの罪を対象とする。猶予期間に円滑な社会復帰につながる準備をさせ、再犯防止を目指す。
新制度は、3年以下の懲役・禁錮の判決の中で、裁判所が判断し、刑の一部の執行を1年から5年の範囲で猶予する。「懲役2年、うち6カ月を2年間の執行猶予」とする場合、刑務所を1年半で出所した後、2年間再び罪を犯さなければ刑務所に収容されることはない。
比較的罪の軽い初犯者や、薬物犯罪などが対象で、猶予期間は保護観察を受ける仕組み。保護観察中は、保護観察所が対象者に「特別順守事項」として公共施設の清掃や福祉施設での介護補助などの社会貢献活動をするよう義務付ける。再び罪を犯したり、順守事項を守らなかったりした場合は執行猶予が取り消される。
再犯率の高い薬物依存者をいち早く社会に出して立ち直りを支援するのが狙いだが、医療機関などの「受け皿」が少ないなど課題も多い。効果的な施策になるかどうかは、政府の態勢整備にかかっている。
刑法改正案は2011年に国会に提出され、継続審議となっていたが、昨年の衆院解散に伴い、廃案となった。政府は今国会に法案を再提出し、参院で先に審議して5日の参院本会議で可決していた。