ロシア、東京五輪関係団体にサイバー攻撃 英政府が発表
【ロンドン=中島裕介、ワシントン=中村亮】英政府は19日、ロシアの情報機関が東京五輪・パラリンピックの関係団体などに対し、サイバー攻撃を仕掛けていたと発表した。攻撃は新型コロナウイルスの影響で延期が決まる3月より前だったという。ロシアはドーピング問題で両大会からの除外処分を受けている。大会運営を妨害する目的が理由とみている。
英政府は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)が攻撃を指揮したと断定した。ラーブ外相は「五輪・パラリンピックに対するGRUの行動は無謀なものだ。断固とした言葉で非難する」との声明を出した。
攻撃対象には大会の主催者や物流業者、スポンサー企業などが含まれていたという。攻撃の詳細や被害状況などは明らかにしていない。
英政府は2018年の平昌冬季五輪についても、GRUが北朝鮮や中国人のハッカーを装って、放送局や競技会場にサイバー攻撃を仕掛けたことを確認したと発表した。当時は攻撃を受けたコンピューターを交換するなどして、被害を抑えることに成功したという。
これに関連し、米司法省は19日、17年のフランス大統領選や平昌冬季五輪などを標的にサイバー攻撃を仕掛けたとして、GRU所属の6人を起訴したと発表した。
米英両政府は同時にGRUを非難し、ロシアへの対抗で結束する姿勢を示した。米情報機関は16年の米大統領選にGRUが介入したと断定している。今回の起訴は2週間後の米大統領選で再び介入しないようけん制する意味合いもありそうだ。
ロシアはサイバー攻撃との指摘に反発している。タス通信によると、下院のスルツキー外交委員長は19日、「たわごとだ。ロシアの行動ではない」と否定した。英米がロシアの信用失墜を狙って根拠のない告発を繰り返し、ロシアとの関係を悪化させていると主張した。