ADB総裁、米政権の関与継続を期待 総会が閉幕
横浜市で開かれていたアジア開発銀行(ADB)の50周年の年次総会が7日閉幕した。中尾武彦総裁は閉幕の挨拶で「ADBは新興国の変化していくニーズにこたえ続けていく」と強調した。総会は欧米で保護主義が台頭する中で開かれた。中尾氏は閉幕後の記者会見で米トランプ政権に対し「アジアの課題に目を向けてADBに関与することを期待する」と述べた。
ADBは日米が最大出資国でアジア各国にインフラ開発の資金や貧困削減などの資金支援をする。総会は50回目の節目で、10年ぶりに日本で開催した。過去50年のADBのアジア経済への貢献に対し、各国から評価する声が相次いだ。
トランプ政権は国際機関を軽視する姿勢が鮮明だ。政権交代後、米国からのADBの理事の承認も遅れている。中尾氏は「トランプ政権でもサポートしてくれることを期待する」と述べ、新しい理事の早期の承認に期待感を示した。
2030年までのアジアのインフラ需要は年1.7兆ドル(約190兆円)と膨大だ。ADBだけでは資金需要をまかなえず、中国が主導するアジアインフラ投資銀行の存在感が増している。ADBは今回の総会で高度技術に支援する新基金の創設を打ち出すなど、質の高いインフラでAIIBとの違いを打ち出した。
中尾氏は記者会見で、中国が提唱する一帯一路構想について「良いプロジェクトがあれば協力する余地はある」と述べた。