【ボルゴグラード(ロシア)27日】日本代表の西野朗監督(63)が今日28日の1次リーグ突破がかかるポーランド戦に、超サプライズ布陣を送り出す。

 3戦目で初めて先発を入れ替えるが、何と過半数6人も変更する可能性が浮上。初戦、2戦目で得点した4人を引っ込めFW岡崎慎司(32)、FW武藤嘉紀(25)の2トップを採用する見込みだ。引き分け以上で突破が決まる大一番。ここまで采配ズバリの勝負師が、大バクチに打って出る。

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 西野監督の決断は、日本サッカーを揺るがす規模の壮大かつ思い切ったものになりそうだ。W杯の大舞台でも一貫して攻撃的。勝った初戦のコロンビア戦前も「スタートからリアクション(受け身の守備的)サッカーは望みたくはない」と強調し、その通り戦い、サランスクの奇跡を起こした。

 1次リーグ突破のかかるポーランド戦。引き分け以上で2大会8年ぶりの決勝トーナメント進出が決まる。もう1試合の結果次第で、敗れても可能性は残る。ある程度、守りを重視し、引き分け狙いの選択肢もあるが、セネガル戦同様、それはしない。それどころか激しく動く。思い切って1、2戦不動だった先発を6人も入れ替え超アグレッシブにいく。描くプランは次の通りだ。

 最前線にずっと温めていた岡崎と武藤を2トップで並べる。この形は、セネガル戦の終盤に陣形を変えて、テスト済み。大黒柱の大迫はベンチに置く。

 4-4-2の両サイドは、これまでの左に乾、右に原口ではなく、左に申し子の宇佐美、右には何と酒井高を配するウルトラC。宇佐美はセネガル戦でデビューさせている。酒井高の起用は、最後まで見極めるとみられるが、交代も含めどの手を打っても当たるほど神懸かっている。ただの思いつきではなく、確たる根拠、自信がありそうだ。

 26日にすでに心に決めていたGK川島の起用とMF長谷部のベンチスタートは、間違いないところで、まさしく総力戦になる。就任以来、一貫して「W杯、代表というのはバックアッパー(控え選手)たちの充実度、コンディションがすべて」と言い続けてきた。この勝負どころで、控えだった選手たちの気持ちと思いにかける。

 この短期間でチームをまとめ決勝トーナメントに導けば、任期はW杯までだが、続投の流れも急加速しそうだ。同時刻のセネガル―コロンビア戦の状況は、今大会から導入された通信機器で得られるが「あまり、他会場も気にしたくはないですし、選手にも伝えるつもりはない。デリケートな3戦目になってくるので、ベンチワークも非常に重要になってくるんじゃないかなと思います」。指揮官の思いは、目の前で、自力で決める―。思いを劇的先発変更に込める。【八反誠】

 ◆96年アトランタ五輪1次リーグ 各組2位までが決勝トーナメント(T)に進出する方式で、D組の日本は初戦でブラジルと対戦。いわゆる「マイアミの奇跡」で1-0と白星スタートを飾った。

 だが、2戦目で同じく初戦を1-0で勝っていたナイジェリアに0-2と敗戦。ブラジルがハンガリーに3-1で勝利したため、第2戦を終了してナイジェリアが勝ち点6、ブラジルと日本が同3。日本は得失点差で3位に転落した。

 得失点差で劣る日本は最終のハンガリー戦で大量得点差での勝利が求められた。そこで3-2と勝利したものの、ブラジルがナイジェリアに1-0で勝ったため勝ち点6に3チーム。日本は得失点差で2ポイント及ばず、1次リーグ敗退となった。