
【阿武剋の言葉】「自分、映っていると思っていたんですけど、映っていなかったです」/会見全文
大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)の新番付が26日、発表され、モンゴル出身の阿武剋(おうのかつ、24=阿武松)が、新入幕を果たした。幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ昨年九州場所から、所要5場所で新入幕。西十両筆頭だった先場所を9勝6敗とし、秋場所は西前頭14枚目に番付を上げた。出世のスピードに髪が伸びるのが追いつかず、まだ、まげを結えない、ざんばら髪で会見した。師匠の阿武松親方(元前頭大道)同席で行われた、新入幕会見の一問一答を、全て紹介する。
大相撲
2年半以上、モンゴルには帰っていなかった
阿武松親方 本日はお暑い中、またお忙しい中、お越しいただき、ありがとうございます。おかげさまで、幕内に昇進しました。今日は、よろしくお願い致します。
―おめでとうございます。新入幕の気持ちは
阿武剋 そうですね。あの、9月場所頑張ろうという気持ちです。番付が上がったということは、相手が強くなるので。もっと必死にやらないと勝てないと思って頑張ります。
―幕内に自分のしこ名が載った番付を見て、どのような気持ちになったか
阿武剋 うれしいですね。字が太く、デカくなったので。いろんな応援してくれている人に、見つけてもらえるように、デカくなっていっているので、ありがたいですね。ありがたいというか、うれしいですね。
―稽古場の木札も「幕内」のところに、しこ名が載るようになった
阿武剋 まだ載ってないです。へへっ。
―あっ、載ってなかったでしたっけ
阿武剋 あっ、載ってますか? あっ、載ってますね。見てなかったです。すみません(笑い)。
―今、木札を見て感想は
阿武剋 そうですね。ちょっと実感がわいてきますね。
―所要5場所で幕内。このスピードについては、どのようにとらえている
阿武剋 いや、もう。1日1番。必死にやっているので、そこがちゃんと、結果につながっているので、ありがた…、いや、あの…。もっと頑張っていこうと思います。
―早かったと感じるか
阿武剋 いやー、どうなんですかね。分かんないです。自分では、はい。
―何が新入幕につながったか
阿武剋 十両2枚目で…、あっ、筆頭で、勝ち越せたら(幕内に)上がれる可能性があったので、とりあえず、自分的には2桁(白星)を目指して、場所の15日間戦ったんですけど、自分の目標を達成できずに。それでも9勝を挙げられたので、よかったですね。はい。
―相撲内容として意識していたことは
阿武剋 立ち合いから攻めて、攻めながらまわしを引くという相撲が、今、目指しているんですけど、あんまりできていなかったので、どちらかというと耐えて、まわし引いてから相撲を取るみたいな感じが多かったので、また、稽古場で一からやって、力をつけていきたいなと思います。
―幕内に昇進したと家族には連絡できたか
阿武剋 できました。今日も番付発表されたので、お父さんに電話して、報告して。すごく喜んでくれていましたね。
―6月にモンゴルに帰国されたかと
阿武剋 はい。
―その時に何か、名古屋場所で決めたいとか、何か家族に話していたのか
阿武剋 いや。帰れていなかった2年半ぐらい。3年弱ぐらいは帰れていなかったので、単純に、家族との時間を楽しんで帰ってきました。
―モンゴルは十両のテレビ中継がない
阿武剋 そうです。
―幕内に上がらないと、という気持ちがあったかと
阿武剋 それを知ったのが先場所でしたね。自分、映っていると思っていたんですけど、映っていなかったです(笑い)。
―モンゴルに帰った時に初めて知ったのか
阿武剋 あの、先場所ですね。先場所中に電話がきて。自分、幕内で2番取らせていただいたんですけど、その2番を見てくれていたらしくて。その時に電話してくれて、そこで幕内しか映っていないと知って。はい。もっと頑張らないとって(笑い)。来場所こそは全部、自分の相撲を見せてあげたいなと思って。(気を)引き締めました。
―これで15日間映ることになった
阿武剋 そうですね。今まで通りに、その一番に集中して、1日1番、勝っていけば、いい結果が出ると思うので、頑張ります。
―では師匠に。弟子の新入幕をどのように感じている
阿武松親方 そうですね。本当に率直に、うれしいですね、はい。で、あのー、まあ、大学でも成績を残していますし、本当に素晴らしい力士を預かったので、しっかりと、順調に、幕内に上がれたということは、まずはよかったのかなという、はい。ホッとした気持ちですね。
―どこが幕内昇進につながったのか
阿武松親方 まー、あの、やっぱり、いい型を持っているんですよね。なんで、しっかり稽古場の相撲というよりかは、本場所の方が、自分の相撲が取れていると思うんですよ。なんで、本場所の時の一番の落ち着きとか、そういうのがすごく、だんだんプロの世界に慣れてきて、力を出せるようになった結果が、今につながっているんじゃないかなと思いますね。
―「いい型」とは
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高田文太Bunta Takada
1999年入社。現在のスポーツ部ではサッカー(1)→バトル→五輪→相撲(1)→(5年半ほど他部署)→サッカー(2)→相撲(2)→ゴルフと担当。他に写真部、東北総局、広告事業部にも在籍。
よく担当や部署が替わるので、社内でも配った名刺の数はかなり多い部類。
数年前までは食べる量も社内でも上位で、わんこそばだと最高223杯。相撲担当になりたてのころ、厳しくも優しい境川親方(元小結両国)に「遠慮なく、ちゃんこ食っていけ」と言われ、本当に遠慮なく食べ続けていたら、散歩から戻った同親方に「いつまで食ってんだ、バカヤロー!」と怒られたのが懐かしいです。
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