アメリカではホリデーシーズン最大のイベント「クリスマス」に向け、街が華やいでいます。クリスマス前の週末から休暇を取る人も多く、21日から元日にかけて全米で1億1900万人が自宅から少なくとも80キロ以上離れた場所に移動すると予想されており、これから年末まで空も道も大混雑します
アメリカではクリスマスは祝日で、学校や仕事は休みとなり、長期休暇を利用して家族と過ごすため帰省する人も多く、日本とは異なる過ごし方をします。知っているようで知らないアメリカのクリスマスについて紹介します。
■メリークリスマスとは言わない?
日本では「メリークリスマス」という言葉が広く浸透していますが、ここでは一般的に「ハッピーホリデーズ」と言います。なぜなら、アメリカにはさまざまなルーツや異なる宗教的バックグラウンドを持つ人々が暮らしており、キリスト教とは無関係の人も大勢いるからです。日本では宗教に関係なく、ケーキやプレゼントを購入してクリスマスを祝いますが、アメリカではまったくクリスマスを祝わない家庭も少なくありません。
■ほぼ同じ時期に祝われるクリスマスとハヌカ
この季節は多くの家庭でクリスマスツリーを飾りますが、ユダヤ教の家庭ではツリーの代わりに光の祭典「ハヌカ」を祝う9本のろうそくを立てる台「メノーラ」を飾ります。ハヌカはユダヤ歴に沿って祝われるため毎年日程が変わりますが、今年は12月25日から来年1月2日まで8日間に渡って祝います。ユダヤ教ではクリスマスを祝いませんので、代わりに毎日1本ずつろうそくに火を灯してハヌカを祝います。そのため、この季節はクリスマスツリーだけでなく、メノーラの飾りも多く街中で見かけます。
■クリスマスケーキは食べない?
日本では美しくデコレーションされたクリスマスケーキは必須ですが、アメリカには日本のようなクリスマスケーキは存在しません。クリスマスケーキを食べる習慣もないため、アップルパイやパンプキンパイ、シナモンやナツメグの入ったジンジャークッキーなどを食べるのが定番です。また、イタリアのクリスマスの定番として知られるドライフルーツが入った発酵菓子パン「パネトーネ」も、この季節の定番デザートとなっています。
■プレゼントはみんなに
日本では親から子どもへ、または恋人同士でプレゼントを贈り合ったりしますが、アメリカでは家族や親せき、友人、上司や同僚、学校の先生などさまざまな人たちにプレゼントを渡すのが習わしで、日本のお歳暮のような感覚でプレゼントを贈ります。そのため、11月のブラックフライデーからクリスマスまで1か月間に渡って多くの人がクリスマスプレゼント探しに奔走します。家族みんながそれぞれに用意したプレゼントはツリーの下に置いて飾り、当日の朝にみんな一緒に開封します。もちろん、サンタクロースのプレゼントも枕元ではなく、ツリーの下に置かれるので、子どもたちは寝る前にサンタクロースのためにクッキーとミルクを用意して寝るのが習わしになっています。
■クリスマスは家族で過ごす
日本では恋人や友人とクリスマスを過ごす人も多いですが、アメリカでは家族が集まって一緒に過ごします。また日本ではクリスマスイブが盛り上がる傾向がありますが、キリスト教では「イブ」はクリスマス前夜ではなく、クリスマスに入った夜という意味になるため、教会の礼拝に参加したり、家族でゆっくり過ごしたりします。クリスマス当日は祝日のため、レストランなど飲食店も休業するところがほとんどで、街はとても静かです。
■チキンを食べるのは日本だけ?
日本ではケンタッキー・フライド・チキンを食べるという人も多く、クリスマスといえばチキンというイメージが強いですが、アメリカでは七面鳥かローストハム、またはローストビーフを頂きます。クリスマスにチキンを食べるとアメリカ人に話すと驚かれることになりますので、これも日本だけの習慣です。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)