ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が“ラグビー特訓”で養った破壊力十分の両拳で、期待を超えるファイトをみせる。
【井上尚弥】4団体統一への道 ディパエン戦/世界戦ライブ速報>
14日に東京・両国国技館でIBF世界同級5位アラン・ディパエン(30=タイ)との防衛戦(日刊スポーツ新聞社後援)に臨む。13日の横浜市内での前日計量はリミット53・5キロでパス。重量100キロ以上のラグビーのトレーニングマシンを押して養った肉体を披露。瞬発力とパワーを養い、さらに威力を増したパンチ力で、約2年ぶりの国内世界戦を成功させる。
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初対面の挑戦者と19秒間のフェースオフ(にらみ合い)を終えた井上は、自ら右手で握手を求めた。「力の差をみせ、危なげなく、いつも通り、しっかりと勝つ」。53・3キロで計量パスしたディパエンから、井上の愛称にちなみ「俺はモンスターハンターだ」と挑発されると「これぐらい勢いがないと、良い試合にならない」といなした。今回がWBA6度目、IBF4度目の防衛戦。統一王者としての余裕と自信が漂った。
会見で「みなさんの期待、想像を超える勝ち方をしたい」と宣言した。そう言えるほど“想像を超える”フィジカルトレーニングを積んできた自負がある。元ラガーマンでフィジカル練習担当トレーナー、高村淳也氏の発案で8月の京都合宿からラグビーのタックルやスクラムの練習で使用するスレッドマシンを導入。現役時代に150キロを押したという同氏が支えるマシンを、2度の合宿を通じて押し続けた。
高村氏は「私が反対側からおさえると、軽く100キロ以上になる。それを尚弥選手は押して動かしました」と証言する。重心を低くし、同マシンを押すことで、両拳に乗る瞬発力とパワーが増すという。「下半身が低くなるとパンチに力が乗って重くなる」と同氏は解説。井上も「良いコンディションになっている」と自信の笑みを浮かべた。
19年11月、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝のドネア戦以来の国内世界戦となる。「2年ぶりの日本なので自分自身が楽しみ。勝って来春のビッグマッチに向かいたい」。統一戦で拳を交える見込みの対抗王者たちも意識しながら、ラグビー特訓で破壊力の増したパンチをさく裂させる構えだ。【藤中栄二】
◆井上の主な一問一答
-前日計量を終えて
井上 無事に計量も終えて、少しリカバリーも終わったところ。気持ち的にはリラックスして落ち着いている状態。素晴らしい試合をお見せしたい。
-久々の日本の調整は
井上 ここ2試合はラスベガスの調整だったので、それにくらべて、日本の調整はすごくうまくいきました。リラックスし、この日を迎えることができた。
-この試合で一番のモチベーションは
井上 ボクサーにとってのモチベーションはリングに上がること。コロナ禍で、日本でリングに上がれることは一番のモチベーション。先日、ドネアも良い勝ち方をしましたし、自分も来年の春(のビッグマッチ)へ、という気持ち。
-WBO王者カシメロのV5戦中止は
井上 まだ正確な情報などがはっきりと出ていないと思うので、別にコメントする必要はないかな。しっかりと情報が出てから、決めていきたい。
-次の照準はドネアか
井上 ドネアというより4団体統一に向け、必要なベルトを持っているのはドネアということ。そこにこだわっていきたい。