働き方の変化に伴うオフィスの変化
2019年から順次施行されている働き方改革関連法や、2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行などを背景に、日本でもテレワークの普及が進んでいます。また、政府は2025年度に全国の民間企業で55.2%のテレワーク導入率を目指していて、今後もテレワーク推進の流れは続く見込みです。
はじめに、働き方の変化によってオフィスの位置づけや役割がどのように変わったのかを見ていきましょう。
「全員オフィスに出社」ではなくなった
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、多くの企業がテレワーク・ハイブリッドワークを導入しました。総務省の調査によると、2020年4月の1回目の緊急事態宣言時には、テレワーク実施率が17.6%から56.4%まで上昇しています。
新型コロナウイルスの第5類感染症移行後も、テレワークを継続する企業は多く、2023年4月のロイター企業調査では約7割の企業が「何らかの形でテレワークを継続する」と回答しました。
企業がテレワーク・ハイブリッドワークを継続する目的には、柔軟な働き方の実現による人材確保や生産性の向上が挙げられます。2021年の転職サービス「doda」の調査では、20〜30代の会員の約6割が「テレワークを実施しているかどうかが応募の意向に影響する」と回答しました。
テレワーク中の生産性については、「令和3年 情報通信白書」で言及されています。2011年から2020年の労働生産性について、テレワーク導入済みと未導入の企業で比較した結果、一貫してテレワーク導入済みの企業のほうが生産性が高くなりました。
これらの結果から、テレワークやハイブリッドワークは今後も日本企業に定着していくと言えるでしょう。オフィスは「全員が出社する場所」ではなく、「必要なときに必要な人が出社する場所」へと変化しています。
Web会議の機会が増加
感染症対策で対面での打ち合わせを控えるため、Web会議の機会も増加しました。「オフィスに出社している社員と在宅勤務中の社員の打ち合わせ」「社外の取引先との商談」など、社内外を問わずWeb会議が広く活用されています。
2023年の株式会社ネオジャパンの調査では、20〜50代のデスクワーカーの半数以上が「すべての会議をWeb会議で行っている」もしくは「ほとんどの会議をWeb会議で行っている」と回答しました。
同調査では「オフィス内のどこでWeb会議をすることが多いか」という問いに対して、56.3%が自席、31.0%が会議室と回答しています。また、5.5%はWeb会議専用スペースと回答していて、「オフィスから参加したことはない」は7.3%に留まりました。
これらの結果から、オフィスに出社していてもWeb会議をするケースは多く、企業によってはWeb会議専用のスペースを設けていることがわかります。これからのオフィスは、Web会議の利用が増加していることも踏まえてオフィスデザインやオフィス什器、運用方針の変更を検討する必要があります。
今のオフィスに求められる役割とは
テレワークやWeb会議の浸透によって、オフィスは「全員が仕事をする場所」から「集まる場所」「働く場所の選択肢の1つ」という役割にシフトしています。
ここでは、今のオフィスにどのような役割が求められているのか、具体的に解説します。
集まる場所としてのオフィス
テレワークやハイブリッドワークを導入すると部署やチームのメンバーが直接顔を合わせる機会が減るため、オフィスは「集まる場所」としての役割が強くなります。例えば、ディスカッションやブレインストーミングなど活発に会話をするような会議は、タイムラグが発生しやすいWeb会議よりもオフィスに集まって対面で行うほうがスムーズな場合が多いです。
また、テレワークによって他の社員と物理的に顔を合わせる機会が減ると、「自分は会社の一員である」という意識が薄れてしまうおそれがあります。社員の帰属意識やエンゲージメントの低下を防ぐためにも、社員同士が顔を合わせられるオフィスは重要です。
働く場所の選択肢の1つとしてのオフィス
テレワーク・ハイブリッドワークによって自宅やカフェなど自由な場所で仕事ができるようになったとはいえ、これまで通りオフィスも働く場所であることに変わりはありません。人によっては「自宅よりもオフィスのほうが集中できる」というケースもあるでしょう。営業職の社員は、「客先訪問の合間にオフィスで仕事をする」といった働き方もできます。
「出社かテレワークか」の二択ではなく、社員の希望やその日の予定に合わせて働く場所を選べるようにすると、社員はより働きやすさを感じられるでしょう。このように柔軟な働き方を取り入れている企業では、オフィスは働く場所の選択肢の1つとしての役割があります。
調査データから見る今のオフィスに求められる設備
株式会社ブイキューブでは、2022年に「オフィスに関する意識調査」を実施しました。調査対象は、Web会議や少人数の会議に活用できる防音個室ブース「テレキューブ」の導入担当者と利用者です。
「生産性の高いオフィス」の定義についての問いでは、「集中して業務に取り組める」「人とコミュニケーションがとれる」といった点が上位に入りました。この結果から、今のオフィスには集中できるスペースとコミュニケーションがとれるスペースの両方が求められていることがわかります。
また、テレキューブの導入で解決したかった課題については、「Web会議をする際の騒音の問題」「対面会議用の会議室不足」が上位でした。Web会議の増加によって会議室不足に陥っている企業が多いことが伺え、これからのオフィスにはより多くの会議用スペースが必要とされています。
設備例
テレワークやハイブリッドワークが当たり前となりつつある今のオフィスには、以下のような設備が求められます。
- 個室ブース
- テレビ会議システム
- クラウドPBX
- バーチャルオフィス
個室ブースがあれば、集中して業務に取り組みたいときやWeb会議をしたいときに役立ちます。特に会議室の不足を感じている企業では、個室ブースを導入すると喜ばれるでしょう。
例えばブイキューブの提供する「テレキューブ」はサブスクリプションプランでも提供しているため、購入するよりも手軽に導入できるのが特徴です。また、複数用の製品であれば、工事なしで会議室不足の解消にも繋がります。
テレビ会議システムは、モニターやマイクといった専用機材を使うWeb会議用のシステムです。映像や音声の品質が高く、取引先との重要な商談や役員クラスの社員同士での打ち合わせなどに適しています。このような重要な会議のために、通常の会議室に加えて専用機材を揃えたテレビ会議室を整備しておくのもおすすめです。
クラウドPBXは、パソコンやスマートフォンからオフィスの代表電話や内線を利用できるサービスです。オフィス以外の場所からでも会社にかかってきた電話に対応できるので、「電話対応のために交代で出社しなければならない」といった問題を解決できます。
例えば、Web会議システムの「Zoom」で知られるZoomが提供しているクラウドPBX「Zoom Phone」は、スマートフォンやPC、固定電話等の様々なデバイスから利用でき、代表電話番号の受電や内線での取り次ぎが可能なため、テレワークでの利用に適しています。具体的な費用については以下の参考プラン集を御覧ください。
テレワーク実施時のコミュニケーション促進には、バーチャルオフィスが効果的です。バーチャルオフィスとはメタバースを活用した仮想オフィスサービスで、社員はそれぞれアバターを使ってオンライン上でコミュニケーションをとります。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに多くの企業がテレワークを導入し、日本企業の働き方は大きく変わりました。コロナ禍が落ち着いてからもテレワークを継続する企業は多く、働き方の変化に伴ってオフィスに求められる役割も変わってきています。
これからのオフィスは、「集まる場所」「働く場所の選択肢の1つ」という側面がより強くなっていくでしょう。個室ブースやクラウドPBXなど、オフィス環境を整える設備の導入を検討してみてください。