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  • 2024年11月27日

ペロブスカイト太陽電池とは 特徴や開発は? 2040年 原発20基分の発電規模が目標

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「ペロブスカイト太陽電池」は薄くて軽く、折り曲げられるのが特徴で、建物の壁面などに設置することもできます。政府は、次世代の太陽電池、ペロブスカイト太陽電池を2040年には、原発20基分に相当する発電規模まで普及させるとする目標を正式に発表しました。特徴や開発の状況などこの太陽電池をめぐる動きについてまとめました。

ペロブスカイト太陽電池の開発

このペロブスカイト太陽電池をめぐっては開発に取り組む企業が相次いでいます。このうち、2018年に設立された京都大学発のスタートアップ企業が開発した太陽電池は発電効率が高く、室内の光でも発電が可能だと言います。

この会社がいま開発に取り組んでいるのが、7.5センチ四方の手のひらに収まるほどの小型の太陽電池です。薄くて軽い特性を生かしてスマートフォンやセンサーなどの電源として活用することが想定されています。

課題は耐久性 2026年の量産化目指す

このほか、大手企業とも共同開発を行っていて、▽KDDIとは通信基地局に太陽電池を取り付けて発電する実験を行っているほか、▽トヨタとも電気自動車の屋根やボンネットに搭載できる太陽電池の開発を進めています。

実用化に向けては、長時間発電し続けることができる耐久性が課題だということで、この会社では、再来年、2026年の量産化を目指して開発を加速させています。

エネコートテクノロジーズ 加藤尚哉社長
「目指しているのは、電気の地産地消で、薄くて軽くて曲がるので、設置できるエリアが飛躍的に広がる。生活に身近な場所で発電し、その場で電力を使う、そういった世界が実現できればいいなと思っている」

2040年には原発20基分にまで普及を

ペロブスカイト太陽電池について、経済産業省は11月26日、官民協議会を開き、今後の戦略をまとめました。

それによりますと発電能力の目標については、課題となるコストを従来の太陽電池に近い水準まで引き下げ、2040年には、国内に、原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させるとしています。

再生可能エネルギーを最大の電源に

政府は年内にも素案をとりまとめる新しいエネルギー基本計画の2040年度の電源構成で、再生可能エネルギーを初めて最大の電源とするシナリオを示す方向で検討していて、ペロブスカイト太陽電池を計画の柱の1つに位置づける方針です。

また、この太陽電池をめぐっては、中国やヨーロッパなどでも量産化を目指す動きが相次いでいて、政府は産業としての競争力を高めるため、日本メーカーの研究開発や量産体制の構築を支援していくとしています。

ペロブスカイト太陽電池のメリット

再生可能エネルギーのさらなる拡大に向けては、新たな技術の実用化がカギとなります。このうち太陽光発電では、現在、主流となっている「シリコン型太陽電池」は重みがあり、一定の広さがある平地を中心に設置されてきましたが、普及が進むにつれて、適した土地は減ってきています。

一方、ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く、折り曲げられるのが特徴で、建物の壁面などにも設置できます。また、主な原料のヨウ素は国内で調達できることから、サプライチェーンを海外に依存する必要がなく、経済安全保障の観点からもメリットがあると指摘されています。

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