首都圏情報ネタドリ!
- 2024年11月22日
闇バイト強盗 特徴 家の防犯対策は 横浜 千葉鎌ケ谷・市川などの事例から見えた共通点
- キーワード:

相次ぐ「闇バイト強盗事件」。首都圏で発生した19件の特徴を調べると、事件に巻き込まれないための手がかりが見えてきました。
一連の事件では、高額な現金を置いていない家にも被害が出ています。取材を進めると手口に共通点が。
すぐできる・安価にできる対策や、万が一侵入を許してしまったときの対処法をお伝えします(2024年11月21日時点の情報をもとに記事を作成しています。「強化ガラス」という表現を、「防犯ガラス」に修正しました)。
高額の現金がなくても被害に…
8月以降に1都3県で発生した一連の強盗事件。

8月末から9月3日まで被害が目立っていたのは、貴金属販売店や質店などです。
その後、さいたま市の住宅が被害に遭った9月18日以降は、個人宅への強盗が続きます。
そして、10月15日の横浜市青葉区の事件では、70代の住民が暴行され死亡。
10月17日の千葉県市川市の事件では、50代の住民が連れ去られ、監禁されました。
これらの事件をつぶさに取材すると、手口にいくつかの共通点が見えてきました。
10月に横浜市青葉区で起きた事件。現金20万円が奪われ、住民の命も失われました。
亡くなった男性(75歳)は穏やかな人柄だったといいます。
近隣住民
「朝早く散歩から帰られると、いつもここでお会いして、おはようございますとあいさつしてくれました。とても静かな方でしたよ」

一連の事件では、500万円以上の高額の被害がある一方で、多くは数万円から20万円程度の被害でした。
高額の現金があるかないかにかかわらず、押し入られていました。
事件の発生時間や進入経路に共通点が
事件の手口には、どんな傾向があるのか。
手がかりを探るため、私たちは同じ時期に起きた、千葉県鎌ケ谷市の事件に注目しました。
異変が起きたのは深夜2時ごろ。
住民の男性は寝ていましたが、まだ起きていた妻が物音に気づきました。
被害に遭った男性
「なんだろう、様子がおかしい、様子を見に行こうと思って降り始めたら、ガシャン、ガシャン、ガシャンというガラスの大きな音がして」

使われたのは、軒下に置いていたコンクリートブロック。およそ10分後に窓ガラスが割られて、男が住宅に侵入してきました。
男性が「誰かいるのか」と叫ぶと何もとらずに逃走しました。
被害に遭った男性
「窓ガラスも相当分厚いので、普通は割ろうとは思わないんじゃないかなと。たぶん震えていたと思います、そのときは。相当怖かったですね」

一連の事件でも住宅の被害はいずれも未明から明け方にかけて発生していました。

そして、侵入の手口は窓や扉のガラスを割るケースが多いことが分かりました。
手段を選ばない凶悪な手口
さらに金を奪うためには手段を選ばない強盗グループの姿も浮かび上がってきました。
被害を受けた千葉県・市川市に住む女性。50代の娘と2人で暮らしています。
夜、仕事で家を離れている間に3人組が自宅に侵入。
部屋は荒らされ、現金のほかキャッシュカードも奪われました。

被害に遭った女性
「家に帰ったら、(玄関の)鍵が開いていたんです。おかしいなと思いつつ家に入ったら、荒らされていて。食器棚も全部開けられた。(強盗グループが)物色したけど現金がなく、たまたま私の財布があって、抜かれた」
自宅の2階にいた娘は、3人組から粘着テープで拘束され、階段から引きずり落とされたといいます。
そして、車で連れ去られ、埼玉県・川越市内の宿泊施設に監禁されました。

3人組の目的は奪ったカードの暗証番号を聞き出すことだったとみられています。
連れ去られてからおよそ19時間後、娘は警察に保護され、命は助かりました。
被害に遭った女性
「上からの命令だろうから、ぼこぼこにして、有無を言わさず金を取ってこいということになったんでしょうけど。早い段階で娘が見つかってくれたから。もし見つかるまでに2~3日かかっていたら、どんなことになったかわからなかった」

一連の事件の大半で、強盗グループは侵入した後、住民を暴行。
粘着テープで手足を拘束する、ハンマーで殴る、刃物で切りつけるなど、危害を加えて金を奪おうとする凶悪性も見えてきました。
効果的な防犯対策は
闇バイト強盗に狙われる、戸建て住宅。私たちは、どのような対策ができるのか。
警備会社で20年以上、防犯対策の研究をしている濱田宏彰さんに聞きました。

一連の事件で主な侵入経路となった窓ガラスの強化が重要だといいます。
比較的手ごろな対策が、窓ガラスの全体に防犯フィルムを貼り付けること。

セコムIS研究所 濱田宏彰研究員
「ガラスが割れたとしてもフィルムが頑張ってくれます。穴が空かない、切ることができないので、侵入に、より時間がかかります。時間を稼ぐことによって、外部に通報して助けを求めることが最悪の事態にならないために重要です」
さらに防犯効果を高めたい場合は、特殊なフィルム4枚を重ね合わせた「防犯ガラス」を設置します。

価格は一般的なガラスの4倍程度。しかし、強度は通常のガラスをはるかに上回るといいます。

一般的な厚さ3ミリのガラスは、ハンマーで叩くと1回で簡単に割れますが、防犯ガラスは、2分間に60回以上叩いても完全には割れませんでした。

また「補助錠」を 窓に取り付けておけば、ガラスが割られてメインの鍵があけられても窓は開かず、時間をかせぐことが可能です。窓の上側への取り付けを推奨しています。侵入者が外すときには立って作業する必要がある(=人目に付きやすくなる)ためです。数百円から購入可能で、簡単に取り付けられます。
家の庭でも注意が必要で、対策のひとつが「家の周囲の見通しをよくする」ことです。

塀や植木などで外から見えないと犯行を行いやすいため、塀を低くしたり、植木をせんていしたりすることが効果的だということです。
侵入が多かった夜間の時間帯の対策としては、人に反応する「センサーライト」や、踏むと大きな音がする防犯砂利も、住人や周囲が異変に気づくのに有効だといいます。
それでも侵入を許してしまった場合、まずは、「窓や勝手口からできるだけ外に逃げる」こと。
それができなければ「トイレや寝室など、鍵のかかる場所に逃げる」こと。警察に通報する時間を確保できます。
それができずに、対面する事態に陥ったら「現金などをおとなしく渡す」。抵抗しないことが大事だと指摘しています。
濱田宏彰研究員
「刃向かおうということは避けて、命を取られないことがいちばん大事だと思います」
闇バイト強盗事件の容疑者や被告は、どのような人物なのでしょうか。
横浜の事件で起訴された被告の祖父が、NHKの取材に対し手紙で回答を寄せました。そこから見えた人物像とは。後編の記事でお伝えします。