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  • 2024年9月3日

異常気象「最も暑い夏」2024 猛暑や大雨 温暖化の影響はどの程度 ?

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去年の2023年と並んで「最も暑い夏」となったこの夏について、気象庁の検討会は特に7月以降について「異常気象だと言える」と評価しました。連日猛暑日となったこの夏。気象庁によりますと、関東甲信の平均気温は1946年に地域別に統計を取り始めてから去年と並んで最も高くなったということです。暑さの要因や温暖化との関係などについてまとめました。

記録的高温 相次ぐ40度前後の危険な暑さ

関東甲信ではことし7月から8月にかけて最高気温が40度前後と危険な暑さの日が相次ぎました。

7月29日には栃木県佐野市で最高気温が41度ちょうどとことし全国で最も高くなり、国内の過去最高にあと0.1度まで迫る記録的な暑さとなりました。また、8月に入っても気温の高い日は続き、▽12日には群馬県桐生市で39.7度となりました。

気象庁によりますと、関東甲信の平均気温は平年と比べて1.8度高く、気象庁が1946年に統計を取り始めて以降、去年と並んで最も高くなりました。降水量も平年の137%とかなり多くなりました。

記録的高温 その要因は?

特に7月以降に全国で記録的な高温となったことを受けて、気象の専門家らによる気象庁の「異常気象分析検討会」は9月2日、会合を開いて分析しました。

高温の背景として、7月と8月ともに偏西風が北へ蛇行し、背の高い暖かな高気圧に覆われやすく日ざしが強まったうえ、特に7月は太平洋高気圧が西日本に向かって強く張りだしたことが影響したと指摘しています。

また、地球温暖化や、春に終息した「エルニーニョ現象」、日本近海の高い海面水温も影響しているとみられるということです。

“ことしの暑さも異常気象といって差し支えない”

東京大学先端科学技術研究センター 中村尚教授 (「異常気象分析検討会」会長)
「去年(2023年)は圧倒的に気温が高く『異常気象といって差し支えない』と発言したが、ことしもそれに匹敵する、もしくはそれを上回るような地域もあった。ことしの暑さも異常気象といって差し支えない。長期的な地球温暖化が気温を底上げしていることは否めない。特にここ2、3年は海面水温が高い。以前と比べて気温が上がりやすい状況は続くのではないか」

“温暖化が影響していた可能性がある”

文部科学省や気象庁などの研究チームは、ことしの記録的な暑さと大雨について分析を行い、温暖化が影響していた可能性があると結論づけました。

「イベント・アトリビューション」と呼ばれる解析手法では▽地球温暖化が進んでいない地球と▽温暖化が進んだ現実の地球とをシミュレーション上で比較し猛暑や大雨といった、個別の現象に、どの程度温暖化が影響したかを示すことができます。

まず、7月の猛暑では▽地球温暖化の影響を考慮した場合、ことしの記録的な暑さは「10年に1度」程度の確率で起こる結果となったのに対し、▽地球温暖化の影響がないと仮定した場合、「ほぼ発生しない」という結果になったということです。

また、7月下旬に起きた東北の日本海側の大雨については、地球温暖化に伴う気温上昇がないと仮定した場合と比べ、現在の気候状態を反映した場合の方が、48時間の積算雨量が20%以上多くなったということです。

台風による大雨 今後も起こる可能性は

9月1日に熱帯低気圧に変わった台風10号は、気圧配置や偏西風が北上した影響で時速10キロ前後と進みが遅く、各地に大雨をもたらしました。
過去の台風を比較すると近年、日本に接近した台風は移動速度がゆっくりになっているという研究成果があります。

東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は、これから、偏西風は南下しやすい季節になるとした上で「海面水温の上昇傾向が続く中、台風が北上してきたら勢力を保つ可能性がある。これから台風シーズンが続くので、防災上の備えが重要だと思う」と述べました。

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