最新記事
日本社会

50代女性の睡眠時間を奪うのは高校生の子どもの弁当作り

2025年10月8日(水)10時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
キャラ弁

子どもの弁当作りのために多くの母親が早起きを強いられている photoAC

<現代の50代は「育児+介護」のダブルケアのステージで、その負担は女性に偏っている>

日本人の働き過ぎ(ワーカホリック)は国際的に知られているが、寝不足もまた広く知られている。それは経済活動にも影響しているようで、アメリカのシンクタンクが2016年に公表した試算によると、日本人の寝不足による経済損失は約20兆円にも達するという。

同年の日本人(15~64歳)の1日の平均睡眠時間は7時間24分で、OECD加盟国の中では最も短い(OECD「Gender Data Portal 2021」)。7時間24分というと結構寝ているようにも思えるが、あくまで平均値であって、睡眠時間が極端に長い人の影響を受けている可能性がある。


平均値よりも中央値で見るほうがいい。2022年の厚労省『国民生活基礎調査』に、12歳以上の国民の睡眠時間分布が出ているが、これをもとに中央値を計算すると6時間26分。上記の平均値よりもリアリティーのある数値だ。日本人の半分が、1日6時間半も寝ていない。ライフステージによる違いもある。男女の年齢層別に睡眠時間中央値を算出し、線でつないだグラフにすると<図1>のようになる。

newsweekjp20251008001359.png

男女とも、アラフィフ年代に谷がある「V字型」となっている。女性の50代前半は358分と6時間を割っている。この年代の女性の半数が、1日6時間寝ていない。

晩産化の進行もあって、今では50代も子育て期だ。老親の介護も始まる頃で、現在の50代は「育児+介護」のダブルケアのステージと言っていい。その負担は女性に偏っていることから、この年代の女性の睡眠時間が最も短くなるのは頷ける。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

主要行の決算に注目、政府閉鎖でデータ不足の中=今週

ワールド

中国、レアアース規制報復巡り米を「偽善的」と非難 

ワールド

カタール政府職員が自動車事故で死亡、エジプトで=大

ワールド

米高裁、シカゴでの州兵配備認めず 地裁の一時差し止
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリカを「一人負け」の道に導く...中国は大笑い
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 10
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中