最新記事
韓国

新たな分断に直面する韓国 戒厳令から1カ月、大統領官邸前で対峙する二つの民意

2025年1月10日(金)19時20分
佐々木和義
尹錫悦大統領がいる官邸周辺でのデモの様子

尹錫悦大統領がいる官邸周辺では反尹派の集会参加者たちが8車線道路を塞いだため、警察が不測の事態に備えている(筆者撮影)

<非常戒厳令、大統領弾劾訴追案と続く政治的混乱の中、朴槿恵政権時代とは異なる市民たちの抗議活動が示す韓国の新たな分断──>

いま韓国世論は二つに分かれている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の退陣を求める反尹派と続投を求める親尹派で、両者は大統領官邸があるソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)で集会を行なっている。漢南は各国の大使館が集まり、成功者が居住する高級住宅地として知られている。

2024年12月3日深夜、尹大統領は非常戒厳令を宣布した。韓国憲法上、大統領は戒厳令の宣布を国会に通告する義務があり、在籍議員の過半数が解除を要求したら解除しなければならない。突然の戒厳令に対し最大野党・共に民主党は国会議員を招集し、全議員300人のうち集まった190人が全会一致で解除要求を可決。非常戒厳令は宣布から約6時間後の12月4日5時過ぎに解除となった。

同4日14時40分、野党は共同で尹大統領の弾劾訴追案を提出し、尹大統領の退陣を求める国民たちによる「ろうそく集会」がはじまった。ろうそく集会は当初、国会議事堂前や光化門広場、また韓国各地で行われたが、クリスマスを過ぎて以降、大統領官邸がある漢南洞で反大統領派と大統領派が気勢を上げている。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

銀行団がXの融資売却を準備 最大30億ドル=関係者

ワールド

OPECプラス、トランプ氏の原油価格引き下げ要求に

ワールド

米上院、ヘグセス氏の国防長官人事を承認 賛否同数で

ワールド

トランプ氏がノースカロライナとロス訪問 FEMA廃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 4
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 5
    軍艦島の「炭鉱夫は家賃ゼロで給与は約4倍」 それでも…
  • 6
    電気ショックの餌食に...作戦拒否のロシア兵をテーザ…
  • 7
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 8
    早くも困難に直面...トランプ新大統領が就任初日に果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 6
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 7
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 8
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中