最新記事

ウクライナ戦争

ロシア領内深くの基地を襲ったのはウクライナの国産ドローンか

Photo Shows Destroyed Russian Bomber as Kremlin Calls it 'Minor Damage'

2022年12月7日(水)16時52分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ウクライナ空爆の起点だったロシアのエンゲルス空軍基地(12月4日、衛星画像) Maxar Technologies/REUTERS

<ロシア国内の3つの空軍基地が、2日の間に次々と爆発に襲われた。これがウクライナの奇襲だとすると、戦争は大きな転機を迎えるかもしれない>

破壊されたロシアの爆撃機のように見える画像が、ソーシャルメディアで拡散されている。ロシア政府は、12月5日に無人機によるロシアの空軍基地への攻撃があり、航空機が「軽い損傷」を受けたと発表した。

ウクライナ空軍が公開したこの画像は、モスクワの南東に位置するリャザン州リャザン市近郊のディアギレボ空軍基地で、損傷したツボレフ22M3爆撃機を撮影したものとされている。この画像は、ウクライナやロシアに拠点のある非公式の軍用テレグラムチャンネルにも出回っている。

燃料タンカーの下に血の海

ロシア政府は、5日に起きたこのディアギレボ空軍基地と、もう一つサラトフ州のエンゲルス空軍基地への攻撃について、ウクライナを非難した。いずれも、ウクライナの国境から東約600キロもロシアの内陸にあり、ウクライナ空爆の拠点になっていた基地だ。

ウクライナ政府はこの攻撃を喜ばしいこととしているが、攻撃を行ったとは認めていない。ニューヨーク・タイムズ紙は5日、ウクライナ政府高官の発言を引用し、今回の攻撃に使われた無人機はウクライナ領内から発射されたと報じた。

ウクライナ空軍のツイートにはツボレフ22M3爆撃機と燃料タンクの損傷を示すとみられる2種類の画像が含まれている。燃料タンカーの下には血の海が見える。「ロシア領リャザン。何が起きた?」というコメントがついている。

クルスクで3度目の攻撃

ロシア国防省は、ウクライナが「ロシアの長距離爆撃機を無力化する目的で」ドローンによる2回の攻撃を行ったと非難した。

そして、「ロシア航空宇宙軍の防空システムが、低高度で飛行するウクライナの無人機を迎撃した」と述べている。

同省によると、ドローン攻撃の結果、航空機2機が軽い損傷を受け、3人のロシア軍兵士が死亡、4人が負傷した。航空機の損傷は塗装への「軽微な傷」だったと付け加えた。

だがソーシャルメディアに流れる画像はそれとは違う状況を示している。航空機の背面の一部が爆風で引きちぎられているように見えるのだ。

本誌は画像の真偽を独自に確認することができないため、ロシアの国防省と外務省にコメントを求めている。

さらに6日の朝には、ロシアの別の空軍基地が3度目もドローン攻撃を受けたと報じられた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、前週比横ばい=ベーカー

ワールド

韓国大統領代行、バイデン氏と電話会談 米韓同盟発展

ビジネス

アングル:GMのロボタクシー撤退、事業継続への高い

ワールド

韓国大統領の弾劾案可決、与党の一部造反 職務停止に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 2
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千年稼働」の世界
  • 3
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空施設...「内部映像」が示すミサイルの威力
  • 4
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    燃え盛る工場に響く轟音...ウクライナが米国供与の「…
  • 7
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 8
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 9
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 10
    爆発と炎上、止まらぬドローン攻撃...ウクライナの標…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 4
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 5
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 10
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中