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南米ベネズエラで制憲議会選強行 与党議席を独占、マドゥロ独裁強化に懸念
7月30日、政情不安が続くベネズエラで新憲法制定のための制憲議会選の投開票が行われ、反米左派のマドゥロ大統領(写真)率いる統一社会党が全545議席を獲得した。提供写真(2017年 ロイター/Handout via REUTERS)
政情不安が続くベネズエラで30日、新憲法制定のための制憲議会選の投開票が行われ、反米左派のマドゥロ大統領率いる統一社会党が全545議席を獲得した。これにより与党は憲法改正や、野党が多数を占める国会の解散、不満分子の罷免などが可能になる。
与党ナンバー2のディオスダド・カベリョ氏は首都カラカスで「制憲議会はただちに仕事を始める」と宣言。「ついに制憲議会が誕生した!対話の場とできるよう、同胞に団結を求めたい」と述べた。
一方、野党指導者のエンリケ・カプリレス氏は「制憲議会はこの国の問題を何も解決しないだろう。もっと多くの危機を生み出すだけだ」と述べ、31日に新たな反対デモを行うよう呼び掛けた。
選挙は、民主主義に反するものだとして各国政府からの反対が出る中で実施。当日、各地で行われた反対デモでは少なくとも10人が、治安部隊との衝突などにより死亡した。
国家選挙委員会(CNE)によると、810万人が投票したと発表。これに対し野党連合は投票数は250万人にとどまったとしており、食い違いをみせている。
専門家らは、制憲議会の誕生によってマドゥロ氏が次の大統領選を先延ばしすることが可能になると指摘した。同国では約3000万人の国民が栄養失調や生活必需品の不足に悩まされているにもかかわらず、マドゥロ氏は権力を握り続ける力を得ることになる。
独裁色を強めるマドゥロ政権に反発し、米国などの諸外国は懸念を示している。制憲議会選の強行に対し、米国務省は30日、「独裁体制を阻止する強力で迅速な行動」を取ると宣言。基幹産業である石油部門を対象とする制裁措置を示唆した。