最新記事

シリア

トルコ大統領「ISISから石油を買っているのはロシアの方だ」

アサド政権の代理人としてISISの石油密輸に関与しているというシリア人実業家が浮上

2015年12月4日(金)13時35分
デイミアン・シャルコフ

撃墜で急降下 先月シリアで起きたロシア機の撃墜で両国関係は一気に悪化(写真は9月、モスクワで) Ivan Sekretarev-REUTERS

 トルコのエルドアン大統領は3日、ロシアがISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)の石油密輸に関与している証拠があるとロシアを非難した。だが、ロシアのプーチン大統領のかねてからの主張によればISから原油を密輸しているのはエルドアンのほう。いったいどちらが本当なのか。

 エルドアンは、「我々には証拠がある。世界にその証拠を示すことができる」として、具体的な関係者名も挙げた。シリア人実業家ジョージ・ハスワニが、密輸に関与している可能性がある、というのだ。イギリスのフィリップ・ハモンド外相も、シリアで石油企業HESCOを経営するハスワニが、アサド政権の代理人としてISから原油を購入する「ブローカー」だと指摘したことがある。

 エルドアンはさらに、「誰が石油を(ISから)買っているのか? それはハスワニだ。シリア国籍でロシアのパスポートを所持する、最大の原油ブローカーだ」と語った。

 先月トルコ軍の戦闘機が、シリアの国境地帯でロシアの戦闘爆撃機を撃墜して以来、両国関係は最悪の状態に陥っている。トルコ側は、トルコ領空を侵犯したロシア機はこれが3機目で、10回の警告を無視して飛行を継続したと主張している。ロシア側は領空侵犯を否定している。

 ロシアは、トルコがISを守るためにロシア機を撃墜したと主張。ISから石油を購入していたからだ、というのだ。ロシア国防省は、エルドアンとその一族が個人的に原油密輸に関与した証拠として、IS支配地域内をトルコに向かって走る輸送トラックの車列を捉えた航空写真を公開した。

 エルドアンはこれを「誹謗中傷」と切り捨て、仮にロシアの主張が正しければ辞職すると公言している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア西部2州で橋崩落、列車脱線し7人死亡 ウクラ

ビジネス

インフレ鈍化「救い」、先行きリスクも PCE巡りS

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっしり...「これ何?」と写真投稿、正体が判明
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語る「効果」と「危険性」
  • 4
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 7
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 8
    第三次大戦はもう始まっている...「死の4人組」と「…
  • 9
    「不思議な発疹」の写真に、ネットで議論沸騰...医師…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 7
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 8
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中