世界のねじを巻くブログ

ゲイが独自の視点で、海外記事/映画/書評/音楽/電子書籍/Lifehack/Podcastなどについてお伝えします。ポッドキャスト「ねじまきラジオ」配信中。

「あなたも流行作家になれる」筒井康隆の小説論を読む。

流行りと作家論

以前ブログで紹介した『乱調文学大辞典 / 筒井康隆』の巻末附録として書かれている
「あなたも流行作家になれる」。

ネタっぽいけどわりと真面目な作家論としても読めるので、軽く紹介しようかなと。

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・日本では、英米の条件に加え、量産する作家が「流行作家」である

・「現代の眼」の話はわりと芯をついている気がした

 

・マンガ一ページは、原稿用紙にして約三十枚の情報量を持っている。

マンガを読むことにより、「マンガよりも視覚的で、マンガよりもスピーディで、マンガよりも面白い、マンガでは表現できなないもの」を発見していただきたい。
それをつかんだら、もうしめたものである。

 

ヘミングウェイの「持つと持たぬと」(To have and have not)という小説の中に、 オ〇ニーをしている女の意識の流れみたいなものが出てくるが、あれを参考にしてもよろしい。男に振られた中年女の自分への哀れみが基調になっていたようである。

 

 

・「流行作家の体質」に改造するための十カ条 も面白かった。

 

1:少年週刊誌二誌、マンガ週刊誌二誌、中間小説誌(月刊)二誌を購読していただきたい。特に少年週刊誌は隅から隅まで読むこと。

 

4:家ではできるだけテレビを見なさい。ただし自分の好きな番組ばかり見てはいけない。

 

7:なるべく歳下の人間と交際しないさい。特に子供とは、できるだけ話すようにしなさい。


ふざけているようで、この辺はわりと真面目な作家論だった。

 

 

「原稿の売り込み方」「ライバルの蹴落とし方」まで書いていたりも。

では、いかにして相手を蹴落すか。答は簡単である。あらゆる機会を利用して、相手の小 説を褒めればよいのだ。しかも、的はずれな褒めかたをする。相手は喜び、褒められた部分 にこそ自分の才能があると思って、次からは的はずれな作品を書く。この辺のところは「批 評に対する心構え」の章を読み返し、それを逆手にとればよいのである。

 

 

「入稿遅れの言いわけ」の章より

 

6.怒号型

「こらあっ。原稿はとっくにできてたんだぞうっ。どうして取りにこなかったんだあっ。けしからんじゃないか。あまりけしからんから、よその雑誌に渡した」

 

 

批評とは、読者が読むもので あって、作家の読むものではないということを、この際あなたははっきり認識しておいた方 がよろしい。

 

 

小説も同様である。締切りの日まで、その仕事をしてはいけない。遊んでいればよろし い。

 

いよいよ締切り日の前日、モーあなたは我慢できない。出そうである。立っていられな い。身をよじって苦しむ。眼前の宙を、折り曲げた両手の指さきでバリバリとひっ掻く。頭 の中には、すでにストーリイができあがっていて、細部まで肉づけが終っている。だがここ で、さらにぐっと我慢し、あなたは肛門括約筋をぎゅうっとひき締める。

さあ、いよいよ締切り日当日。あなたは便所にとびこんで、一気に書きあげてしまう。 一気に書きあげるといっても、おのずからそこには、いいウンコを出すためのテクニック というものがある。

 

 

「流行作家」適性検査も爆笑モノで、
一問目からオ〇ニーの回数を聞かれるという。

(古本を買ったので以前の所有者の回答が鉛筆で書かれていたけれど、
ここだけ「?」になっていて面白かった笑)

 

筒井康隆が、ジャンル別に流行作家を分類している章は、
かなり真面目で、ちょっと参考になったり。

 

「流行作家の末路」も良いオチ。

 

ものの80ページ強の巻末附録な「あなたも流行作家になれる」だけれど、
読み物としてもなかなか面白いので、古本屋でみかけたら手に取ってみてください。

 

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ニュースレター読書会で読みたい本のリクエストを募集してます!

Bookstackの課題本について

みんなで一カ月かけて同じ本を読む オンライン読書会「ブックスタック」。

2025年の読書会の課題本がまだあまり決まってないので、
読者のみんなからリクエストを募ってみようかなと。

ニュースレター読書会bookstack

 

・この本積ん読してるので、誰かと読みたい

・難しそうなので、なにかしら読む動機がほしい

・この本面白いって評判なのでおすすめ!


   などのリクエストお待ちしてます。

 

小説、ビジネス本、ノンフィクション、漫画、詩集、など
どんなジャンルでもOKです。

 

ちなみに、来年 2025年1月は フランス文学の
ミシェル・ウェルベックの『ある島の可能性』を読む予定です。

 

2月は『美しい星 / 三島由紀夫』

3月は 『族長の秋 / ガルシア=マルケス』(※文庫本が2月末に出るので!)

の三冊だけを予定しています。

 

まだ後半の予定が未定ですので、
みんなの積極的なリクエスト募集してます!

 

Google Formやこのブログのコメント欄、各種SNSなど、
どこからでも結構ですので、気軽にお便り頂ければなと。

forms.gle

 

 

「BookStack」への登録はこちらより。(※もちろん無料です)

 

 

 

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『乱調文学大辞典 / 筒井康隆』のユーモアを楽しむ一冊

『悪魔の辞典』のパロディー本

もう五年ほど前に、京都の古本屋で見つけた『乱調文学大辞典 / 筒井康隆』。

この本を一言であらわすと、
”アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』の筒井康隆版パロディー”
ということになるかと。

 

本の裏側にのっているあらすじを引用するとこんな感じ。

真面目な人、ふざけたことが嫌いな人、笑わされると怒る人、書物に教養を求め る人、文章には思想がなければならぬと思っている人、この本はそういう人たち には無縁のものである。上の範疇に入ら ぬ方のみ、この本をお読みいただきたい。 と著者が華麗なる狂気をもって世に問う文学辞典決定版! 巻末付録もついてお ります。


この"巻末附録"の「あなたも流行作家になれる」はふざけているようで、実はわりとまともな小説論を書いていて面白かったり。(それはまた別の機会に)

※追記(2025.1.15): 書きました。

→「あなたも流行作家になれる」筒井康隆の小説論を読む

 

まあとにかく、文学大辞典や ビアスの『悪魔の辞典』を筒井康隆なりに解釈した、
雑誌の連載をまとめた一冊です。

乱調文学大辞典 筒井康隆を読んだ感想

1975年出版で、なんとお値段220円。
さすがに物価の変化を感じるな・・・。


 

筒井康隆のコメディ辞書

・・・ということで、個人的に気に入っていることばをいくつか引用してみようかなと。

 

いわなみ・しょてん 【岩波書店】 「星の王子さま」意外によってSFを出したことのない一流出版社。

 

きさい【奇才】 こう呼ばれて世にもてはや される頃は、奇才ではなくなっている。

 

きゅうばしのぎ 【急場凌ぎ】 新人の作品 が日の目を見ること。

 

きふく【起伏】 小説中の男女が何度も寝たり起きたりすること。これの少い小説は、 起伏に乏しいといわれる。

 

キャリア  決定打の出ない作家が、職歴のな がさを自分で誇る時に使うことば。

 

そりゅうし【素粒子】 中性子、中間子、電 《子、陽子、光子、猛子など、SFに登場 する女性(あるいは中性)の総称で、いずれも気が荒い。

 

ちゅうたい 【中退】 作家への道。

 

ツタンカーメン エジプトのラーメン

 

にいじまーじょう 【新島襄】 同志社を開校した宗教家。同窓会に出席できなくなるからこの人は茶化さないことにします。

 

ひきげき【悲喜劇】きんたまが浴槽の吸込口に入って抜けなくなること」

(※大江健三郎の小説ネタ)

 

りきゅう【利休】 発明家。利休下駄、利休

箸、利休焼、利休茶、利休簞笥、利休ネズ

ミなどを発明した。 

などなど。

 

「ん」の項目もちゃんとオチがついてて面白いので読んでほしいなと。笑

 

昔からこういう毒のあるユーモアを含む文章に憧れるので、
古本屋で何の気なしに買ったこの本、わりと何度も読み返したりしてます。

まさに「私の一冊」。

サクッと読めるので、
筒井康隆のエグ味が苦手、という人でもわりと楽しめるはず。

 

筒井先生、『カーテンコール』を最後に引退されるそうだけど、
あと何作か書いてほしいな・・・。

(※『百年の孤独』のあとがきでも抜群の文章力を発揮していてさすがだった)

 

オチがないけど、そろそろこの辺で。

 

※このブログ記事は、
私の一冊 Advent Calendar 2024 - Adventar の9日目に書いた記事です。

 

nejimakinikki.hatenablog.com

『ペドロ・パラモ』のNetflixでの映画化が気になっている。

ネトフリでの映像化

"メキシコ文学"といえばまず名前が挙がるほど有名な、フアン・ルルフォの小説『ペドロ・パラモ』。

僕はまだ読んだことがないので、内容についてどうこういうことはできないけれど、
以前から気になっていたこの小説が、2024年11月6日にネトフリで配信予定です。

 

つい先日公開されたばかりの『Pedro Páramo』公式トレイラー

 

自分の父親、ペドロ・パラモを探して男がたどり着いたのは、暴力 とかなわぬ恋がもたらした怒りによって破滅に追い込まれた町だっ た。原作はフアン・ルルフォによる金字塔的小説。

短い予告編を見る感じでは、わりとしっかりした映像でなかなか気合も(お金も)はいってそう。

 

撮影の様子も。

 

監督はロドリゴ・プリエト監督というメキシコ出身の方。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の撮影や、
ゲイ的には外せない『ブロークバック・マウンテン』
遠藤周作原作の『沈黙 -サイレンス-』にも参加していたり。

ほかにも、アイリッシュマン、バービー、キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンなど
日本でも話題になった作品の経験ありで、まずハズレはなさそうな感じ。

 

映像のテイストがそれこそ同じくラテンアメリカ文学の名作『百年の孤独』に似ている気がするけれど、こういう表現が流行っているのかどうなのか。

 

アフリカ文学の『やし酒のみ』の流れで、
似た感じのこれも読もうと思っていたペドロ・パラモ、
まずは映像から楽しんでみようかと。

 

・・・確か原作もそれほどページ数は多くなかったと思うので、
映画版がよければ小説も読んでみたいとは思ってます。

 

偶然といえば偶然なんだけど、
最近とあるきっかけで仲良くなったメキシコ人の友人がいるので、
配信されたら一緒に観るつもり。

 

そういえば、日本でも『南総里見八犬伝』が映像化されてたり、
村上春樹の短編もアニメ化されたり、『箱男』も実写化してたり。

 

世界的に、文学を映像化するのが流行っているんですかね~

オチもないけど、メキシコ文学に興味がある人はぜひとも。

 

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読書会のニュースレターもやってます。
来月は『蠅の王』をみんなで一カ月かけて読む予定なのでお気軽にどうぞ。

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』を読みつつ日記を書くことにした。

無駄な悩みを増やさないために

アマゾンでキンドルの新刊を探しているとふと見つけたこの本。

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』

このブログやSNSには、どっちかというとプラスの、
(いいかえれば明るい話題しか)書かないようにしているけれど、

もちろん人生には、実際はブログに書かないようなしんどいこともたくさんあって。

今までそういうことを書いてこなかったなぁと、ブログを振り返ってふと思ったり。

 

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』の感想と日記

・・・ということで、
内省的な内容もたまには書いていこうかなと思った次第。

 

昨日購入してほんとにザっと読みした中で。
印象に残ったこと5つほどあげると

・自分がどのような自己否定しているかを具体的に確認する

・自己否定を書き出す

・第三者を登場させる

・自己否定のメカニズムを知れば知るほど、どんどん自己否定をしなくなる

・自己否定したくなった瞬間に、幼年期の「私」に会いに行こうとすると、いろんな感情に気づけるようになってくる

 

あたりがなるほどなぁと。
まじめな感想は、日記を書きながらじんわり書いていこうかなと。

 

話は脱線するけれど、
子供のころから親はかなり厳しく基本毎日怒られるばかりだったので、
自己肯定感みたいなのは全然なくて。

一人で悩むことはわりと多かったなと。

 

特に自分が同性愛者だと気づいた大学時代はしんどかった。
相談する人もいなかったし、
「この先60年も、隠しながら生きなければならないのか」と一人で抱えていたのはほんとうにキツかった。

「いやーよく生きていたね」とあの頃を振り返ると思うぐらい。

 

「しんどくても体は動かさないと」とランニングを続けていたのが唯一の救いで、

ランナーのバイブル『Born To Run』や『走ることについて語るときに僕の語ること』

『脳を鍛えるには運動しかない』みたい走ることについての本を読んでいたのでそのあたりはなんかやっぱり印象深い。

(自己啓発本もたまには役立つのよね、そういう意味では)

 

中学から高校時代によく聞いていた音楽、

U2やらR.E.M.やらルー・リード、グリーン・デイやら、デヴィッド・ボウイ、パティ・スミスやらミスチルやら宇多田ヒカルやら。

あの辺りは本当に救われた。

 

こんなハリウッドスターでさえ「死にたい」と思い、
オリンピックに出るスポーツ選手でさえ、
何度も自殺を考えた、みたいな発言は珍しくない。

 

しんどいアピールをしたいわけじゃないけれど、
やっぱりけっこうキツイのよ、正直。

 

事実、大学時代は音楽に人生を救われたようなもんなので、
U2とかR.E.M.とかブライアンイーの話題がしょっちゅう出てくるのはそういうことだったりする。

このブログに音楽の話題を書いてるのは一種の恩返しみたいなもので。

 

・・・とあまりぐだぐだ書いてると時間がないので、この辺の話はあとで追記するとして、

無駄な自己否定をしないようにするために、
100日間「自己否定をやめるための日記」を書こうかなと。

 

100日日記だと、

7日×14週+2日間=100日間という感じで

週に一回まとめて書くと2日余りが出るので、
まずは読み始めてから2日経った軽い日記を、
ねじまき日記のブログの方で書いてみました。

『自己否定をやめるための100日間ドリル / 坂口恭平』の日記を書いていきます。(~Day2) - ねじまき日記

今後はサブブログの方で書いていこうと思うので、
興味がある方は気軽に読んでみてください。

 

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11月のナノライモ(全国小説執筆月間)に向けて本を書く準備をしている。

NaNoWriMで短編小説を書く試み

全世界で小説を書くイベント「ナノライモ」(National Novel Writing Month)。
毎年11月は「一カ月で50,000字」を書くことが目標となっています。

・・・ということで、11月は「短編小説を2~5作書く」を目標にしようと思います。

ナノライモについて、詳しくは昔書いた記事を読んで頂ければと。

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ちなみに10月は、本イベント(11月)の準備期間として
「Preptober」が行われています。

www.eadeverell.com

ナノライモ準備期間用のカレンダーとして、こんなものがあったり。

ナノライモNanowrimo準備期間用カレンダー

ナノライモ準備期間用カレンダー

 

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・NaNo Prep 101

nanowrimo.org

準備のための資料あれこれも。

 

ねじまきの目標は、
「30 日間で 50,000 ワード分小説を書く」ということ。

短篇小説を2~5本ぐらい書くつもりで準備を進めていきます。

 

 

・「NaNoWriMo で勝つためのヒント」

ガイド的なものがあったので軽く引用。

→ 11 月までに 小説のアイデアのアウトラインを作成する。
プロットのアウトラインを作成し、登場人物を作成し、設定や世界を構築して、言葉がより早く流れるようにする

→スケジュールに基づいて毎日の単語数目標を設定する。

→単語数目標を達成するには、毎日何時間書く必要があるかを計算します。カレンダーに執筆セッションをスケジュールしておく。 

→ 11 月は執筆チャレンジで忙しいことを友人や家族に伝える。あまり社交できなくても理解してもらうようにしておく。

→予定された執筆セッション中に気を散らすものや時間の無駄を排除して、生産性を最大限に高める。

→「とにかく書く」という考え方に従う

 

こっそり短編小説用のはてなブログも実は作ってたりします。
短編小説集のタイトルは『エブリシングカウンツ』。

進捗などはこちらで書いていこうかなと。

everythingcounts.hatenablog.com

『灯台へ / ヴァージニア・ウルフ』文庫版のウェブ読書会を行う予定です。

鴻巣友季子訳 / 新潮社 

みんなで一カ月かけて同じ本を読むオンライン読書会「Bookstack」
2024年10月の課題本はヴァージニアウルフの代表作『灯台へ』。
新潮社より最近発売された文庫版を読もうかなと。

www.shinchosha.co.jp

あらすじはこんな感じ。

「いいですとも。あした、晴れるようならね」スコットランドの小島の別荘で、哲学者ラムジー氏の妻は末息子に約束した。少年はあの夢の塔に行けると胸を躍らせる。そして十年の時が過ぎ、第一次大戦を経て一家は母と子二人を失い、再び別荘に集うのだった――。二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出し、文学史を永遠に塗り替え、女性作家の地歩をも確立したイギリス文学の傑作。

河出書房から出ていたものを文庫化したものらしいので、
一応バージョン的には新訳といえるかなと。

 

ニュースレターや掲示板を活用して、オンライン読書会を行う予定です。

専用の掲示板(BBS)も作ってみたので、
進捗にあわせて自由にカキコしていただければと。

zawazawa.jp

 

バージニアウルフの代表作としてめちゃ有名なのはもちろん、
『文体の舵をとれ』で紹介されている文章に惹かれて、
この本を読もうと思った方は多いんじゃないでしょうか?

 

ニュースレターでの読書会スケジュールとしては月三回。

読んだ感想や気に入った文章、理解を助けてくれるリンク集などを配信予定。

 

下記のイメージで。

 

・10日に配信 142ページ(第一部15章)まで読了予定

・20日に配信 P263ページ’(第二部終り)まで読了予定

・31日に配信    432ページ(ラスト)まで


(※別に読書ペースは自由なのですが、メール配信は上記スケジュールになります)

 

だいたい、1日に15ページ読めば1ヶ月以内に読み終わる計算。

 

もちろん 古い翻訳の単行本や、英語原文での参加も問題ありません。

 

ここから「BookStack」に登録していただければ、そのうち通知が届くかと。

 

文学史的にも有名な本なこともあり、
以前からずっと読みたかった一冊なので、これは本当に楽しみ。

紙の文庫本にあわせて、同時にKindle版も出てるのはちょっと意外。

 

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ジョージ・ソーンダーズの短編小説講義本『ソーンダーズ先生の小説教室』が出版されるらしい。

George Saundersの邦訳新刊

ブッカー賞も受賞している、現代アメリカ文学を代表するジョージ・ソーンダーズの日本語訳新刊『ソーンダーズ先生の小説教室 ロシア文学に学ぶ書くこと、読むこと、生きること』が9月26日に出版予定。

英語原題は『A Swim in a Pond in the Rain』。

 

個人的にはジョージ・ソーンダーズの大ファン、というほどではないけれど
何冊か読んでいて、その突飛な設定や発想、プロットはどこから生み出されているのか気になっていたので、以前から原書を読んでみようと思っていたり。

 

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ジョージ・ソーンダーズの著作は、アメリカの歴史や外国事情に詳しくないと
読み切れないところがあるため

日本人としては読み取り辛い方の作家だと思うけれど、
アメリカではカルト的な人気がある(らしい)小説家なので、

 

ロシア文学の短編に限定して解説、というのもなかなか魅力的で、
予備知識がなくても深く読み込めそうなので、わりと楽しみにしてます。

 

 

Kindleで洋書を買おうか、Audibleで聴こうか、わりと真剣に迷っていたので、
日本語訳で読めるのはありがたいなと。

 

先回りして、この短篇小説を読んでおこうかと思ったら、
どうやら日本版は全文新訳で収録してくれているみたい。すごい。

アントン・チェーホフ(1860-1904)「荷馬車で」「かわいいひと」「すぐり」
レフ・トルストイ(1828-1910)「主人と下男」「壺のアリョーシャ」
イヴァン・ツルゲーネフ(1818-1883)「のど自慢」
ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)「鼻」

 

秋草俊一郎さんという方と、柳田麻里さんが翻訳者とのこと。


モーパッサンはないんだな、というのがちょっと不思議な気もする?

・チェーホフの「荷馬車で」
・ゴーゴリの「鼻」

以外は読んだことないと思うので、
単純に知らない短編を読めるという意味でも楽しみ。

 

偶然、翻訳された方のポストをはてなブログで見つけたり。

yakusunohawatashi.hatenablog.com

はてなブログって、海外文学界隈も意外とたくさんいてあなどれないんですよね~

 

お値段はまあまあ張るんですが、
ちょっと前から目をつけていたので、読んでみようかな~と。
(Substackでニュースレターも拝読しているのでお返ししたいといのもあって)

収録される短編は7編あるので、ブログで一つずつ感想を書いてみるのもいいかも?

 

小説論的な本ででいくと、
チャック・パラニュークの『Consider This』とかも、
かなり実践的で読みやすい内容で日本でも人気ある作家だと思うので、
こちらも邦訳されると良さそうなんだけれど、出版社の方いかがでしょう?

 

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読書にも"トロフィー機能"があったらいいのに。

本を読むことと実績解除の楽しみ

最近『百年の孤独』のオンライン読書会を終えて、ふと思ったことを書こうかなと。

読書って読者の想像力を試すようながあるので、
身も蓋もない言い方をすると、「想像力や知識がないと楽しめない」という側面があるということ。

 

今、日本で流行している『百年の孤独』でいえば、
"コロンビア"と聞いてパッと情景が思い浮かぶ日本人はそれほど多くないだろうし、
(僕もコカインとマフィアが思い浮かぶぐらいだった)

ましてやコロンビアのずっと昔の戦争の歴史のなんて知るわけもない。

 

ただ、そういうものを自分で調べていって、
軽く知識をつけておくと、わりと知らない国の文学でも楽しめることができたり。

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コロンビア音楽を聴きながら、
Youtubeでコロンビアの村の動画を見てみたり。

あとは掲示板(BBS)でみんなの意見や気に入った文章を聞きあったり。

 

読書の楽しみ方って、もう少し広げられる気がするな、

と思ったのがここ最近のこと。

 

 

あと、読書はあまりにも"孤独"すぎる趣味なので、
多少は今の時代にあった"交流の場"的なものがもっとあればいいのになと思った。

 

たとえば、『文体の舵をとれ』(フィルムアート社)は

Twitterや小説サイト「カクヨム」での交流など、

出版社の盛り上げ方もうまかったし、ある種一つの成功例なのかなと。

 

 

・・・ふと思い浮かんだのが、
どの出版社でもトロフィー(実績解除システム)を作れる専用サイトやアプリを作って、実績解除をしてみんなで楽しんだり、SNS的な交流もできたら面白いなと。

 

□ コロンビアのバナナ戦争について調べる 『百年の孤独』

□ 小泉八雲の出生を調べる 『耳なし芳一』 

□ Kのあの一言はどういう意図で発せられたか 『こころ』

・・・みたいな。

 

そこまで手をかけたくないのであれば、
本のしおりに□チェックボックスをつけて、
それに沿って読者自身がリサーチをするだけで、
知らない間に読みやすくなっている、という仕組みがあったりしたら、
「ちょっと買ってみようかな?」と思う人も増えるはず。

 

『百年の孤独』の今回のヒットは、
「あの"名著"も今回なら自分でも読み通せるかも?」と読者に思わせたことが
主な勝因だと思う。
(人を選ぶような水墨画みたいな表紙から、
ワクワクを搔き立てるブックカバーになったのも英断だった)

 

 

また話は飛んで、
先月発売されたばかりの『世界文学アンソロジー』、

www.sanseido-publ.co.jp

公式ページの"発問例"一つを紹介。


あまり伝わらなかったけれど、
こういうリストを作って、
自発的に実績解除させていくと自然に読者の理解が深まる、
みたいなものがあればいいなと。

ガブリエル・ガルシア=マルケス(コロンビア)
「世界でいちばん美しい溺れびと」

・特に気になった表現(比喩や語彙など)を抜きだしてみよう。

・この物語の文体やトーンからどのような印象を受けるか、考えてみよう。

・水死体がやってきたことで、村におこった変化をまとめてみよう。
また、その変化の理由を考えてみよう。

・「名前」という要素が、この物語の中で果たしている役割を考えてみよう。

こんな問いかけがあるだけで、読者の道しるべになるし、

海外文学は特にどう展開しているのかが読みにくいものが多いので、こういうのはありがたい。

 

こういうのものが、
例えばしおりに挟まっていたり、
『百年の孤独』の読み解きキットのように配布されていたりしたら、
読者にとっては大きな足掛かりになるはず。

 

 

本ってテキストだけに価値があるのではないと個人的に思っているし、
本文を読むだけではない楽しみを知ってもらうのが、読者を広げることにならないかなぁ、と思いこの記事を書いてみました。

 

・・・話が脱線するけれど、
最近、ゲームに関する調べ物をしていると、
エンタメに特化したゲームソフトでも
クリア率はだいたい30%ぐらい、
という話を読んだ。

なるほど、ゲームでもそうなのか。。

 

みんなの読破率とかを見られれば、
なにか読書に取り組む基準になりそうな気がしているけれど、どうだろう?

電子書籍なら簡単にデータは集められるはずだし。

 

洋書多読界隈だと、いわゆる「YL(読みやすさレベル)」という基準があって、
自分の読解レベルに適した本を選ぶことが出来るのはわりと面白いし、
自分もこれを基準に本を選んだこともよくある。

 

音楽本も最近はよく工夫されていて、

ブラジル音楽の本『ブラジリアン・ミュージック』もSpotifyプレイリストへのリンクが貼ってあったりで、非常に参考になった。

ピーターバラカンさんの『新版 魂(ソウル)のゆくえ』もQRコードですぐ音源を聴けるようになったいたり。

カルチャー系の本は初心者にもやさしい仕様になってきているし、
そうでもしないと本が売れない時代になってきているとも言える。

 

 

・・・話は少し脱線するけれど、最近AI×読書のこんなサービスを見つけた。

Rebind AI

www.rebind.ai

Rebindは、一言でいえば「AI拡張読書サービス」というような感じ。

読書の内容に関する別の読者・専門家の解釈などを動画で見れたり、
自分だけの対話する相手ををAIで作成して、
本についての考えを AIの自分と話し合うこともできたりするらしい。

 

著者のインタビューやテキストを読み込んだAIガイドと対話できるなら、
詰まったときもAIに質問したり、
その文章の背景を知ることが出来たりしてなかなか面白そうな試み。

・・・実際に試したわけではないので、どれぐらいうまく読書体験を拡張してくれるのかはわからないけれど、方向性としてはとても面白いなと思った。

 

X-RAY

そういえば、ずいぶん前から
Kindleにも「X-RAY」という読書補助的な機能があるのをふと思い出した。

 

その人物に関連したシーンや文章を抜き出してくれる機能。

洋書の「あれ?誰だっけこれ…」現象を減らすことができるガイド的なそれ。

(・・・ただ、日本語だとちゃんと対応している電子書籍が少ないのと、
わざわざX-RAYで見るより、該当部分に戻って読み直した方が理解がしやすいことが多いので、個人的にはあんまり使ってないけれど。)

 

 

記事のタイトルから趣旨が逸れてしまったけれど、
読書という体験はAI時代においてもまだまだ死なないし、
工夫の仕方はまだまだあるよね、という話でした。

出版社もまだまだ工夫ができる部分はあるだろうし、がんばってほしいなと。

長くなってきたので、そろそろこの辺で。

 

誰でも参加できる、読書会はこちらより。
今月はお盆に読んだ本についてお届けしますので、
気軽に参加してみてください!

 

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NewYork Timesの"読者"が選ぶ本100冊と補足記事あれこれ

ニューヨークタイムズの100冊

一週間前に書いた下記の記事が、意外と読まれたので、
軽い補足記事的なものをいくつか貼っておきます。

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新たに公開された、
「ニューヨークタイムズの読者が選ぶ100冊」。

・Readers Pick Their 100 Best Books of the 21st Century 

www.nytimes.com

 

日本で知名度高い本や、日本語訳されているものを中心にピックしておきます。

 

91位 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』三体ではなくこちらがランクイン。

86位 『パイの物語』映画『ライフオブパイ』の原作。
小説だとどんな感じなんだろう?

79位 『1Q84』わりと日本色が強いこれがウケるのがよくわからないけれど、確かにアメリカのメディアでも当時騒がれていた気もする。

78位 『海辺のカフカ』ギリシャ神話好きなアメリカ人に、ジョニーウォーカーとカーネルサンダース、と来たらこれは間違いないでしょう。

・・・ということで村上春樹が2作が登場。日本人作家が入ってて良かった。

75位 『リンカーンハイウェイ』
気になっていたロードムービーもの。

74位 『クララとお日様』
カズオイシグロのAIを描いた最新作。
なんというか"トイストーリー好き"の方におすすめ。

73位 『ハリーポッターと死の秘宝』

児童書なのにあのダークな展開とまとめ方はやっぱり偉大。
新装版出てたの知らなかったけれど、表紙ちょっと違和感あるな・・・。
(J・K・ローリングさんは今や褒めにくい存在にはなってしまったけれど)

56位 『ハンガー・ゲーム』映画の人気っぷりからすると納得の順位。

49位 『ゴーン・ガール』これも映画でかなり話題になった印象。

 

イアン・マキュは読者チョイスだと2作ランクイン。
米国ではなく英国の作家なのにさすが。

『クララとお日さま』は普通に楽しめたし、
やっぱ代表作『贖罪』も読んだほうがいいのかなぁ。

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50位以下はちょっと大きめに。

 

45位 There There

ゼアゼア

ゼアゼア

Amazon

「都市インディアン」たちの物語。これは前から気になっていた。

 

27位 Normal People

海外旅行中にこの表紙はかなり頻繁にみたので、相当売れてそう。
(それこそ日本で言う『コンビニ人間』ぐらいの頻度でみた)

アイルランドの恋愛ものだそう。

・・・邦訳『ノーマル・ピープル』が出版されていたのを今知ったり。

 

 

16位 The Amazing Adventures of Kavalier & Clay 

これはなんかのメディアで話題になっていのをみた気がする?
表紙もなんか惹かれます。

 

10位以下はネタバレになるのでご自身でお確かめください。

(ハニヤ・ヤナギハラの『A LITTLE LIFE』邦訳出してください・・・)

 

以前書いた"偉い人チョイス"と比較して、
"読者が選んだ作品"ということで、一気に距離が近くなったような気がします。

 

ちゃんとどちらでも選ばれている作品は、やっぱり読んで損はなさそうだし、
『オーバーストーリー』読まなねば。

(※トランプ氏暗殺未遂のカメラマンの件もあって、
最近ピューリッツァー賞の評価がうなぎ登りな気がする・・・。)

 

あと個人的にありそうだなと思っていたのをいくつか挙げると、

映画化されてかなりネット人気もある『火星の人』は、入ってそうで入ってなかった。

『マネーボール』とか影響が大きそうなのに、かすりもしないのが意外。

その他、『ドラゴンタトゥーの女』とかダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』とかが辺りも入っててもいいのでは?と思ったりしたけれど、ランク外。

 

あとニューヨークタイムズの読者が選ぶランキングなのに、
ポール・オースターが一冊も入ってないのがちょっとかわいそうな気がしたり・・・。
2000年代以降は爆発的ヒット作が出せなかったのもあるのかな?

 

下記、ランキングに対する反応をいくつか載せておきます。

 

21世紀のグラフィックノベル

austinkleon.substack.com

グラフィックノベルは『ペルセポリス』と『ファンホーム』のみだったので、
それに対して『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST』で有名なAustin Kleonが書いたニュースレター。

 

いろいろ挙げられていて、どれも興味をそそられるけど、
サミン・ノスラットの『Salt, Fat, Acid, Heat』は
Netflixの番組がめちゃ面白いので本も間違いないはず。

www.nejimakiblog.com

 

 

「100選」への批判と感想

countercraft.substack.com

「40 歳未満でランクインした作家は 1 人もいない」と書かれていて、確かにベテランばっかりだったな・・・と。

そもそもの投票の仕組みからしてご年配の方が多いため、権威主義的なものになってしまったのは確かにある。

あとはオートフィクションについてのあれこれ、ジャンルを越えた作品がトレンドである、とか面白い意見だな。

この方が選ぶおすすめ作品リストも興味深かった。

 

 

21世紀のベスト音楽本14冊

thegig.substack.com

パティ・スミスの自伝『Just Kids』とか気になるものばかり。

 

"100選"の補足

あと、以前書いた「100選」記事の補足として、
Ryota2007さんがまとめてくださった邦訳リストがわかりやすい。

 

Yomoyomoさんのまとめも。

こうみると、かなりの洋書が日本語訳されていて、
海外文学好きとして、日本はかなりありがたい環境なんだなと改めて思ったり。

 

とりあえず『ファンハウス』と『We The Animals』は他の本と並行して読もうかなと思うので、来月末あたりに感想書ければいいんだけれど。

 

『Apple Musicのベストアルバム100枚』もそうだったけど、
批判や色んな意見はあれど、こういうリストをみて、わいわいできれば御の字。

色んな知らない本を知れて、なかなか面白い企画だったなと。

・・・長くなってきたのでそろそろこの辺で。