TOEICと英検の違いやスコア換算表を紹介

「TOEICと英検のうち、役に立つのはどっち?」
「TOEICと英検ってレベルはどちらが高いの?」

TOEICと英検は、日本では受験者数が多い人気の資格試験です。

どちらも受験者の英語力を公的に判定する試験ですが、TOEICと英検のどちらの受験が適しているかは、受験者本人の目的によって変わってきます。

この記事では、TOEICと英検の難易度や試験内容の違いを比較しながら、どのようなシーンでTOEICが、または英検がおすすめなのかを解説します。

「役に立つのはどちらか」「得点しやすいのはどちらか」という点についても、実体験を交えて書いていますので参考にしてみてください。

高校受験、大学受験、就活、転職など自分の目的に合った試験を選び、しっかり対策して高スコア・合格を目指していきましょう。

なお、この記事内でのTOEICは、多くの人が受験している「TOEIC L&R(リーディング&リスニング)試験」のことを指しています。

執筆者:Lin
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小4までアメリカの現地校に通い、帰国後は「英語はネイティブ並みでしょう?」という周囲の誤解とプレッシャーゆえに、英語の勉強から遠ざかった過去あり。中途半端な英語力にコンプレックスを感じ、大人になってから再勉強。英検1級。ケンブリッジ英検CAE。TOEIC910点。さらに英語指導者(TEFL)や児童英語指導者(TEYL)の資格を持つ。プロフィールの詳細はこちら

TOEICと英検のレベルを比較!スコア換算表

「最近英検2級に合格したけれど、今TOEICを受験したら何点くらいとれるの?」
「英検1級とTOEIC900点はどちらがすごい?」

このように思われたことはありませんか?

英検とTOEICはどちらも英語力を測定する試験ですが、出題傾向やテスト形式が異なるため「TOEIC何点は英検何級に相当する」といった単純換算をすることはできません。

英検で同じ級を保持している人同士でも、TOEICの点数は同じにはなりませんし、逆も同じです。

とはいえ受験する立場としては、ある程度の目安は欲しいですよね。文部科学省がCEFRを基準に検証したデータがあるので、こちらを参考にしてみてください。

TOEICと英検のスコア換算表

CEFR TOEIC L&R 英検
C1 945~ 1級
B2 785~ 準1級
B1 550~ 2級
A2 225~ 準2級
A1 120~ 3級~5級

参照)文科省 各資格・検定試験とCEFRとの対照表各試験団体のデータによるCEFRとの対比表

TOEICと英検の違いを比較

ここでは、下記5つのポイントでTOEICと英検の違いを比較してみました。

TOEICと英検の比較ポイント

  • 試験の目的
  • 試験概要
  • 試験の有効期限
  • 試験の出題内容
  • 試験対策・勉強法

TOEIC、英検ともに「英語の試験」という点では同じですが、試験の目的や概要、出題内容、試験対策方法も異なる点があります。

違いを知ることで、あなたが受験するべき試験がどちらなのか判断しやすくなるでしょう。

試験の目的

まずTOEICと英検では試験の目的が異なります。

TOEICは「英語によるコミュニケーション能力の測定」を目的としています。

オフィスや日常生活で、英語を使って意思疎通を図れるかどうかが問われる試験です。

英検はレベル別に7つの級があり、その級にふさわしい総合的な英語力が備わっているかを判定します。

日常生活からアカデミック、ビジネス、と社会で求められる英語力を幅広く測定しているのが特徴です。

試験概要

試験概要の主な相違点をわかりやすく表でまとめました。

TOEICと英検の試験概要の比較

TOEIC L&R 英検
受験料 7,810円
※リピート受験割引制度あり
4,100円~12,500円
※個人申込の場合。金額は受験級による
実施頻度 年10回 年3回
※ CBT=コンピューター版テストは原則毎週土日実施
測定技能 ・リスニング
・リーディング
・リスニング
・リーディング
・ライティング
・スピーキング(3級以上)
形式 マークシート方式 一次試験:マークシート方式+記述式
二次試験:面接(3級以上)
所要時間 合計120分
・リスニング45分
・リーディング75分
一次試験:50分~140分
二次試験:5分~10分
※ 時間は受験級による
結果 10~990点
5点刻みのスコア評価
5級~1級までの全7級
級別の合否判定

※ 2024年12月現在の情報です。試験内容や受験料は変わる可能性があります。

TOEICはスコア評価制なので、受験料の設定が1つしかありません。

ですが英検の場合は級が分かれているため、受験級によって料金の変動があります。級が上がるにつれて、受験料が高くなるのです。

また個人申込か団体申込か、従来型(筆記型の試験)か英検S-CBT(コンピューター版の試験)かによっても受験料が異なります。

TOEICとの受験を迷っている方はおそらく3級以上の受験を検討している方が多いと思いますが、3級の団体申込で最安5,000円、個人申込だと6,900円になります。

英検3級のS-CBT試験が7,800円なのでちょうどTOEICと同じくらいの料金になりますね。

個人受験の場合、英検準2級が9,100円なので、準2級以上の級はTOEICよりも料金が高くなると覚えておきましょう。

実施頻度は、TOEICが年10回開催されているのでほぼ月1回受験のチャンスがあります。

英検は従来型だと年3回しかありませんが、S-CBT試験は原則毎週土日実施されているので、席さえ確保できればいつでも受験できます。

ちなみにS-CBT試験と従来型の試験とで、スコア価値の違いはないので、安心して受験してください。

試験の形式はどちらもマーク式を採用。英検はマーク式に加えて、筆記試験と級によって面接試験もあるので、ライティングとスピーキング試験の対策も必要です。

もっとも大きな違いは試験結果の出し方です。

TOEICはスコア評価である一方で、英検は5級~1級までの合否判定となっており、級を取得するために合格点を目指す必要があります。

試験の有効期限

「苦労して取得したのに、有効期限が切れていて進学や就職で生かせなかった」といったことにならないように、TOEICと英検の有効期限について事前に確認しておきましょう。

資格自体が失効してしまうことはない

結論からいうと、TOEIC、英検ともに資格としての有効期限はありません。

年月と共に失効してしまったり、更新手続きが必要だったりすることはないのです。

しかし「英語力」という変動しやすい能力を測る試験である以上、「どの時期に取得したものか=どの時点での英語力の証明なのか」ということを、進学先や就職先から問われるのは当然でしょう。

履歴書等にスコアや取得級を記載することに制限はありませんが、進学や就職で「試験免除」「加点措置」など優遇措置を申請する場合は、学校や企業側が「2年以内」「5年以内」など有効期限を設定していることがほとんどです。

LinLin

求められるスコア、級は学校や企業によって異なります。規定を事前に確認することが失敗しないポイントです。

TOEIC・英検ともに「2年以内」がキーワード

TOEICは運営団体側に「公式認定証の発行期限は受験後2年以内」という規定があります。

そのため採用側である企業も「TOEICスコアの有効期限は2年以内のもの」と規定するところが多いのが現状です。

私自身が外資系企業で採用担当をしていたときには、志願者のTOEICスコアは「半年から1年以内の日付のものが望ましい」という暗黙のルールがありました。

2年以上前のスコアは「現在の英語力」を示すものとしては信頼度が低く、満点などよほど突き抜けたスコアでない限り参考にできないのです。

英検には、TOEICのように運営団体側が規定する期限はありません。

しかし大学入試などで優遇措置を申請する場合、有効期限は「出願日から2年以内の日付」とする大学が大半です。高校生であれば、2年生に進級してから受験したものであれば充分入試に生かせるでしょう。

試験の出題内容

TOEICと英検、出題内容の違いを見ていきましょう。各試験の構成は下記のようになっています。

TOEIC L&R

リスングセクション
100問45分
Part1 写真描写問題 6問
Part2 応答問題 25問
Part3 会話問題 39問
Part4 説明文問題 30問
リーディングセクション
100問75分
Part5 短文穴埋め問題 30問
Part6 長文穴埋め問題 16問
Part7 1つの文書:29問
複数の文書:25問

英検2級

一次試験
筆記85分
リスニング25分
リーディング 短文の語句 空欄補充 20問
長文の語句 空欄補充 6問
長文の内容一致選択 12問
ライティング 英作文 1問
リスニング 会話の内容一致問題 15問
文の内容一致問題(物語文・説明文) 15問
二次試験
個人面接7分
スピーキング 音読 1問
パッセージについての質問 1問
イラストについての質問 1問
受験者自身の意見など 1問
ある事象・意見について自分の意見などを述べる。
受験者自身の意見など 1問
日常生活の一般的な事柄に関する自分の意見などを述べる。

※ 今回は英検2級と比較していますが、英検は級によって出題内容が異なるため、受験級の出題内容は必ず公式サイトで確認しましょう。

TOEICと英検は「英語のテスト」という点では同じですが、出題傾向の違いがあります。

事前にポイントを抑えておくとより対策しやすくなるので、確認しておきましょう。

単語の難易度はどちらもハイレベルではない

TOEICの単語レベルは決して高くありません。

しかし、オフィスや日常生活で用いる「シンプルな単語を組み合わせた多様な表現」が多く、難しいと感じる日本人学習者も多いでしょう。

英検は級別に単語レベルが分かれています。

単語の知識を問う語彙問題は、どの級も難問揃いですが、それ以外の読解問題、ライティング問題などではそれほどハイレベルな単語力は必要とされません。

文法はどちらも学校英語の復習が大切

TOEICではリーディングセクションの「Part5 30問」「Part6 16問」のなかで文法問題が出題されます。

複雑な英文法知識を問われるわけではないので、学校英語を一通り履修している日本人学習者にとっては得点源になるはずです。

英検は特別に文法知識を問う個別問題は出題されません。

しかし読解問題やライティングでは文法知識があることを前提としているので、最低限の英文法知識の復習は必要です。

リスニングは各試験でタイプが異なる

TOEICのリスニングは45分間で100問と大量です。

オフィスや日常生活を想定した会話文やアナウンス以外に特徴的なのが、Part1の写真描写問題です。

写真描写問題は、風景や人物の写真1枚に対して4つの短文が読まれ、もっとも写真の状況を適切に表現している文を1つだけ選びます。

このような形式のリスニング問題は英検にはありません。また試験中にメモを取れないのもTOEICならでは。かなりの集中力が必要とされます。

英検のリスニングは、元々リスニングが不得手な日本人受験者を想定していることもあり、読み上げスピード、使用語彙なども決してレベルは高くありません。

ただしTOEICと比べると、級が上がるにつれアカデミックな内容も増えてくるので、事前に頻出テーマと頻出語彙はチェックしておく必要があるでしょう。

試験対策・勉強法

TOEICも英検も、単語帳や問題集といった教材が無限にあって、何から手をつけたらよいのかわからなくなるかもしれません。

結論からいうと、勉強方法や対策方法に正解はありません。

一人ひとりの生活や学習スタイルに合わせて、「続けやすい」と思う方法を選んで勉強をしてください。

ただ、各試験対策で必ず意識していただきたいポイントがあります。

ここでは、そんな学習の核となるポイントを紹介するので、最低限これだけは意識して準備しておきましょう。

TOEIC・英検ともに過去問にチャレンジして強みと弱みを把握する

TOEICか英検のどちらを受験する場合でも、過去問や模擬テストを最低でも1回はやっておきましょう。

制限時間通りに解き、答え合わせをします。もし時間内に解き終わらなかった場合は「何分足りなかったか」を把握しておきます。

自己採点の場合、正確な点数を算出できないので代わりに正答率を出しましょう。

他パートと比較して、極端に正答率が低いパート、また高いパートを明らかにして自分の弱みと強みを把握します。

試験対策の基本は「強みを伸ばす」と「弱みをつぶす」を同時進行させることです。

TOEICで重要なのはスピード感

TOEICのリーディングセクションを攻略するにはスピード感が不可欠です。たとえ英語力の高い方でも、ゆっくり、じっくり問題文を読んでいてはとても最後の問題までたどりつけません。

試験対策をする際は、ストップウォッチで計測しながら、素早く情報を読み取る練習を積んでいきましょう。

「教えて!オンライン英会話」では、TOEICの具体的な勉強を紹介しているので、こちらの記事も参考にしてください。

なお、就職や転職などで「期日までにどうしても目標スコアが必要」という場合、TOEIC対策のオンライン講座を利用するなど、プロのサポートを受けるのもひとつです。

客観的に現在の実力を測り、ゴールまで最短距離でたどりつく方法を示してくれるだけでなく、一緒に伴走してくれるサービスは心強いものです。

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英検は「読み取る力」と「自分の意見を伝える力」が不可欠

英検対策、というと単語帳を暗記して単語力アップに時間を費やす方も多いのではないでしょうか。

確かに英検の語彙問題は最初に出題され、問題数も多いうえに突出してハイレベルなので「まずはここから」と、対策を始めたくなりますよね。

しかし英検突破の鍵は単語力ではありません。もっとも重要なのは「英語を読み取る力」つまり、リーディングの力です。

各級で過去に出題されたリーディング問題を、じっくり読み込んで頻出テーマを抑えておきましょう。

もうひとつ英検対策で重要なのはライティング、そして二次試験のスピーキングで問われる「自分の意見を伝える力」です。

シンプルな言い回しでも、しっかり自分の意見をまとめ、第三者に説明する練習を積みましょう。

語彙問題の正答率は半分程度でも充分合格は目指せます。なぜなら語彙問題で出題されるようなハイレベルな単語は、語彙問題内でしか出てこないからです。

他パート、たとえば読解問題やライティング問題では同レベルの単語は必須ではありません。もちろん知っているに超したことはありませんが、仮に知らなくても他パートの足を引っ張るようなことはないのです。

「英検対策=単語力アップ」という思い込みを捨て、「英語を読み取る」「英語で伝える」ことを意識して英検対策に取り組めると、目先の合格だけでなく、英語力そのものがしっかり底上げされるはずです。

どっちが難しい?TOEICと英検の難易度

TOEICと英検、どっちが難しい?

TOEICと英検、どちらを難しいと感じるかは受験者の英語力によります。

英語初級者(CEFR A1、A2レベル)に該当する英検5級〜準2級保持者がTOEICの問題に挑戦した場合、多くの方が「難しい」と感じるでしょう。

TOEICは受験者の英語レベルは考慮せず、全受験者に対して同一の出題をします。語彙力・文法力といった英語の基礎力がまだ足りていない英語初級者には、知らない単語や言い回しが多すぎて、問題自体の理解が追いつきません。

TOEICのコンセプトである「英語でコミュニケーションをとる力を測定する」域に達していない状態です。

英語中級者(CEFR B1、B2レベル)に該当する英検2級~準1級保持者になると、語彙力・文法力が向上し、英語でコミュニケーションをとれるレベルに達してくることもあり、TOEICの問題自体が「難しい」と感じることは減ってくるはずです。

ただし英文を何度も読み返したり、逐一日本語に訳したりしながら、時間をかけて英語を理解している人には、TOEICの問題を時間内に最後まで解き終えることはまだ難しいかもしれません。

英語上級者(CEFR C1以上)に該当する英検1級以上を持つ層からすると、TOEICの試験内容自体は特別難解には感じないでしょう。しかし限られた時間内で、大量の情報を処理することは、集中力を要し、簡単なことではありません。

「難しい」とは感じなくても、決して「ラクではない」。それが英語上級者の多くが持つ、TOEICに対する率直な感想ではないでしょうか。

逆にTOEIC高得点者が英検を受験した場合。私の個人的な感覚ですが、990点の満点保持者であれば、おそらく英検1級を「難しい」とは感じないでしょう。

TOEICは4技能をテストする英検と違い、リーディングとリスニングのみの試験ではありますが、満点を取るには相応の高い英語力が必要です。

「高い英語力」とはすなわち「バランスの取れた英語力」であり、満点もしくはそれに近いスコアを取るほどのバランスの取れた英語力の持ち主であれば、英検1級は決して難しい試験ではありません。

しかしTOEIC800点前後のスコアの層になると、英検1級・準1級を「難しい」と感じる人の方が多くなるはずです。

実際、私自身も過去にこのレベルのスコアのとき、英検1級を受験しましたが、恥ずかしながら不合格でした。

「なんとなく」英語を理解している段階で、「正確さ」という点で今一歩英語上級者には及ばないのです。

またオフィスや日常生活で用いる英語がメインのTOEICと違い、英検はアカデミック、自然科学、政治といった幅広いテーマを扱います。

そのため、必要とされる語彙も当然ながら幅広くなり、より「難しい」と感じることになるでしょう。

TOEICと英検のうち受けるならどっちがおすすめ?

TOEICと英検、どっちを受験する?

「TOEICと英検の違いはわかったけれど、自分はどちらを受ければ良いのだろう?」

そのように感じている方へ、どちらの受験がおすすめかを目的別にまとめました。

高校・大学受験を控えた小中学生・高校生は英検がおすすめ

日本国内の高校・大学への進学を志す学生の方には、英検の受験をおすすめします。

近年、入試の外部テスト利用が進みつつあり、英検優遇校が増加しています。入試科目のなかでも「英語」は文系・理系共に合否を左右する重要科目です。

この英語で有利な評価を得ることは、大きなアドバンテージになります。また受験勉強が本格化する前に英検を取得しておけば、受験直前期には他の科目に時間を割くことも可能です。

TOEICスコアも優遇認定している大学もありますが、学校の英語の授業や、受験科目としての英語とのギャップが大きいため、受験勉強と並行しTOEIC対策をするのは効率的とは言えません。

英検優遇措置には大きく分けて以下の3種類があります。自分が進学を希望する学校がどのタイプか、確認してみましょう。

英検優遇措置3つのタイプ

  • 出願資格タイプ

    特定の級を保持している受験生のみ、出願が許される

  • 得点加算タイプ

    特定の級を保持していると、入試当日の英語の得点に加点される

  • 試験免除タイプ

    特定の級を保持していると、入試当日の英語の試験が免除される

保持していると優遇される級の目安は以下の通りです。

優遇される級の目安

中学受験 帰国子女枠など 準1級
高校受験 2級
大学受験 準1級・1級

取得有効期限は、もっとも多いのは「出願日から2年以内の日付」ですが学校によっても異なるので、注意が必要です。

また出願日ギリギリに英検受験をする場合は、合格証明書などの公的な書類が期日までに揃うかどうかも、事前によく確認しておきましょう。

高校生の場合、1年生の間に1度受験して自分の実力を把握しておくことをおすすめします。

この時点で、希望する級の合格までの長期プランをしっかり立てることが大切です。

できれば大学受験の勉強が本格化する前、高校2年の4月から1月のうちに目標とする級を取得しておくのが理想でしょう。

3年生になってからは、英検対策に固執するよりも大学受験の勉強にシフトするのが得策です。受験勉強の合間に、英検の過去問を解いてみて正答率が6割を超えてきたらトライしてみましょう。

大学生や社会人が就職・転職・昇進などビジネスに生かせる資格はTOEIC

日本国内での就職を希望する場合、英語力を証明するのに活用しやすいのはTOEICです。

英語力のアピールとしてだけでなく、選考結果に直結する「試験免除」「加点措置」といった採用側が独自に設けている優遇措置に該当する可能性も高いので、事前に確認しておきましょう。

また民間企業だけでなく、国家公務員や教員の採用試験でも優遇措置は広がっています。

優遇措置の基準で多いのは「TOEIC730点または英検準1級」「TOEIC860点または英検1級」という組み合わせですが、どちらも英検を取得するよりTOEICスコアをクリアする方が断然ラクです。

参照)人事院試験情報、文科省 特別の選考加点制度

LinLin

そのほかにも受験料の安さ、試験時間の短さ、短期間でのスコアアップのしやすさ、という点を考慮すると、ビジネスシーンではTOEICの活用をおすすめしたいです。

将来留学を考えている人や4技能をバランスよく伸ばしたい人は英検

将来、海外への大学進学を視野に入れている場合は「英語で学問を修めるレベル」を目指して、バランス良く英語力を高めていく必要があります。

TOEICか英検。この2つのなかで選ぶのであれば、扱うテーマがより広い英検の受験をおすすめします。

まずは中級、CEFR B2に相当する準1級を目指しましょう。日本以外の非英語圏の高校生も、大学進学前にCEFR B2を目指すのが一般的です。

ちなみに現在、英検は北米を含む約400の大学やカレッジが日本人留学生の英語力証明として認定されています。(英検公式サイト

LinLin

英検準1級取得後は、1級を目指すよりもTOEFL・IELTSといった海外留学に必須の検定試験にシフトすることを、個人的にはおすすめします。TOEFL・IELTSは実際の学生生活を想定した試験形式なので、試験対策がそのまま留学後の準備にもつながりますよ。

TOEICと英検を両方受験したい

TOEICと英検、それぞれの特色を理解した上で「両方受験したい」という方もいらっしゃるでしょう。

TOEICと英検、両方に挑戦する際に押さえておきたいポイントを紹介します。

TOEICと英検を同時進行で勉強するのは効率が悪い?

TOEICと英検は形式こそは異なりますが、どちらも英語の試験であることには変わりありません。

語彙を増やし、英文をたくさん読んで、英語への瞬発力を高めていくことができれば、相乗効果でTOEIC・英検どちらも良い結果につながるはずです。

ただし英会話スクールなどで「TOEIC対策講座」と「英検対策講座」を同時に受講するのは、個人的にはおすすめしません。

レッスン内容に重なる部分があったり、逆に個々の試験対策に重きを置きすぎて小手先のテクニックに走り英語の勉強自体がおろそかになったり、結果的に遠回りになりかねないからです。

TOEICと英検を両方受けるときの順番は?

TOEICと英検の両方を同時期に受験したい場合、先に英検を受験することを私はおすすめします。

受験級にもよりますが、出題範囲は英検の方が広いため、英検対策がそのままTOEIC対策にもなり得ることがその理由です。

もしも同時期に受けるのであれば、よりスピード感と集中力が求められるTOEICを先にした方が良いでしょうね。(そのような方がいるのかはわかりませんが……)

片方の勉強だけで両方の試験対策ができる?

高得点を狙うのであれば、片方の勉強だけでは試験対策は不十分です。

TOEIC対策だけでは「自分の意見を伝える」練習ができません。英検では、ライティングや二次試験の面接で自分の意見をまとめ、相手に伝える能力が測られます。

リスニングとリーディングだけのTOEIC対策ではこの点が対策できません。英検受験までに、自分の考えをまとめ、伝えるための頻出フレーズの確認をしておきましょう。

逆に英検対策だけで不安になってくるのは、なんといっても時間配分です。

TOEIC当日、のんびり問題文を読んでいてはとても最後の問題までたどりつきません。ストップウォッチで時間を計りながらスピード感を持って問題を解く練習をしておきましょう。

またTOEICの独自ルール「リスニングテストでメモを取ってはいけない」も慣れていないと戸惑います。

TOEIC・英検どちらの受験の場合も受験当日までに一度は、過去問や模擬テストを時間通りに解く練習はしておきましょう。本番のイメージがわきやすくなります。

TOEICと英検に関するよくある質問

就活で履歴書に書けるTOEICの点数、英検の級はどれくらいからですか?
英語に抵抗がないことを示す場合はTOEIC730点、英検準1級が最低ラインかなと私は感じています。しかしこれ以下のスコアでも、英語に関心があり、これからも勉強を継続していくことをアピールできれば履歴書に書いても好印象でしょう。
しかしTOEIC600点台以下、英検2級の場合は、書かない方が良いと思います。スコアや級の提示を先方から求められていない以上、わざわざ苦手なことを履歴書に載せる必要はありません。
通訳者など、英語力が必須の専門職につく場合の最低ラインはTOEIC900点、英検1級でしょう。
試験日まであまり時間がありません。短期間で準備できるのはTOEICと英検のどちらでしょうか?
短期間で準備できるのはTOEIC、特にリーディングセクションです。短い時間でスコアアップを狙うためには、徹底した「弱点強化」がもっとも効率的です。
まずは模擬テストに挑戦してみましょう。時間を計り、本番通りに解きます。答え合わせをして、もっとも正答率が低かったパートを徹底的に強化します。
パート別の問題集もたくさんあるので、1冊やりこんでみましょう。
次に抑えたいのが時間配分です。制限時間内に解き終わらず、最後のPart7は適当に塗りつぶしているだけ、と言う方も多いかもしれません。これは非常にもったいないことです。なぜならPart7の難易度は実は高くなく、じっくり考えれば正答できる問題が多いのです。
Part7に充分な時間を割けるように、文法問題中心のPart5は考え込まずにトップスピードで解くことを心がけましょう。高スコアを目指すのであれば、時間をかける割合は「Part7>Part6>Part5」とするのが正解です。(TOEIC part7 長文読解の対策方法
趣味で英語を勉強しています。自分の力を測るためには、TOEICと英検のどちらを受けたらいいですか?
現状の英語力を把握することが目的の場合は、5ポイント刻みのスコア判定をしてくれるTOEICのほうがわかりやすいでしょう。
英検は各セクションの参考スコアは出ますが、公的には合否判定なので、不合格になってしまえば意味がありません。英検の受験は自分の力を測るためではなく、合格圏内にいることを確信してからトライすることをおすすめします。

【まとめ】自分の目標に向けてTOEICまたは英検を準備しよう

この記事では、TOEICと英検の違いを比較しながら、それぞれのおすすめポイントを紹介してきました。

TOEICも英検も、英語の資格試験というものは取得して終わり、ではありません。

また、小手先のテクニックや付け焼き刃の丸暗記などに走りたくなるかもしれませんが、これらは長い目で見たとき、本当の意味での英語力には結びつきません。

なんのためにTOEICを受けるのか。英検を受けるのか。

じっくり考えたうえで、効率よく対策をして進学や就職に生かせるようにしましょう!