ぬかいわし、タレカツ、鶏の半身揚げ、そして笹団子。新潟を平らげる2泊3日

今回の旅の目的地は新潟。新潟には申し訳ないのだが、自発的に決めた目的地ではない。JR東日本の「どこかにビューーン!」という行き先ガチャサービスにより決定されたのだ。新潟といえば酒どころ米どころ。ちょうど新米の季節だ。どんとこい。古町エリアに宿を取った。

先に断っておくと、この旅の主題は飲食である。花街であった古町の美しい町並みなどにはほぼ触れない。のんべぇ、食いしん坊の記録である。

ともあれ、まずは飲酒

新潟に着いたらまずは行きたいところがあった。ぽんしゅ館である。駅直結の施設で、その中にある「利き酒番所」には90種類以上の地酒が並び、有料でおちょこ一杯ずつ試すことができるのだ。朝9時半からやっているので、我々は早速朝酒をきめることにした。

利き酒番所93。杉玉が頼もしい

90種類以上の地酒が用意されている

500円で5枚のコインを貰う。機械にコインを入れるとおちょこ一杯分の酒が出てくる仕組みだ。1杯に必要なコインは大体1枚、スペシャルな酒は2~3枚で飲める。

まずは鶴齢の純米吟醸。こいつはコイン2枚である。華やかで文句なしに美味しい。続いて、TVで見てから気になっていた鶴の友 別撰を一杯。御燗にしたい。それにしても朝飲む酒のうまさと言ったら。素晴らしい一日が始まる予感だ。その後は笹祝 きもと、牡蠣専用の酒(名前を失念)などを楽しみ、ほろ酔い状態で店を出た。

500円でコイン5枚を貰える

バスセンターにて「万代」のカレー、「寿屋」のおにぎり

さて、目指す古町は新潟駅からは徒歩30分くらいである。この日は生憎の天気で、関東では新幹線が止まるほどの大雨。晴れの日ならいざ知らず、この気候で30分歩くのはやや辛い。タクシーを拾うべきかバスに乗るべきか。思案していると、S氏が言う。「バスセンターというのがあります」 彼いわく、ここから古町に向かって15分ほど歩くとバスセンターがあり、そこのそば屋のカレーが有名なのだという。そこまで行ってカレーを食べたら残りもう半分を歩く気力が生まれるかもしれない。行ってみましょう、行ってみましょう。

駅付近の道路は舗装が甘いのか道が凸凹しており、キャリーケースがガラガラと大きな音を立てる。私は革のスニーカーを履いてきてしまったので、水没に注意しながら慎重に歩いた。

虹色のバスセンター

アーケードの下を忍者のように進んでいると、やがて屋根付きのロータリーが見えてきた。確かに奥に「万代そば」という看板が見える。昼飯にはずいぶん早い時間であったが、すでに長い行列ができていた。そして誰もが、そばではなくカレーを頼んでいる。

バスセンター内のそば屋

私は隣のおにぎり屋が気になってきたので、S氏だけがカレーを頼み、私は少し貰うことに。私はおにぎりに目がないのである。開放された立ち食いスペースでは、皆俯き気味に黙々とカレーを口に運んでいる。

そば屋のカレーらしく黄色い

やがて運ばれてきたのは、イメージ通り真っ黄色のカレー。そば屋のカレーと言えば黄色と決まっている。しかし食べてみて驚いた。いわゆる出汁の味ではないのだ。もっとまったりとした動物性の旨味である。これまたS氏によると、豚骨スープをベースにしているらしい。口へ放り込むと最初は甘く感じるのだが、後味は爽やかに辛く、後引くうまさ。大きく切られた玉ねぎが具のほとんどを占め、薄切り豚肉と人参の欠片がたまに顔を出す。宝探しみたいで楽しい。

満足したので、残りを食べているS氏を置いて隣のおにぎり屋「寿屋」へ。外観の写真を撮ろうと近づくと、店のあらゆる面にNO PHOTOの貼紙があった。苦労がうかがえる。鮭とすじこのおにぎりをひとつづつ、大判焼きを一つお願いした。

米粒が立っていたおにぎり

その辺のベンチに座って食べる。おにぎりは竹皮風の紙に包まれていた。冷たく、きつめに握られており想像と少し違ったが、とにかく米が旨い。そういう品種なのか、ミチミチとした食感で必然的によく噛むので具としっかり調和する。やや小ぶりで、カレーを腹に入れた後としてはちょうどよかった。たくあんがフィルムに包まれていて味が移らないのもよい。

対して大判焼きはほんわりと温かく、中の餡には栗まで入っていてお得な気分。包み紙も大変かわいらしい。この柄のハンカチなんて素敵ではないか。

栗入りなのが嬉しい

さるかに合戦をイメージしたような包み紙

隠し通路のある店「シャモニー」と「Patisserie N」

腹も落ち着いたところで再出発。バスセンターにいるのだからバスに乗るかと一瞬考えたが、どのバスに乗ればいいのかよくわからないし、あと15分ほどなので歩くことにした。雨風がより強くなっており、古町のホテルに着いたころにはすっかり体が冷えていた。

ホテルに荷物を置いたはいいが、まだチェックインできる時刻ではない。温まりながらこの後の作戦を練りたいところ。と、ホテルの目の前におあつらえ向きの喫茶店を発見した。

左がパティスリー、右が喫茶店

これはなかなか良さそうではないか。深入りのコーヒーのような色の建物はすべてが喫茶店なわけではなく、左は別の店、パティスリーのようだ。喫茶の方の扉を開け珈琲豆の棚を抜けると、思いのほか奥行きのある客席が現れた。暗めの1階席と一段高い席があったので、シャンデリアで明るく照らされた中2階の方に座る。

どでかいスピーカーからは生演奏かと聞き違えるような迫力でクラシックが流れていた。

「パラゴン」という音響設備らしい

座席には灰皿。ここは絶滅寸前の喫煙可の喫茶店のようだ。店内を観察していると、若者が注文を取りに来た。ほぼ無意識にピザトーストセットを頼む。

待っている間、奥の席の人が店員に何やら聞いているのに気づいた。「隣にはいつ行けばいいですか?」「お好きなときにどうぞ」 これは何の会話だろう。するとその人は荷物も持たずに店の出口の方へ向かっていくではないか。頭に疑問符を浮かべているうちにピザトーストが運ばれてきた。

ピザトーストはサラダ付き

トマトソースに薄切りの玉ねぎ、ピーマン、コーンが乗っている、クラシックなタイプ。ミミはさっくり、中はふわふわで理想的ピザトーストと言える。コーヒーは心地よい苦味。

食べているうちに先ほどの客が戻ってきた。皿に乗ったケーキと共に。隣とはパティスリーのことだったのか! 隣のケーキとこちらのコーヒーを一緒に楽しめる仕組みらしい。そうと分かればやるしかない。常連のみのサービスだったらどうしようとヒヤヒヤしながら店員に隣のケーキを食べたい旨を伝えると、どうぞいってらっしゃいとすんなり送り出された。一度外に出て、パティスリーに入りなおす。

ケーキを選び、隣の喫茶で食べたい旨を伝えると皿に載せて渡してくれた。その場でケーキの会計を済ませ、帰りはショーケースの横にある隠し扉で喫茶店に戻れるのだ(一方通行)。私の様子を見ていたS氏とバトンタッチ、彼はモンブランを手に帰ってきた。

私が選んだのは「幸せのポルコ」という子豚型のケーキ。ベリーとピスタチオのムースをベリーのチョコレートでコーティングしてあり、大変好みの味だった。フォークを突き刺して食べるのが少し憚られるが。

紅の豚のポルコ・ロッソから名付けたのだろうか

十分温まったところで次の行き先を水族館に設定し、店を後にした。

懐かしのピンク電話

勘でバスに乗る、マリンピア日本海

未だやまぬ雨の中、先ほどS氏が調べてくれたバスの停留所へ向かう。バスを待っていると道路の向かいに「笹団子」の文字。夕方までやっているか分からないが、水族館から戻ったら寄って見ようとメモしておいた。それにしてもバスが来ない。バス停は合っているはずなのだが、標識を見ても該当するバスがなくて参ってしまった。

するとS氏が「これに乗ろう」と目の前に着いたばかりのバスに乗り込んでいく。なぜ?? 水族館に行きそうもない路線バスである。ええいままよ、最悪どこかで降りて歩けばよかろう。Googleマップに張り付きで現在位置を確認していく。

「次は~古町~古町~」 噂には聞いていたが、「ふるまち」のイントネーションは「おにぎり」ではなく「たましい」と同じである。なんだか不思議な感じだ。乗ったバスはやはり間違っていて、水族館から遠ざかりそうになった地点で慌てて降りた。結局そこから20分ほど、だんだん強くなる雨風に立ち向かいながら住宅街を歩き、着いたときには魂が抜けたようになっていた。雨でも濡れずに楽しめそうだから水族館に来たのに、来るまでにびっしょりである。

水族館のことは書くときりがないので割愛する。ずっと動かないカミナリイカとしばらくにらめっこしていた。

動かないカミナリイカ

チグサミズヒキ。2cmくらいしかない

ハート形のコトクラゲ

確かに多足ダコっぽいタコヒトデ

帰りは無事にホテル近くまで行くバスに乗ることができた。行きにメモした笹団子屋「角田屋」へ。しかし覗いてみると笹団子は売り切れ!

証券会社と証券会社の間に挟まれていた

夕方だから覚悟はしていたものの、悔しい。朝7時に開店して昼前にはもう売り切れたそうだ。取置きができるそうなので、明後日受け取りでこしあん、粒あんを3つずつ取り置いてもらうことに。代わりに草団子などを買ってホテルへ帰った。

照りのあるあんこがたっぷりの草餅

「酒亭 久本」ぬかいわしの刺身で呑む

ホテルで腹を休めた後、予め予約しておいた店へ。板前さんが「お好きな席へ」と言いかけて「もしかして、太田さんですか?」と聞いてくる。太田というのは我々の苗字ではない。太田和彦という居酒屋探訪家がおり、その人が出ているTV番組を見てきたのですか?という意味である。それではここへ、と通された席はまさに太田和彦が座っていたカウンターであった。

TVを見て来たなんてミーハーな感じがして気恥ずかしいが、本当のことなので仕方がない。開店と同時に入ったため客は我々のみ。酒の品書きはないのでお勧めを聞くと、麒麟山の伝辛がありますとのこと。燗でもらうことにした。肴の品書きも文字だけなので想像が膨らむ。刺し盛りと共に、一番食べたいと思っていた「ぬかいわしの刺身」というのを頼んでみる。

鰹のたたき、釣りアジ、南蛮海老、マハタの刺し盛り。南蛮海老は出色の旨さ

ぬかいわしとは北陸地方の伝統食で、その名の通りイワシを糠にじっくりと漬けたものである。焼いて食べるのは想像できるが、刺身とな。焼いたのも刺身もどちらも気になるなと思っていたら、それを察したのか「刺身と焼き、半々にしましょうか」と気を利かせてくれた。

一合目が空になるころ、ぬかいわしの刺身と焼き物が運ばれてきた。慌てて次の酒、鶴の友を頼もうとすると、「普通の純米の方と別撰とありますがどうしましょう。おすすめは純米です」とのことなので、そちらを燗でお願いした。

ぬかいわしの刺身

酢橘を絞り、恐る恐る刺身の方を口に入れてみる。嫌な臭みは一切なく、ぬかとイワシの風味が広がる。噛みしめるとギューっと濃いイワシ味。これはこれは。酒の到着を待たずにつまみ食いをしたのを後悔した。

ぬかいわしの焼き物

おとなしく酒が来てから焼き物へ。ウズウズする香ばしい香りに吸い寄せられてパクリ。じわっと脂が染み出て、こちらは酒でも米でも行けそうだ。純米酒のずっしりとした米の旨味に実に合う。これは堪らん。思わず顔がほころんで、S氏と顔を見合わせた。

最初のお客だからと、サービスしてくれた南蛮海老の卵の塩漬け

続いて朝日山を頼みつつ、「かきのもと」というものと塩いかの天ぷらをお願いした。「かきのもとは生醤油、出汁醤油、ポン酢があります。女将のおすすめは生醤油にからし」とのことだったが、からしが苦手な私は出汁醤油にした。「かきのもと」とは食用菊のことで、これもやはり新潟の郷土食。是非食べてみたいと思っていたので出会えて嬉しい。

かきのもと

出汁醤油にくったり浸かったかきのもとを口に入れる。鮮やかな紫色の菊の花はフラワー!という感じの香りを想像していたのだが、そんなことはなく、しゃくしゃくとした歯触りで後口爽やか、酒やほかの料理を邪魔しない控えめな食べ物であった。先ほどから口内をねっとりと支配していたぬかいわしをリセットしてくれる。

塩いかの天ぷら

天ぷらをつついていると、しゃんと着物を着こなした女将が現れた。女将は現役の芸者である。酔ってくにゃくにゃになっていたところ、自然と背筋が伸びた。いつの間にかカウンターは客で賑わっている。女将は常連と思われる2人組の相手をしながら、チラリとこちらを見て「おつまみ小肌!おつまみ小肌は絶品」と話しかけてくれた。「飲むときはお腹いっぱいになりたくないものね。ちょうどいいよ。最後はおにぎりね」

そういわれたら頼まねばなるまい。おつまみ小肌、いか肝の味噌漬けと鶴の友別撰をお願いした。女将の言う通り、お腹いっぱいにならない程度に飲るのが粋だとは思うのだが、ついつい頼みすぎてしまう。

おつまみ小肌

やがて運ばれてきたおつまみ小肌は想像とは違う見た目だった。細切りにした酢〆の小肌と沢庵、大葉にぱらりとゴマが振ってある。小肌が好物のS氏は大喜びである。自家製だという沢庵の食感と染み出る小肌の旨味。さっぱりして、確かに腹が膨れなくてよい。

いか肝の味噌漬け

それとは対照的にいか肝は濃厚な味わいだ。板前さん曰く、塩で水を抜いてから味噌と酒で作った漬け床に一ヶ月以上漬けているのだという。肝を乗せる大根を鶴の形にスイスイ切っていくのは格好よかった。多分ここで終わっておけば綺麗だったのだろう。しかしあちらこちらの客から聞こえてきた「蟹」という声を我々は聞き逃さなかった。

逡巡の後、香箱ガニを頼んでいる自分がいた。ちょうど季節じゃないか。酒も足らなくなったので、今度は北雪を。ついでに謎の食べ物「赤ひげの塩辛」もお願いした。値段を書いていない店なので、勘定がどうなっているか分からない。もうなんとでもなれ。二度と来られないかもしれない店を満喫したい。

香箱かに

やがて美しく詰められた蟹がやってきた。神々しい。問答無用の旨さである。チマチマと口に入れ、酒を含んで口いっぱいに幸せを広げる。

赤ひげの塩辛

赤ひげの塩辛も忘れずに。赤ひげとはオキアミのことだと板前さんが教えてくれた。大根に乗せて食べればしょりしょりした食感とほんのりの甘み、塩っ辛さが酒に合う。最後の酒を流し込み、お勘定、と思いきや忘れちゃいけない〆のおにぎり。私はすじこを、S氏はたらこをひとつずつお願いした。

すじこのおにぎり

ふわっと握られた温かい米にピンと張った海苔、輝くすじこが愛おしい。これぞ私が求めたおにぎり。自家製の漬物も抜かりなく旨い。

最後は女将と記念写真も撮ってもらい、大満足でお勘定。女将にちょっと心配される金額であったが、覚悟を決めてきたので問題はなかった。驚くべきことにこれだけ食べても腹がいっぱいにならず、一瞬ラーメンが頭をよぎったが、それが蛇足であると判断できる程度の理性は残っていた。もっと年を重ねれば、もっとキレイに飲めるようになるだろうか。

笹団子屋巡り・鮭まんじゅう

早く寝たので、2日目は爽やかな目覚めとなった。S氏が何やらそわそわとしている。「ここの東横INNはね、朝ごはんがおにぎりなんだよ」 東横INNマスターであるS氏によると、この店舗では東横INNの一般的なごはん+おかずスタイルではなく、おにぎり+スープに注力した朝食を提供しているらしい。

変わり種があるのも嬉しい

朝食会場へ降りてみると、たくさんのおにぎり達が食べて欲しそうにこちらを見ているではないか。おにぎり好きな私は歓喜した。魚沼産こしひかりを使っているばかりでなく、ほんのり温かく具がやたら大きい。3つも平らげ、嬉しい朝食となった。

外へ出ると昨日の天気が嘘のような快晴。日傘が必要なほどである。商店街をあてどなく歩いていると、昨日とは別の笹団子屋を見つけた。「田中屋本店」とある。昨日の「角田屋」といい、笹団子屋は早朝から店を開けるものなのだろうか。それとも和菓子屋全般か?

角田屋で取り置きをしておいたものの、こちらの味も気になる。こしあんと粒あんを買ってベンチで食べてみた。ザ・笹団子である。包みたてだからか笹は全体的にしっとりして餅の伸びもよい。S氏がコンビニに走り、ほうじ茶を買ってきてくれた。

田中屋本店の笹団子

笹団子の食べ比べというのも面白いかもしれない。S氏の調べによると、15分ほど歩いたところに老舗の笹団子屋があるらしい。早くもクリスマスソングが流れる商店街を歩いて向かう。

腕が8本しかないイカ

偽物の川を泳ぐ偽物の鯉

たどり着いた笹団子屋「笹川餅屋」は大変に年季の入った店であった。明治からやっているらしい。期待に胸膨らませ店に近づくと、「笹団子売り切れ」の文字。またしてもか。まだ朝だぞ。

笹川餅屋

代わりに他の甘味を買っていこうとしたが、そもそも店頭に人がいない。そっと奥を覗いてみると、店員さんが電話応対していた。漏れ聞こえてくる話によると、どうやらかなりお年を召した方が熱海から大量の取り寄せをしようとしているようだ。15分ほど待っていると「すみません、今日私ひとりなもので」と申し訳なさそうに店員さんが出てきた。

待つ間に選んでおいた、豆大福と鮭まんじゅうを頼む。豆大福は新米を使っているらしい。店前の長椅子で食べさせてもらった。

豆大福と鮭まんじゅう

鮭まんじゅうは肉まんの鮭版

豆大福は良い塩のきき具合。鮭まんじゅうは見たことがないので頼んでみたが、食べてみると肉まんの鮭版と言う感じだ。玉ねぎやシイタケが一緒に入っていてしっとりと旨い。鮭まんじゅうの起源が気になったが、忙しそうだったので聞くのはやめておいた。代わりに取り置きができるのかを聞いてみたところ、当日の朝に電話する形なら取り置けるとのこと。では明朝電話しよう。

新潟名物タレカツ丼発祥の店「とんかつ太郎」

昼は予め決めていたタレカツ丼の店へ。卵でとじない系のカツ丼は日本各地にあるが、新潟のタレカツは桐生のソースカツ丼や福井のソースカツ丼にビジュアルが似ているらしい。このタイプのカツ丼は好みなので期待が持てる。

恐らく人気の店なのではないかと踏み、開店30分前に着くと早くも3人の行列。15分もすると長蛇の列となった。S氏は並ぶような店ではないはず、などと宣っていたが大人気ではないか。いつもS氏にばかり旅のあれこれを任せて申し訳ないと思っているが、こういったところが甘いので私の出番もあるというものである。

®️が付いている看板は初めて見た。何かあったのかな

旨そうな香りが漂ってきて、まもなく開店となった。通されたのは、調理の様子が見える特等席。

注文してから揚げるスタイルのようだ。調理場奥には右に油で満ちた揚げ物鍋、左にタレの鍋。どちらも巨大である。手前にはやはり巨大な炊飯器が鎮座している。

店主らしき男性が20枚ほどのカツを一気に油に入れ、揚がったら左手に構えたバットに乗せて油を切る。その間に女性が丼に飯をよそい、タレをかけておく。油が切れたカツから順にタレに浸して、飯の上にドンドンドンと重ねてゆく。

カツが積み重なって米が見えない

我々のターンが来て、カウンターからドン、と丼を差し出された。薄めとはいえ5枚もカツが乗っている様は圧巻だ。揚げたての熱々のカツを頬張ると、じゅわりとタレと肉汁が滲み出てくる。そして同時にかき込む米の旨さよ。つやつやと輝いている。カツと米とタレ。このシンプルな組み合わせで完成されている。

肉はヒレのように柔らかいが、実際にはモモ肉を叩いているらしい。タレはベースの醤油の中にどこか洋の雰囲気。品のある濃さのタレが後を引く。夢中で食べ進めるとどんぶりの底には「太郎」の文字。特注に違いない。オリジナルのどんぶりをこさえている店は旨いに決まっているのだ。

どんぶりの底に太郎の文字

新潟米の陣

とにかく腹がいっぱいで、何も考えられない。朝から米と甘味を食い過ぎた。とりあえず万代橋まで歩いて向かう。昨日、あの辺りは晴れたら散歩にいいだろうなと思っていたのだ。そこかしこに立派な柳が植わっていた。その様子から新潟市街のことを「柳都(りゅうと)」と呼ぶのだそうだ。バスの路線名や橋の名前に「りゅうと」「RYUTO」という表記があったので何のことだろうと思っていたら、その辺で買ったおかきの袋の裏側にそのように書いてあった。

まさに柳都

滔々と流れる信濃川を眺めながら万代橋を渡る。河口の方に朱鷺メッセという超高層建造物が見えてきたので、そこを目指して歩いてみた。

秋晴れに紅葉。散歩にうってつけ

朱鷺メッセの入り口を探していると、道路の向こう側に見逃せない文言を発見してしまった。

新米食べ放題とな。「こんなもの行くしかないだろう」と心は言うのだが、先ほどタレカツ丼をたっぷり吸いこんだ腹の方は「無茶はやめておけ」と言う。結局、「新米」「食べ放題」の文言に頭が完全に支配され、既にずっしりと米の詰まった腹を抱えて会場へ吸い込まれた。

この誘惑に抗える人はいるのだろうか

入口で300円払い、リストバンドを巻くと米が食べ放題になるらしい。入場だけは無料だが、米代はかかるということか。300円分の米を食べきれるのかを考えるのはやめ「食べ放題」という心躍る体験に集中することにした。「米コーナー」という暖簾がかかったテントで新米をよそってもらう。「軽めでお願いします」と言うとしゃもじを持ったお姉さんは怪訝な面持ちをしていた。そうだよな。食べ放題に来て軽めというのは意味わからんだろう。S 氏は有無を言わさず大盛りにされていた。

焼き鮭の出し漬け、イカの塩辛

米以外のエリアにはおかずブースがたくさん並んでおり、そこから好きなものを購入して米と合わせられるようになっている。骨抜き鮭とイカの塩辛をチョイス。鮭は冷たく、塩辛も求めていた味とは違ったが、米は間違いなく旨い。米どころの矜持を感じる。

ふと近くに座っていた家族が目に入った。中学生、高校生くらいの男児2人と両親。なんと手持ちののりたまを振りかけて食べているではないか。その手があったか! 確かに持ち込みは禁止されていない。割高のおかずをこの場で買うより賢い。男児の食べっぷりを見ているだけで腹いっぱいになったので私はここで箸を置いたが、S 氏は苦しいと言いながらおかわりを貰いに行っていた。

佐渡へようこそ

流石に限界である。もう何も入らない。よたよたと朱鷺メッセへ入場し、ガラス張りのエレベーターでBefcoばかうけ展望室へ。変わった名前だ。Befcoが命名権を買ったのだろう。20年くらい前に「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」になったときは違和感バリバリだったが、すっかりネーミングライツという概念も日本に馴染んだよな。

ガラス越しに新潟の街や信濃川の河口を眺めるが、満腹すぎて何も感じることができない。新潟の街は他人の顔をしている。そもそも展望台というものにそんなに興味がなかったりする。さっきの新米食べ放題は完全に蛇足だったなと思いながら視線は彷徨うばかり。

左奥にうっすら見えるのが佐渡、のはず

手前の方に佐渡汽船のターミナルを見つけた。知らない町でたまたま友人に出会ったような気持ちだ。昨年一度乗っただけ、しかもこの港でもないのに、佐渡汽船からしたら厚かましい友人である。どうやらここからターミナルまでシームレスに繋がっているようなので、行ってみることにした。

佐渡汽船ターミナル

昨年の佐渡旅行は本当に素晴らしく、心の隅々まで刺激された旅だったが、それゆえに未だに記せていない。渡り廊下を歩いていると、気の早い看板が出てきた。本当にこれくらい気軽に行けたらいいなと思いつつ、長い船旅を経てたどり着くところにロマンがあるのかもしれないとも思う。

これくらい簡単に佐渡に行けたらな

ターミナルのフードコートでは佐渡牛乳を使ったソフトクリームを売っていたので、即食券を買った。腹は一杯だが、ソフトクリームは実質液体だから大丈夫。

濃厚過ぎないミルクの香りが爽やかで好ましい。そうだ。佐渡で連れて行ってもらったソフトクリーム店と同じ味だ! 佐渡牛乳を作っている佐渡乳業直営の店だったはずなので間違いない。佐渡へ行きたい気持ちが募る。

みんな大好き佐渡牛乳

揚げより蒸し!半身揚げの店「鳥やす」

腹が限界の向こう側へ行ってしまったので、ホテルに戻り昼寝。目覚めるとすっかり日が落ちていた。晩酌ができるくらいには消化が進んだので、目星をつけていた「鳥やす」へ電話したところ、お客さんがいつ帰るか分からないので30分くらいしてからもう一度電話するようにとのこと。ごろりと寝転がり、引き続き消化に神経を集中した。

これから行こうとしているのは鶏の半身揚げを出す店である。半身揚げとは60年ほど前に「せきとり」という店が初めに出したもので、半分に割った鶏にカレー粉をまぶして揚げるという料理だ。今ではすっかり新潟のご当地グルメとして浸透している。発祥の店である「せきとり」に行こうかとも思ったのだが、ここはちょっとひねくれて別の店を選んでみたのだ。

S氏が再度電話したところ「何とか入れそう」と言われたので出発。真っ暗な古町を歩いていると、もわーっと光る店が見えてきた。初見ではまず入らないであろう見た目に尻込みしつつもガラリとガラス戸を開ける。

蛍光灯で照らされた明るい店内。壁に貼られたポスターやメニュー、ちょこちょこと置かれた小物などが安心感をもたらしてくれる。本来4人掛けであろうテーブル2卓にはそれぞれ若者が6人くらいずつ詰め込まれていたが、皆顔を紅潮させて実に楽しそうだ。カウンターには一人客たちがそれぞれの体勢で天井近くのTVで野球を観戦している。「こんなところでごめんなさいね」と通されたのはカウンターの一番端で、1.5人分程度の幅。「何とか入れそう」という意味を理解した。

ビールは瓶派

とりあえず瓶ビールを貰い、あちこちに点在するメニューを眺めていると女将さんらしき人が説明してくれた。「うちはね、まず半身揚げ。蒸しもあります。あとは串。ここに書いてあるだけ」とのこと。声色がとっても優しい。こういう店に一見で入り冷たくされた経験があるので少し構えていたが、歓迎されているようで安心した。折角だから半身の揚げと蒸し両方、砂肝串を頼む。注文は紙に書いて手渡しするスタイルだ。

独特の絵心

まもなく、カウンターから鳥を割くギッギッという音が聞こえてきた。少し背伸びをしてみると、店主らしき男性が手際よく鳥を捌いている。塩、胡椒、カレー粉を順番にまぶし、大量の鶏肉を片手にわっさと乗せて奥へ持っていく。その間にもあちこちから注文が入り、女将はカウンターを出たり入ったり忙しそうだ。常連らしき人は、自分で自分の瓶ビールを冷蔵庫から出して持って行く。昔アルバイトをしていた焼き鳥屋を思い出し、なんとも懐かしい気分になった。

しばらくして一口サイズのカレーが出てきた。お通しのようだ。細かく刻まれた野菜が子どもカレーっぽくてなぜか嬉しい。

お通しのひとくちカレー

TVではベイスターズとソフトバンクが試合をしているようで、わーっと歓声が上がる度に目を遣るがなんだかよくわからない。

砂肝揚げはサクサク旨い

2本目のビールを頼んだころ、本命の鶏の半身がカウンターから差し出された。揚げと蒸し合わせて鶏丸ごと一匹がカウンターに乗っていることになる。今の腹具合からするとちょっと心配なボリュームだが、食いしん坊のS氏もいることだし大丈夫だろう。

鶏半身揚げ

まずは揚げだ。S氏は胸肉が好きなので私は腰らしき部分をいただく。口に入れる前からカレーの風味がふわりと香り、食べきれるか心配していたのが嘘のように食欲が湧いてきた。ガブリと嚙みつくとじゅわっと肉汁が溢れだしたので、一滴もこぼすまいと思わず啜る。これは旨い。あっという間に骨になってしまった。

鶏半身蒸し

続いて蒸し。ドラムスティックを食べてみる。ほおばった瞬間、じゅわわわわ~と肉汁の洪水が発生。揚げと比較にならないほどのジューシーさである。カレーの風味が蒸す間に落ちてしまうのではと思いきや、塩気と共にしっかり残っていた。正直言うと揚げの方が目玉なのだろうと思っていたのだが、私は断然こちらが好みだ。皮のぷるぷるした食感も良い。両方頼んでおいてよかった。

後から知った話だが、引退した初代のご主人は「せきとり」で板前として働いていたそうで、この「蒸し」も一緒に開発したという話だ。良い店を選んだ。

2人で鶏一羽をすっかり平らげてしまった。腹具合的にも深追いせずにこれで退散するのがよいだろう。優しい女将に見送られ、真っ暗な住宅街をほろ酔いで帰った。

なぜか亀がいた

笹団子食べ比べ

さてさて3日目の朝である。この日も素晴らしい快晴。昨日売り切れていた笹川餅店に電話し、笹団子を取り置いてもらう。今日は1日目に取り置きをお願いした角田屋の笹団子と、笹川餅店の笹団子の食べ比べができる。

まずはホテルから近い角田屋へ。「取り置きの……」と言いかけると顔を見てすぐに気づいてくれた。笹団子を包む間に「角餅」という文字を見つけ、これって焼いて食べるんだろうか、それともこのまま食べられるんだろうかと会話していると、一切れ分けてくれた。貰った餅は柔らかかった。そのまま食べるものだそう。齧るとみょーんと伸びて、ほのかな塩気で美味しかった。

やわらかい餅。豆入り

角田屋の笹団子

1日目と同じ商店街のベンチで笹団子を広げる。どんな味がするだろう。期待が膨らむ。やや湿った笹をめくって、団子を食む。はて。昨日食べた田中屋本店の笹団子との違いが分からない。ほんのり笹の風味が移った餅に、滑らかな餡。とっても美味しいけれど、差が分からないのだ。S氏なら、と思って感想を求めたが同様であった。強いて言えば田中屋の方が団子がやや柔らかいぶん、笹離れ(そんな言葉はない)が悪かったのと、角田屋の方が笹の香りが強かった。こうなると笹川餅店がより一層気になってくる。

昨日とは違う道を選び、笹川餅店へ向かってアーケードを進む。

カステラ屋 はり糸。買って帰った。ふわふわ

道端で見つけた謎の碑

辿り着いた笹川餅店では、やはり笹団子は売り切れ。取り置きしておいてよかった! 笹川餅店は、笹団子が新潟の代表的な土産品の地位に上るのに一役買った店なのだ、というのはS氏情報。何でも今の店主のおじいさんが土産屋協会の理事で、当時各家庭で作られていた笹団子を土産品にしてはどうかと推薦したらしい。

そんな店なら他と何か違うはずだと、先ほどの味の記憶が薄れないうちに店の前の長椅子で、渡された笹団子を広げる。

やはり売り切れ。でも取り置きしたもんね
笹川餅屋の笹団子

うーむ。先ほどよりは少しわかりやすい違いがあったが、わずかなものである。田中屋と角田屋よりやや餅が厚くて固め。固さに関しては単に作ってからの時間かもしれない。並べて同時に食べれば差が分かるのであろうか。皆、ひいきの店をどうやって決めているのだろう。

ピアBandai「弁慶」、イカとの邂逅

結局笹団子の差はよく分からないまま、新潟最後の食事処へ向かう。目指すはピアBandai。信濃川河口にある施設で、新潟特産の米や酒、魚、肉、野菜、土産品などなんでも揃うマルシェ的な場所らしい。そこにある回転寿司屋「弁慶」に行ってみたいというのが、S氏の要望だ。旅の間はなるたけ徒歩で移動するのが好きなのだが、疲れが溜まっていたのでタクシーに乗った。徒歩30分の距離があっという間だ。

回転寿司 佐渡弁慶

活気のあるマルシェを通り抜け、まずは目的の「弁慶」へ。大変な人気店のようで、整理券をもらうための列ができていた。整理券を取ると、待ち時間が分かる。現時刻は11時。約90分待ちとのことなので、ちょうど昼時に順番が来るはずだ。それまでにマルシェを見て回ることにした。

野菜エリア、肉エリア、魚エリアとそれぞれ建物が分かれており、どこも人でごった返している。「かきのもと」や「ぬかいわし」など旅の間に食べてきた食材を見つけると嬉しい。特に興味のある魚エリアをもう一度周ってみると、新たな出会いが……!

生食用とかあるんだ

スルメイカのトンビ(口)と頭軟骨である。この部位が生食用で売られているのは初めて見た。胸が高鳴る。トンビも頭軟骨も日ごろのイカ解剖で見慣れているのだが、普段はじっくりと常温で解剖するので、生食という発想がなかった。自宅だとトンビは焼き物に、頭軟骨は唐揚げにしてしまう。見たところ解凍品でもなさそうだし、ピカピカと輝いて旨そうだ。ご丁寧に肝醤油までついているし、今すぐ食べられそう。

麒麟山と共にスルメイカの軟骨と口球

売り切れる気配は全くないのだが、なぜか焦って購入。急く気を抑えながら、これを水で食べるのは違うだろうと酒エリアで麒麟山の小瓶を買ってきて合わせることにした。テラスに陣取り、いざ実食。

初めて生で食べる部位なのでやや緊張する。トンビについては下処理しないとぬめりがすごいことを知っているし、頭軟骨の中の脳は鮮度が落ちると臭みが出る。果たして、これはどうか。まずはトンビから。ぬめりがほとんどない! しっかりした処理がなされているのだろう。そして、さすが小魚の脊椎を食いちぎるだけある力強い筋肉に旨味が凝縮されている。ここで一口、酒を入れ、トンビとの出会いを祝福する。至福。続いて頭軟骨。臭みなど全くなく、ゴリゴリッと気持ちの良い歯ごたえだ。脳のコクのようなものが肝醤油と合わさって酒が進む、進む。

平衡胞と平衡石発見!

これは大正解だ。しつこく魚エリアを徘徊していてよかった。こういう出会いがあるから旅先の市場が大好きなのだ。

更に私のようなイカマニアの場合には味以外にも楽しめる。例えば、イカの頭には平衡胞という平衡石(耳石)が入っている小さな部屋がある。この頭軟骨はちょうどその部屋がよく見える場所で切断されており、ものによっては中の平衡石まで見つけることができた。嬉しい。できることなら持ち帰りたい。

歯舌も発見

トンビの方はというと、食用とならない上顎板と下顎板は取り除かれているものの、食感にあまり影響しない歯舌(餌をすりおろすためのおろし金のようなもの)は取り残されており、ひっぱりだして観察することができる。S氏はそんな私の様子を冷ややかに眺めながらコーヒーを飲んでいた。

そうこうしているうちに、「弁慶」の我々の順番がやってきた。いざ、新潟最後の食事。

ちゃんと回っている回転寿司

入店すると、そこは寿司パラダイスだった。寿司屋なのだから当たり前だろうと思われそうだが、違うのだ。店内にぐるりと張り巡らされたレーンには、瑞々しい寿司がぎっちりと並べられ、客たちは嬉しそうに迷いながら皿を手に取る。中央では三人の職人が絶え間なく寿司を握っており、レーンの隙間を次々と埋めていく。たまに上がる客からの注文の声と職人の威勢の良い返事が場に活気をもたらしている。次は何が流れてくるか、皆目を輝かせて待ち構えている。

美しきアジ

そう、回転寿司はこうでなくっちゃ。最近は回らない回転寿司も多く、注文もタッチパネルの店が多くなった。もちろん便利だしフードロスも少ないのだろうが、たまにはこういう回転寿司屋にも行きたい。

佐渡のブリ。うますぎてS氏は2皿食べていた

本店が佐渡にあるとのことで、佐渡産のネタも多かった。佐渡で連れて行ってもらった回転寿司も美味しかったな。募る佐渡への思い。

とろけるノドグロ。反則の旨さ

結局S氏8皿、私は12皿とたっぷり地魚を楽しんだ。大満足だ。

次はどこへ行こうかな

さようなら新潟

これにて、新潟の食い倒れ旅は終了した。本当によく飲み食いした旅であった。牛のように胃が4つくらいあればいいのに(あれはそれぞれ役目が違うのだというのは置いておいて)。しかしこれだけやっておいて、まだ新潟で食べたいもの、行きたい店がある。次は長く休みを取って、佐渡まで足をのばすのもいいな。また来るね、新潟。

「久本」で飲んだ鶴の友をお土産にした