特許申請・特許出願件数の推移

特許申請・出願件数の推移

2023年に日本の特許庁にされた特許出願の件数は300,133件であり、前年より10,603件増えました(前年比3.7%増、2022年289,530件)。

なお、この特許出願件数には、延長登録出願の件数(503件)、PCT出願から国内移行された出願の件数(75,687件(前年比0.3%減、2022年75,892件))が含まれます。
また、通常出願の件数(262,808件)のほかに、分割出願の件数(37,279件(前年比11.2%増、2022年33,528件))、変更出願(46件(2022年47件))の件数も含まれます。

特許出願件数と特許登録件数の2008年から2023年までの推移のグラフを下に表しました。
出願件数は2008年後半からリーマンショックなどが原因で大きく減少し、2011年まで少しずつ減り続け、2012年に微増(186件増)、2013年に14,360件減り(前年比4.2%減)、2014年, 2015年も少しずつ減り続け、それからほぼ横ばいで推移し、2018年からまた少しずつ減り続けていました。
2020年の出願件数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リーマンショックのときほど落ち込みは激しくないですが大きく減少しました。
それ以降は、2021年(前年比%0.3%増)、2022年(前年比0.1%増)と微増が続きましたが、2023年の出願件数は前年よりも3.7%増加しました。

特許申請の件数推移2008-2023

過去に最も多くの特許申請の件数があったのは、2001年で439,175件の特許申請がありました。その頃と比べると2023年の申請件数は31.7%ほど減っています。

特許出願件数に目立った増加がみられなくなった理由としては、先行技術調査の精度を高めるなどして出願が厳選されるようになったことなどが挙げられています。

日本の特許庁を受理官庁としたPCT国際出願の件数(上記の件数には含まれていません。)は、企業活動のグローバル化などを背景として、日本国内への出願件数が大きく落ち込んだ2009年も増えており、2014年に一時減ったことはあったものの、基本的には増え続けていました。
しかし、2020年の日本の特許庁を受理官庁としたPCT出願の件数は49,313件であり、前年と比べて4.5%減ってしまいました(2019年51,652件)。新型コロナウイルス感染拡大の影響によるものと思われます。
これ以降2021年は前年比%0.6%減、2022年は前年比%0.7%減と少しずつ減少し続け、2023年は47,372件で前年より2.8%減少しました。

2023年の特許登録件数は209,368件であり、前年より7,948件増えました(前年比3.9%増、2022年201,420件)。
2021年から3年連続で特許登録件数は増加していますが、特許査定率も同様に3年連続で少しずつ上昇しており、2023年の特許査定率は76.0%(前年比0.1%増)でした。

参考資料:特許行政年次報告書2024年版 第2部 詳細な統計情報 第1章 総括統計 1.特許(出願、審査請求、ファーストアクション、特許査定及び登録の件数)(特許庁)(PDF601KB)
特許行政年次報告書2024年版 第2部 詳細な統計情報 第2章 主要統計 6.出願種別出願・登録件数表(特許庁)(PDF619KB)
特許庁ステータスレポート2024 第1部 数字で見る知財動向 第1章 我が国の知財動向 特許出願件数(PDF1.71MB)

2024年の月別特許出願件数

2024年の月別特許出願件数(10月まで、暫定速報値)を2019年(新型コロナ流行前)と2023年(前年)の月別件数と比べたグラフです。

2024年の特許出願件数(月別)

2024年の月別特許出願件数は、2023年と比べて、6月(-10.4%)から7月(+16.9%), 8月(+33.0%), 9月(-23.1%), 10月(+18.9%)までの推移に目立った違いが見られます。
しかし、2024年の1月から10月までの総出願件数は253,787件(暫定速報値)で、2023年の250,592件と比べて1.3%増に過ぎず、件数にそれほど差はありません。

参考資料:特許出願等統計速報(特許庁)

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世界の特許出願件数

2023年における世界全体の特許出願件数(164の庁による総件数)は、WIPO IP Statistics Data Center(December 2024)によると、3,552,100件(前年比2.7%増、2022年-3,457,800件)でした。
世界金融危機により2009年に前年比3.8%減となってから、特許出願件数は増加し続けていましたが久々に2019年に減少し、その後4年連続で少しずつ増加しています。

2023年の世界全体の特許出願件数が増加した主な理由は、後述する居住者が出願した件数が上位の国々での目立った増加です。

2023年に最も特許出願を受理した件数が多かった国は中国で1,677,701件、2位が米国で598,085件、3位が日本で300,133件、4位が韓国で243,310件、5位が欧州特許庁で199,429件です。
1位の中国の出願受理件数は2位の米国の件数の2.81倍であり、大きな差があります。
全体の出願件数に対して中国の出願受理件数が占める割合は47.2%、米国が16.8%、日本が8.4%、韓国が6.8%、欧州特許庁が5.6%で、これらのトップ5すべてでで全体の85.0%を占めています。
2023年はトップ5すべてで前年と比べて出願受理件数が増えています。

特許出願受理件数で、日本は1968年に米国を抜いてから1位をずっと維持していましたが、2006年に米国に抜き返されて2位、2010年に中国に抜かれて3位に落ちました。
2011年に米国に変わって中国が特許出願受理件数1位になってから、2020年まで1位から6位のドイツまでの順位は変わっていませんでしたが、2021年からはインドがドイツに代わって6位に上がりました。

2023年における特許出願受理件数のトップ10の国々は以下の通りです。
前年からの順位の変動はありません。

順位 国名 特許出願件数 前年比
1位 中国 1,677,701件 3.6%増
2位 米国 598,085件 0.6%増
3位 日本 300,133件 3.7%増
4位 韓国 243,310件 2.4%増
5位 欧州特許庁 199,429件 3.0%増
6位 インド 90,298件 17.2%増
7位 ドイツ 58,661件 2.5%増
8位 カナダ 35,620件 6.4%減
9位 オーストラリア 31,525件 2.4%減
10位 ロシア 26,720件 0.8%減

なお、2023年10月から2024年9月までの米国の特許出願受理件数は、FY2024 Workload Tables(米国特許商標庁)によると、598,982件(utility patents, 暫定値)であり、前年度より0.7%増えています。

また、2024年の1月から10月までの日本の特許出願受理件数(暫定値)は、上述したように、前年より1.3%増加しています。

2023年に「各国の居住者」が特許申請した件数のトップ6の国々は以下の通りです。(参考資料:WIPO IP Statistics Data Center(December 2024))

順位 居住国名 特許出願件数 前年比
1位 中国 1,642,582件 3.7%増
2位 米国 518,791件 2.6%増
3位 日本 414,479件 2.2%増
4位 韓国 288,001件 5.8%増
5位 ドイツ 133,140件 1.5%増
6位 インド 64,510件 15.7%増

2011年まで1位だった日本は、2012年に中国に抜かれ2位になり、2013年には米国に抜かれ3位になりました。それから2023年まで1位から3位までの順位はそのままです。

日本の居住者の特許出願件数は、2018年から5年連続で減少し続けていましたが、2023年に増加に転じました。

米国の居住者の特許出願件数は、2021年から3年連続で増加しており、中国は2020年から4年連続で増加しています。

トップ6の国々すべてで出願件数が前年より増加しています。

2023年に「各国の居住者」が「外国へ」特許申請した件数のトップ5の国々は以下の通りです。(参考資料:WIPO IP Statistics Data Center(December 2024))

順位 居住国名 特許出願件数 前年比
1位 米国 242,894件 4.1%減
2位 日本 185,543件 0.5%減
3位 中国 120,290件 0.2%増
4位 韓国 96,859件 9.3%増
5位 ドイツ 69,671件 0.5%増

2013年以降は米国1位、日本2位の順位は変わっていません。

日本の居住者が外国へ特許出願した件数は、2020年から4年連続で減少しています。

米国の居住者が外国へ特許出願した件数は、2021年10.6%増、2022年6.4%増と2年連続で増加していましたが、2023年は減少が少し目立ちました。

韓国の居住者による外国出願は2018年から6年連続で増加しています。

中国の居住者が特許出願した件数は他の国々の居住者の件数と比べて断トツに多いですが、外国へ特許出願した件数に限定するとガクンと件数が減ります。
中国の居住者が特許出願した件数のうち外国に出願した割合は7.3%にすぎません。

インドの居住者による2023年の特許出願件数の増加率(15.7%)は高いですが、外国出願は2009年以来の減少になりました(2022年17,195件(10位)→2023年14,650件(12位)、前年比14.8%減)。
ただ、後述するように、インド居住者による2023年のPCT出願は前年と比べて45.5%も増加しているので、将来的には外国出願も増加していくのではないかと思います。

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世界のPCT国際出願(国際的な特許出願)の件数

2023年における世界全体のPCT出願の件数は、WIPO IP Statistics Data Center(December 2024)によると、272,395件(前年比1.9%減、2022年は277,644件)であり、2009年以来の減少となりました。
2010年から2022年まで13年連続で世界全体のPCT出願の件数は増加し続けていました。
2023年に件数が減少した主な原因は、日本と米国からのPCT出願が減少したことにあるようです(日米件数2022年109,372件→2023年104,594件、前年比4.4%減)。
PCT(Patent Cooperation Treaty, 特許協力条約)出願は、複数の国で特許を取得したい場合に多く用いられる国際出願であって、例えば日本の特許庁などの受理官庁に出願手続を行えば、その出願手続をした日から条約のすべての加盟国(158か国)に特許出願したのと同じ効果を得ることができます(ウルグアイは2025年1月7日から)。
PCT出願をした後、所定の期間内に、特許権を取得したいそれぞれの国に国内移行手続を行う必要があります。

2023年に居住者がPCT出願を行った件数が最も多かった国は中国で69,547件、2位が米国で55,612件、3位が日本で48,982件、4位が韓国で22,278件、5位がドイツで16,945件です。
居住者のPCT出願件数は、1978年にPCT条約が発効してから米国がトップをずっと維持し続けていましたが、2019年に中国が米国を抜いてトップになり、それ以来5年連続でトップを維持し続けています。

全体のPCT出願件数に対して中国の居住者PCT出願件数が占める割合は25.5%、米国が20.4%、日本が18.0%、韓国が8.2%、ドイツが6.2%で、これらのトップ5で全体の78.3%を占めています。
ただ、トップ5のうち居住者PCT出願件数が前年と比べて増えたのは韓国(1.2%増)のみです。

2023年における居住者のPCT出願件数のトップ11の国々は以下の通りです(参考資料:WIPO IP Statistics Data Center(December 2024))。
前年の順位と比べると、インド(45.5%増)がイタリアとカナダを抜いて11位に上昇しました。

順位 居住国名 特許出願件数 前年比
1位 中国 69,547件 0.7%減
2位 米国 55,612件 5.5%減
3位 日本 48,982件 3.1%減
4位 韓国 22,278件 1.2%増
5位 ドイツ 16,945件 3.0%減
6位 フランス 7,912件 2.2%増
7位 英国 5,576件 2.0%減
8位 スイス 5,391件 0.9%減
9位 スウェーデン 4,304件 4.0%減
10位 オランダ 4,256件 6.1%増
11位 インド 3,724件 45.5%増

2024年の居住者PCT出願件数(9月まで)のトップ3は以下の通りです(参考資料:WIPO IP Statistics Data Center(December 2024))。
なお、世界全体での9月までの件数は198,257件で、前年の9月までの件数198,085件と比べてわずかに増えています。
インドは前年の9月までの件数と比べて26.7%増で、2024年のトップ10に入ってきそうです。

順位 居住国名 特許出願件数 前年比
1位 中国 49,618件 0.5%減
2位 米国 40,286件 2.4%減
3位 日本 36,520件 1.4%減

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