人間の判断は「感情」にゆがめられてしまうもの
さて、これから、事態はどのように進展するのでしょうか……?
是非、皆さんも冷静沈着な「社会心理学」の目線で、ことの推移をウォッチいただければと思います。
ところで、なぜ、今回のこの様な不条理極まり無い「豊洲が危ない」というデマを導く、
認知A:東京都はワルイはずだ!
認知B:東京都が移転先に決めた豊洲は、不衛生的だ!
という「2つの認知」が、人々に共有されていたのでしょうか?
これもまた、認知的不協和理論に視点から、次の様に説明できます。
1.東京都民は、東京都知事選で、小池知事を選んでしまった。
2.そして、自分達が選んだ小池知事(都議会)は、東京都と対立している。だから人々は、小池知事を選んだ自分たちを正当化する(=認知的不協和を低減する)ために、「東京都はワルイはずだ(認知A)」と思いたい、という欲求を潜在的に持っている。
3.一方、自分達が選んだ小池知事は、豊洲移転を「延期」といった。だから人々は、小池知事を選んだ自分達を正当化する(=認知的不協和を低減する)ために、「豊洲は不衛生的だ」(認知B)と思いたい、という欲求を潜在的持っている。
……以上、ご理解いただけましたでしょうか?
要するに人々は、いいか悪かわからないうちに選んじゃった小池知事をイイ人にし、それを選んだ自分たちもイイ人にするために、小池知事の判断をサポートする認知(東京都は悪い&豊洲は不衛生)を形成するように「動機づけられて」しまっているのです!
……以上、少々ややこしいお話しでしたが、お判りいただきましたでしょうか?
いろいろとお話ししましたが、要するに、人間の判断なんて時に、全く合理的でも理性的でもなく、感情や世急にゆがめにゆがめられてしまうものなのだ――ということでありました。
皆さんも是非、そういう「真実」を理解いただいた上で、可能な限り理性的な政治的判断を下していただきますよう、お心がけください。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/9/21号より
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