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ガイドライン・広告品質 公開日:2024.10.11

LINEヤフー担当者に聞く マーケティング事業におけるDE&I推進のポイント

その他

現在、多くの企業が「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」を経営理念に取り入れています。DE&Iとは、Diversity(多様性)、 Equity(公平性)、Inclusion(受容)の頭文字をとった言葉です。近年はユーザーに情報を届けることになるマーケティング活動や広告分野においても、DE&Iを重視する必要性が議論されています。

 

2024年6月、LINEヤフーでは広告制作に携わる全ての人がDE&Iについて理解し、広告業界全体のDE&I推進を支援するため、Webページ「マーケティング事業におけるDE&I推進」を公開。マーケティング事業におけるDE&Iの考え方やDE&Iに関するコラム記事などの情報発信に取り組んでいます。

 

今回は「マーケティング事業におけるDE&I推進」のプロジェクトメンバーに、企業がDE&Iを推進するためのポイントについて話を聞きました。

片山優那(右)
経営企画・事業開発統括本部 トラスト&セーフティ本部 ポリシー室 OAポリシーチーム
「マーケティング事業におけるDE&I推進」のプロジェクトリーダー

照井彩(左)
経営企画・事業開発統括本部 トラスト&セーフティ本部 審査2部 DisplayAds審査4チーム
同プロジェクトでは、主にユーザーボイスの収集と分析を担当

「マーケティング事業におけるDE&I推進」が必要な理由

――「マーケティング事業におけるDE&I推進」をプロジェクトとして取り組み始めたきっかけについて教えてください。

 

片山 広告とは、社会にさまざまな発見を与えたり、大きな影響を及ぼしたりする可能性があるものです。一方、多くの人に触れる分、広告が良い影響を与えることもあれば、残念ながら悪い方向に作用することもあります。たとえ悪気がなくても、広告の作り手が無意識のうちに偏った表現を使用し、それを見た人が不快感や疎外感といったネガティブな感情を抱いてしまうこともあります。

 

また、その広告が「正しいもの」だと誤解を与え、新たな偏見や差別を助長する可能性もあります。広告に携わる全ての人が、「この広告を受け取ったら、どう感じるか」をさまざまな人の立場を想定して検討したうえで、広告制作に取り組むことが求められる時代になってきています。

 

このような課題に対し、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見・思い込み)を自覚するきっかけづくりに努め、多様性を尊重し、広告業界全体のDE&Iの推進に貢献していくことを目指して、「マーケティング事業におけるDE&I推進」というプロジェクトを進めるに至りました。

 

例えば、ページ内の「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?概念や重要性を解説」というコンテンツでは、今、DE&Iが求められる背景、これからDE&Iを推進する企業が意識すべきポイントなど、DE&Iに関する基礎知識をまとめています。

 

また、広告に寄せられたユーザーからの意見をもとに「ユーザーボイスから考えるジェンダー表現」などの情報も提供しています。今後も、LINEヤフーに集まるユーザーの意見やユーザー調査の結果などをもとに、情報を拡充していく予定です。

――「マーケティング事業における」という枠の中で情報発信を始めた背景は?

 

片山 現在、多くの企業が多様な人材の活躍・活用など、人事的な側面でDE&Iを推進しています。一方で、すでにDE&Iを尊重した広告制作を行っている企業もありますが、DE&Iと広告制作を結びつけるまでには、もう少し情報が必要なのではないかと感じています。

 

そんな中、ありがたいことにLINEもYahoo! JAPANも、広告プラットフォームとして多くの方々に利用いただいています。今後、プラットフォームで配信されている広告がDE&Iを尊重したものになれば、広告を見て不快な思いをする人も少なくなるはずです。我々がDE&Iを推進していくことは、プラットフォームとしての責任だと考えています。情報を発信することで、広告制作に携わる広告主や広告会社の方々の役に立てればという思いから、情報発信に取り組みました。

 

実際、「これからDE&Iを推進したいが、どのようなことを意識すべきか」「何から着手したらいいのか、わからない」といった声もあります。そのような方々にとって「指針」となるものを提供できればと考えています。

DE&I推進のポイントは活発な意見交換と情報のアップデート

――DE&Iの推進に関して、今回のプロジェクトではどんなことから着手し、どんなことを意識して進めていったのでしょうか?

 

照井 本プロジェクトは、2023年4月にスタートしました。年齢も経歴もさまざまな9人のメンバーを集め、 DE&Iに関連する記事や広告を持ち寄って「この広告を見てどう思ったか」「こういったことが話題になっているが、どんなふうに考えるか」と意見を交わすことからスタートしました。

取り上げる内容によっては、センシティブなものもあります。それを、バックグラウンドの異なるメンバーで話し合うことについて、当初、戸惑いや不安な気持ちもありました。実際に議論を重ねる中で、「私のこの意見は、少数派なんだ」と気付くこともありましたし、同じ意見でも、そこに至るまでのプロセスが異なることもありました。改めて「DE&Iは、たくさんの人と関わりながら進めていくことが大切なんだ」と感じました。

 

また、社内からのアプローチだけでなく、世の中の声も積極的に拾うようにしました。LINEヤフーのユーザーを含めインターネット広告に触れたことのある人に対して、ユーザー調査を実施したり、Yahoo! JAPANに掲載されている広告に寄せられた意見を分析したり――。当社の広告プラットフォームに掲載された広告に対しては、ユーザーの声を直接聞くことができるので、その内容をコンテンツに生かしていきました。

 

例えば、「ユーザーボイスから考えるジェンダー表現」というコンテンツで、ジェンダーに関するテーマを掲載したのも、ユーザー調査の結果、たくさんの方が関心を持っていることが分かったからです。また、プロジェクトを進める傍ら、社内セミナーなどでもDE&Iの啓発を進めています。

 

情報発信に当たっては、意図が正しく伝わるか、誰かを不快にさせたり、排除してしまったりしていないかなど、細心の注意を払いました。「誰が読んでも、同じように受け取ってもらえる文章」を考えることが難しいのは承知のうえで、さまざまな人に意見を聞きながら、時間をかけて構築していきました。

 

――これからDE&Iに取り組もうと思っている企業が意識すべきポイントはありますか?

 

照井 DE&Iは、「1度学んだら、完璧に理解ができる」というものではありません。人々の価値観や考え方は、時代とともに変わっていくため、広告を発信する側は、常に情報や知識をアップデートしておく必要があります。そのため、私たちプロジェクトメンバーも、意見を交わすだけでなく、日ごろから関連書籍を読んだり、社外のセミナーに参加したりしながら、知見を深めていきました。

大前提として知っておいていただきたいのは、思い込みというものは、大なり小なり誰にでもあるということです。すべての人を尊重した広告が制作できれば理想ですが、現実はそうもいきません。とはいえ、広告制作の際、表現やテキストがアンコンシャス・バイアスを含んでいないか、さまざまな人と活発に意見を交わすことが重要です。

「誰もが居心地の良い社会」を目指して

――LINEヤフーのDE&I推進担当者として、今後の目標はありますか?

 

照井 今回、改めてさまざまな方と関わる重要性を知ることができたので、多様な意見を聞きながら、自分も当事者として日々、触れる広告に向き合っていきたいと思います。DE&Iの推進には正解がないため、今後も社内外の多くの方と、意見交換の場をつくっていければと考えています。

 

片山 2023年4月にプロジェクトが発足した際、今回のサイト公開を一つの目標にしていました。無事公開できたこと、公開後に複数のメディアで取り上げていただいたり、お声がけいただく機会ができたりと、良い反響をいただきました。

 

広告は「“正しいもの”として誤解を与える可能性があるため、新たな偏見や差別を助長することがある」とお話ししましたが、これは裏を返せば、適切な表現で広告を配信すれば、「新しい価値」「多様な考え方」を受け手に伝えられる可能性があることも意味します。

 

さまざまな会社でDE&Iが浸透すれば、誰もが「居心地の良い社会」を実現できるのではないかと考えています。LINEヤフーが、そんな一助になれたらうれしいです。そのためには、今後も広告に携わる全ての人のお役に立てるよう、情報発信を続けていきます。

マーケティング事業におけるDE&I推進

LINEヤフーはマーケティング事業において、広告主・広告会社・広告配信パートナー、そしてLINE、Yahoo! JAPANをご利用いただいているユーザーの皆様の誰もが安心して利用できる広告プラットフォームを目指しています。

 

DE&I推進にお役立ていただけるような情報の発信や、環境の整備など私たちにできることを考えながら皆さまと一緒にDE&Iを推進していきます。

(公開:2024年10月、取材・文/土橋水菜子、POWER NEWS編集部、写真/新谷敏司)

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