TEDで『Fat, Forty, and Fired』の著者であるNigel Marshさんが、いかにしてワークライフバランスを獲得したかという話をしていました。いいワークライフバランスを見つけたいと思った時に、最初からすべてを大きく変えようとすると、結局は失敗することになります。高い目標を設定して失敗するダイエットと同じようなものです。Marshさんは、少しずつ変えることで、最終的に大きな変化になると言っています。

このトークの中での一番の名言はおそらく「ほとんどの人が、好きでもない人を感動させるために、必要のないものを買い、そのために嫌いな仕事を長時間やっています」でしょう。これは、ある一定レベルのほとんどの人にとって、核心をついている言葉だと思います。

では、どうすればこの悪循環を断ち切ることができるのでしょうか?嫌いな職場や会社に勤めているとしたら、それで悲惨な人生になっているのだと思います。仕事を辞めて、何か別の好きなことをするタイミングなのかもしれません。しかしMarshさんは、どんなに良い会社でも、会社というのは仕事をするためのところなので、働き過ぎていれば不幸になることもあると言います。好きな仕事だったのに、今その仕事で辛い思いをしているのであれば、それは仕事のせいではなくて、バランスが悪いだけかもしれません。

私たちは、何か問題がある時、それを解決するために大きく変えようとする傾向にあります。しかし、結局は延々と繰り返さなければならない、その場しのぎに終わってしまうこともよくあります。Marshさんは「もっと小さなことに意識を向けた方がいい」と言います。大きなことよりも、小さなことが積み重なって幸せになることもある、ということは知っている人もいるでしょうが、Marshさんは小さいだけでなく、色々なことが必要だとも言っています。

例えば、ジムに通うことで、ワークライフバランスを獲得しようとした友だちの場合。彼はジムと会社だけだったので、バランスの取れた人間というより、運動をよくする働きアリになっただけでした。自分の時間のほとんどを何かひとつのことに使ったり、仕事を離れてたまに長期の旅行に出かけたりするのではなく、自分の時間を細かく、色々な、異なることに使った方が良いということです。極端に言うと、Marshさんは、小さな幸せの瞬間こそが大きな幸せになると思っているのです。

Marshさんは、具体的に何かをしなさいということは言っていませんが、このトークは考えさせられるものだったので、今回紹介しました。自分にとって小さな幸せの一覧を作っておいて、1日にそのうち5つを自分にプレゼントするようにしてみてはいかがでしょう。15~30分でできるような小さな5つの幸せを、1日に散りばめるのです。少しの間、実践してみて何か感じるところがあれば、この記事に戻ってきて、コメント欄で感想などをぜひお聞かせください。

How to Make Work-Life Balance Work | TED via Swissmiss

Adam Dachis(原文/訳:的野裕子)

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