どんなにモチベーションが高い人も、ガス欠になることはあります。

心身共に消耗していたり、創造性が枯渇したような気がしたり、理由は何であれ、どうしてもやる気が出ないことってありますよね。

そんなとき、モチベーションを取り戻す戦略をいくつかご紹介します。

やる気がまったく出ない原因と、失ったやる気を取り戻す方法

やる気がまったく出ない原因と、失ったやる気を取り戻す方法

米Lifehackerに届いた一通の手紙

米Lifehacker様

最近、私は何もする気になれません。職場では仕事がとても辛くなり、家ではさらに悪い状態です。

アパートは散らかり放題になりつつあり、もう料理もしないのでヘルシーな食生活とも縁遠くなりそうです。

特に気分が落ち込んだり、不幸な気分になっているわけではありません。

どうしたら、やる気を取り戻せますか?

ー 危険なレベルまでモチベーションが低下している者より

モチベーションがなくなるのは、多くの要因が関係している可能性が高いので難しい問題ですが、モチベーションを取り戻す最も簡単な方法は、やりたいことをすることです。

ただ、問題は、そのために何らかのタスクに着手するだけのエネルギーや意志の力が足りないと、一般的に、食事や娯楽のような楽なことに溺れる方向に向かってしまうことです。

もうお気づきかもしれませんが、自分を甘やかしすぎると、問題は悪化する一方です。ではどうしたらいいのでしょうか。

まず、モチベーションをなくした原因を特定すること。

次に、自分をうまくだましてモチベーションを取り戻す方法を見つけることです。

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社会的疎外感を感じるとモチベーションを失う

モチベーションを損なう原因はさまざまです。

人間行動学に関するブログを書き『You Are Not So Smart』という書籍の著者でもあるDavid McRaneyさんが2012年に投稿した記事で、このことについて説明しています。

ある研究で、学生たちを顔合わせさせて、誰と一緒に働きたいか紙に書いてもらいました。

次に、学生たちを2つのグループに分け、学生が書いた紙は一切無視して、1つのグループには「君は選ばれたよ」と伝え、もう1つのグループには「君は誰にも選ばれなかったよ」と伝えました。

「誰にも選ばれなかった」と言われたグループが嫌な気分になったのは当然ですが、このグループの行動はどのように変化し、また、どのような理由で行動を取ったのでしょうか。

この研究チームは、「自己規制」が社会で受け入れられるために必要な要素であり、それに見合った報酬なしに人は自制できないと結論づけました。

「選ばれなかったグループ」に属する学生たちは、社会から疎外されたことで心の痛みを感じ、自己規制は無駄だと考えるようになりました。

「誰も気にしないのに、なぜ規則に従う必要があるのか」と考えたようでした。

意志の力の燃料タンクに穴が開いてしまい、目の前にクッキーを置かれると、食べたいという衝動を抑えることができなくなりました。

別の研究では、「自分は社会に必要ではない」と感じると、パズルも解けなくなり、他人と協力しようという気持ちも仕事に対する意欲も低下し、飲酒、喫煙、その他の自己破壊的な行動に走りがちになることがわかっています。

社会から疎外されると自制心がなくなり、自己消耗の状態に向かう王道を歩むことになります。

社会から疎外されると、何かをやってみようという気持ちを失います。どうせ誰も自分のことなど気にしないと思うからです。

少数の人たちから疎外されることがあっても、それがあらゆる状況における万人の意見を反映しているわけではありませんが、どうしてもそんなふうに感じてしまい、そういう反応をしてしまうのです。

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身体のニーズを無視すると何をするのも消極的になる

モチベーションを損なう理由は他にもあります。食事もかなりの影響を及ぼすようです。

2010年にコロンビア大学とベン・グロン大学の研究者たちが発表した研究では、仮釈放について10カ月にわたり1112件の司法判断を調査しています。

裁判官が朝食や昼食を取った直後は、仮釈放が許可される可能性が最も高いことがわかりました。

裁判官が食事をした直後は、平均約60%の囚人が仮釈放を許可されましたが、食事をしてから時間が経つに連れて仮釈放の承認率は低下していき、食事をする直前の裁判官の仮釈放承認率は約20%になりました。

つまり、裁判官の体内のブドウ糖が少ないほど、囚人を釈放してその結果を受け入れるという積極的な選択をする意志が弱くなり、仮釈放を先延ばしにするという消極的な選択をする可能性が高くなったのです。

忙しい生活をしていると、朝食を抜いたり昼食が遅くなったりしがちです。すると、体内のブドウ糖が不足して適切に思考できなくなり、仕事がはかどらなくなります。

やっと食事をしても、1日の大半を食事せずに過ごしたせいで頭痛が起こり、モチベーションが持てず、横になっているしかなくなるかもしれません。

身体のニーズを無視すると、がんがん仕事をこなそうというモチベーションが損なわれる可能性があるので、自分の行動をトラッキングして改善することが重要です。

たとえば、この「1日の行動チェックフォーム」を使って、毎日の生活に共通する傾向があるか確認しましょう。

それがわかれば、朝食を食べて十分な水分補給をするといったシンプルなことでモチベーションを取り戻せるかもしれません。

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意思決定の頻度が高すぎると脳が消耗する

選択肢が多いのは良いことですが、選択肢が多過ぎると、意思決定する頻度が高くなり過ぎてモチベーションが損なわれます。

John Tierney氏が、この問題についてニューヨークタイムズの記事で次のように論じています。

意思決定を頻繁にし過ぎると脳が疲労すると考えると、ごく普通の分別のある人たちが同僚や家族に腹を立てたり、洋服にたくさんのお金を使って散財したり、スーパーでジャンクフードを買いあさったり、ディーラーから勧められるままに新車のさび止めを発注してしまう理由も説明がつきます。

どれほど理性的で高潔な人でも、生物学的な代価を支払わずに次々と意思決定を下し続けることはできません。

この場合、普通の肉体的な疲労とは違って、脳が疲労していることに気づきませんが、精神的なエネルギーは低下しています。

1日に行う意思決定の回数が多いほど、1回ごとに脳への負担が増えて、最終的には、深く考えず手っ取り早く決めてしまいます。

これは、職場での重要な意思決定に限ったことではありません。

小さな決断をたくさんしなければならないと、このような疲労にゆっくりと苛まれることになります。

毎日しなければならない意思決定の数を管理できないと、意思決定の大きさに関わらず、どんどん適当に決めていくようになります。

モチベーションの取り戻し方・高め方

モチベーションを取り戻すには、

  • モチベーションをなくした原因と闘うこと
  • 自分自身をあやして何とか最初の一歩を踏み出すこと

の両方が必要です。

社会的に疎外されたことが原因なら、気分が悪くて何もする気になれないかもしれませんが、問題に立ち向かわなければなりません。

自分の行動が原因で社会に疎外されているのかもしれませんし、不快な人たちと関わっているせいかもしれません。

拒絶してくる相手と話して、理由を見つけましょう。自分に原因があるなら、問題点を改善する方法に目を向けること、相手に問題がある場合はその人と一緒に問題を解決するようにしてみることです。

ただし、どうしても問題を解決できないときは、その状況から脱することを考えましょう。誰にとっても、不当に社会から疎外される状態がずっと続くことは、不健全です。

単に自分の身体をきちんとケアしていないことが原因なら、解決策はかなりはっきりしています。

前述したように、まず問題を特定する必要がありますが、「1日の行動チェックフォーム」を使用すれば、簡単にできます。

どのような身体のニーズをないがしろにしているのか、把握して改善することを最優先しましょう。

意思決定の頻度が高すぎることが原因なら、1日に行う意思決定を全て管理することは困難です

知らず知らずのうちに何かを決めていることもあるからです。解決策の1つは、ToDoリストにタスクではなく決定事項を書きこんで、いつ何を決定する必要があるか把握することです。

1日に行う意思決定の数が多くなり過ぎないように配分すること、また、無意識に行う可能性がある意思決定が入る余地を残しておくことが大切です。スーパーで買い物をするといった細かいことも必ず記入してください。何を買って何を買わないか考えるのもかなりのストレスになりえます。

最後に、本当にやりたいことを見つけましょう。

これは、アパートを掃除するといった退屈なことの場合もあれば、ゲームを作るというワクワクすることかもしれません。

何であれ、ものの5分もかからないぐらいささやかなことでも構わないので、とにかく最初の1歩を踏み出しましょう。

翌日は、それよりちょっとだけ歩幅を広くした1歩にします。毎回少しずつ成果を増やしていくことで、軌道を整えていきましょう。

どれだけ少ない労力で成果をあげられたか目に見えるようになると、進歩することも楽になります。結局のところ、「始めてみる」ことが大事なのです

ここでご紹介したことがモチベーションを取り戻す助けになれば幸いです。モチベーションを無くした原因に向き合い、ゆったり構えれば、すぐにもとのモチベーションを取り戻せるはずです。

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Image: MarcoVector/Shutterstock.com

Source: You Are Not So Smart, PNAS, Harvard, The New York Times, Entrepreneur

Adam Dachis – Lifehacker US[原文