表面上のシークレット…。
別にやましいサイトを見るわけではなくとも、履歴が残らない匿名性の高いブラウザ利用って、重宝されたりするものです。きっと多くの皆さんが、Google(グーグル)のChromeブラウザが提供しているIncognitoモードなるシークレットモードを使っていることでしょう。
でも、この匿名性って、かなり限定的な意味合いでもあることはご存じでしたか?
VPNのようなモードではない
匿名でブラウジングできると聞くと、IPアドレスまで隠せるVPNのプライベート接続を思い浮かべる方も少なくないのでは?
ところが、このほどBloombergは、GoogleがIncognitoモードを提供しつつも、実はユーザーのIPアドレスから閲覧データまで収集できてしまう事実を、多くのユーザーに知らせていないと訴える訴訟が一斉に起こされていると報じました。
Googleのみならず、そもそも広告表示や検閲目的でトラッキングしようと思えば、サードパーティーによるユーザーのネット利用情報の収集は行なえる状態で、これをIncognitoモードと呼ぶならユーザーは欺かれるとの批判が展開されているようですね。
プライバシーのコントロールは、当社のサービスに長年導入されてきたものであり、開発チームに対しても、常に改善を目的とした検討を進めることを奨励しています。
Incognitoモードでは、ユーザーがプライベートなブラウジングを体験できるようにしており、どのようなモードなのかの説明もきちんと行なっています。原告の主張は、当社の説明を意図的におとしめるものです。
今回の報道を受けてGoogleの広報担当は「Incognitoモードの利用にあたっては、ブラウザを閉じるときに、閲覧履歴や検索履歴、ならびにクッキーが消去されるため、ほかのユーザーが次にブラウザを開いても、プライバシーが保たれる」と説明しています。
しかし、追加の説明を読むと“ただそれだけのモード”でしかなく、Googleや第三者がトラッキングできないようにするVPNサービスとは異なることも、しっかりわかるはずだという理屈ですね。
とはいえ、今回の訴訟をめぐってはGoogle社内からも、ユーザー向けにどこまでシークレットで匿名性を保てるモードなのかの正しい説明をもっと出したほうがよいという意見が出ています。
北米で2018年に実施された調査では、6割ほどのユーザーが、Incognitoモードを利用中は、Googleでさえユーザーデータの収集ができなくなっているはずだと勘違いしていたことが判明。この現状は、いまもそれほど変わりはないでしょう。今後の判決によっては、Incognitoモードの名称が変更されたりするかもしれませんよね。
訳:湯木進悟
Source: Bloomberg
ギズモード・ジャパンより転載(2022.10.20)