店で販売員にしつこく接客されたことがある人って、結構多いのではないでしょうか。こちらが苦笑いしつつ逃げようとしても、商品を売りつけようとしつこく付きまとい、客の居心地を悪くさせる販売員っていますよね。そんな接客では、客が商品を購入しないのは明白です。とくに小売業界関係者は注意が必要です。
経営者が期待することは、より多くの商品を販売して一定の売り上げを維持しながら、さらにお店の売り上げを伸ばすことです。顧客に「買ってください」「お金をもっと使ってください」と迫るような接客ではなく、関連する商品やサービスを提案することで売り上げを伸ばす方法についてご紹介したいと思います。
ファーストフード店のドライブスルーでオーダーをとる店員は、「ハンバーガーと一緒にポテトもいかがですか?」などと、必ず関連商品を勧めます。断るケースが多いと思いますが、断らないケースもあります。販売員はこうしたテクニックでより多くの商品をお客に購入させます。これをアップセルと呼びます。
効果的なアップセルには忍耐や細かい観察力、立ち直る力といったスキルを要します。これからご紹介するアップセルに関する5つのヒントを実践し、販売スキルを磨きましょう。
ステップ1. 顧客にしゃべらせる人は自分のことを話すのが大好きです。私の経験では、会話が楽しいものであればあるほど、顧客はより長い時間店内にとどまり、より多くのお金を使う傾向があります。そして、リピーターになる可能性が高くなります。
楽しい会話によってコミュニケーションを確立できれば、商品に関する知識を伝える絶好の機会となり、顧客に販売員というよりは友達だと錯覚してもらえます。しかし、どのようにすれば良いのでしょうか?そこで、ステップ2を見ていきましょう。
ステップ2. 自由回答の質問をする自由回答の質問をして、顧客の話をできるだけ引き出しましょう。「はい」や「いいえ」で完結する質問だと、相手の話題を引き出すことができず、必要な情報が得られません。顧客がその商品をどのように使う予定なのか、また、予算はどのくらいかといったことを尋ねてみましょう。
このプロセスでは、顧客が買うつもりのない商品やサービスが明らかになります。
たとえば、スポーツシューズを販売しているとして、次のような質問をしてみましょう。
ステップ2で顧客の要望や悩みなどをヒアリングすることは、顧客により良い提案をする材料になります。もしも顧客が購入するつもりだった商品よりも高額のものを提案するときは、その商品の特徴や利点、そしてなぜその商品がその人にピッタリなのかということをかならず説明してください。
アップセルに関しては、すべてのケースがハッピーエンドなわけではありません。顧客に断られたときの対応で、いかに誠実なアドバイスや提案をしていたかということが顧客にも伝わります。
ステップ4. 会計カウンターまで一緒につき添う顧客を会計カウンターに連れていく過程でもアップセルのチャンスがあります。たとえば、紳士用の靴を購入する男性の接客をしていれば、会計カウンターに向かう途中に紳士服売り場を通りましょう。女性の顧客についても同様です。シューズを購入する人には、ソックスなどの必要となる商品も提案しましょう。
ステップ5. 接客を始めたときと同じ形で接客を終える顧客が入店してきたときと同じような陽気でフレンドリーなテンションで接客を締めくくりましょう。できるだけ接客全体を通して同じように振る舞ってください。必要に応じて自分の名前を言い、顧客が店を出るときには「当店でお買い上げいただきありがとうございました」とお礼を言うことをお忘れなく。
Christina Pellegrini(原文/訳・コニャック)
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