ギズモード・ジャパンより転載:そのうち一般家庭でも~。
ADSLや、はたまたISDN回線でのインターネットが主流だったころに比べると、最近のブロードバンドのスピードは本当に速くなりましたよね。でも、人間というのは、なかなか満足できない生き物なのでしょうか。もっともっと高速なインターネット回線で、4Kの動画だってバリバリと送受信したくなってくるものです。この分野での技術進化も、まさに日進月歩で、ついに毎秒テラビットクラスの情報を送れる1.125Tbpsというスピードまで実現しました! でも、あくまでもこれは研究所内でトランスミッターとレシーバーをダイレクトにリンクさせて計測した結果に過ぎません。実際に光ファイバーケーブルや銅線でデータを送ると、距離が長くなればなるほどスピードダウンは避けられず、理論値よりも途中で起きる信号ロスによって遅くなってしまうのが現実でしょうかね...。
ところが、このほど米イリノイ大学(University of Illinois)の研究チームは、垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)を用いた光ファイバー通信で、普通の室温環境にて57Gbpsの実測スピードを達成。通信ケーブルは熱を持ってくるのが一般的ですけど、たとえ80度を超える温度まで上がったとしても、常に50Gbpsの高速通信を維持することができるようになったと発表されていますよ。
どのようにして情報通信の高速化が可能になるか? この重大な疑問の答えを探究し続けてきた。どれほどデータ量が豊富になっても、データ通信速度が不十分であれば、せっかく収集したデータも無駄に終わってしまう。例えば、新たなVRをはじめとする大容量のデータストリーミングを要求する技術が誕生しても、その恩恵にあずかることはできないのだ。
同研究チームを率いた、イリノイ大学のMilton Feng教授は、こんなコメントを出して研究成果を発表。すでに2014年には、実測で上り40Gbpsというスピードが出せるようになっていましたが、VCSELをフル活用する最新技術によって、常時50Gbps超の高速通信でデータを送れる環境が整ったことの意義は大きいとしていますよ。
米国カリフォルニア州で開催された「Optical Fiber Communication Conference and Exposition」にて正式発表が終わり、今後は早期の実用化が、まずは産業界から進むだろうと考えられています。光ファイバーケーブルさえ整えれば、容易に導入可能な通信技術となる見込みで、意外と一般ユーザー向けにも近いうちに提供されていくのかもしれません。Blu-rayディスクのコンテンツだって、わずか数秒で落とせるようになる高速インターネットが、早く身近になるといいですよね。
source:University of Illinois via Engadget
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(湯木進悟)
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