Inc.:いざというときに頼りになるのは、自分の頭脳だけです。日頃から鍛え、脳の潜在能力をフルに引き出せていますか? 今回ご紹介する5冊の本は、脳の改善にとても役立ちます。脳のパフォーマンスをピークにもっていきましょう、人生の競争を勝ち抜くために!

(引用文は日本語版書籍からのものではなく、英語版書籍を部分的に翻訳したものです)

1. 『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』

5秒でわかる要点

人生で成功を収めるカギは、脳の働きを理解することです。脳の働きには2種類あり、1つは直感的・感情的である「ファストな思考」、もう1つは論理的にじっくり検討する「スローな思考」です。

読むべき一節

チェスで次の一手を考えるとか、株に投資するかどうかを決めるといった問題に直面したときは、直感的な思考が本領を発揮します。問題に関する専門知識があり、置かれている状況を認識できるなら、頭に浮かぶ直感的な解決策は、正解である可能性が高いのです。チェスの名手が複雑な盤面を見るときには、こうした「ファストな思考」が働きます。彼の頭に即座に浮かぶ2、3の手は、どれも有効なはずです。

いっぽう、問題が難しく、専門知識がないときでも、脳は直感的に答えを出そうと試みます。この場合も即座に解答が思い浮かぶかもしれませんが、それはもともとの問題に対する答えではありません。難題に直面すると、より簡単な問題にすり替えて考えてしまいます。しかも多くのケースでは問題がすり替わっているのに気がつかないのです。これこそが直感的ヒューリスティックの本質です。

知って得するトリビア

人の脳は、1秒あたり約2京個のニューロンを活性化(発火)させている。

書籍情報

2. 『0ベース思考 どんな難問もシンプルに解決できる』

5秒でわかる要点

昔ながらの問題に新たな解決策を見出すための青写真を、興味深い実例を挙げながら説明しています。

読むべき一節

人はつい、大勢に従ってしまいたくなります。一番重要な問題についてでさえ、私たちは友だちや家族、同僚の意見を採用してしまうことがあります。あるレベルにおいては、これは理にかなっています。家族や友だちの考えに同調するほうが、新しく家族や友だちを作るよりも楽ですから。でも、大勢に従うということは、現状を簡単に受け入れ、自分の考えを固定化し、自らの考える能力を人に委ねてしまうやり方なのです

知って得するトリビア

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究によると、リベラルな無神論者の知能指数(IQ)は、敬虔な保守主義者に比べて、平均で6ポイント高い。

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3. 『習慣の力 The Power of Habit』

5秒でわかる要点

人間は習慣に従った行動をとりがちです。その傾向を利用し、自分を良い方向に導くためのガイドです。

読むべき一節

神経学や心理学の見地から、50年前には想像できなかったほど、多くのことがわかってきています。なぜ習慣が生まれるのか、どのように変化するのか。習慣のメカニズムは科学的に解明されているのです。そして、習慣を細分化し、特定の目的に合わせて再構築する方法も明らかになっています。食べる量を減らし、もっと運動し、より効率的に働き、健康な生活を送るために必要な方法がわかっているのです。習慣を変えるのは簡単ではありませんが、実際に変えることはできます。そのための方法も判明しているのです。

知って得するトリビア

人の脳は、体をめぐる酸素の20%、さらには血液の20%を使っている。

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4. 『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』

5秒でわかる要点

世界屈指の指導者の特訓を受け、最新のメソッドで記憶力向上を行ったジャーナリストの記録。

読むべき一節

脳は筋肉のようなもので、記憶術のトレーニングは、頭脳版のエクササイズと言えます。エクササイズと同様に、訓練を重ねるにつれ、脳は引き締まり、挙動が速くなり、より機敏になります(中略)。脳が活発だと認知症になりにくくなることを裏付ける、科学的データは数多くあります。ところが、いわゆる脳トレーニングの効果に関しては、大げさな主張が出回っているせいで、多少の疑いの目が向けられています。しかたのないことだとは思いますが、その効果については疑いの余地はほとんどありません。筆者は今、47歳の人が、たった数分前に覚えたばかりの、これといって関連性のない100の単語のリストを、順番に復唱するのを目の当たりにしたばかりです。

知って得するトリビア

目が覚めているとき、人間の脳は最大で23ワットの電力を発している。これは大まかに言って、3台のiPhoneを動かすエネルギーに相当する。

書籍情報

5. 『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』

5秒でわかる要点

神経科学や物理学における最新の成果から、これまでSFの世界のものだと考えられていた能力(心によるコントロールや念力など)が、現実になる可能性が出てきました。

読むべき一節

人の心の神秘を目の当たりにしたいなら、鏡に映った自分を見つめ、「この目の奥に潜んでいるものは何だろう?」と考えてみるだけで十分です。この問いかけは、「我々に魂はあるのか?」「死んだあと、何が起きるのか?」「私とは一体何者なのか?」といった、人の心を捉えて離さない疑問へと発展していきます。そしてもっとも重要なのは、この問いかけが「この巨大な宇宙の仕組みの中で、我々はどこに属しているのだろう?」という、究極の疑問につながっている点です。ビクトリア朝時代のイギリスの偉大な生物学者であるトマス・ハクスリーは次のように述べています。「人類にとって究極の疑問、すべての問題の背後にある問題、そして何よりも興味深い問いは、自然界との関係、そして調和のとれた宇宙との関係において、人間の占める場所を特定することである」

知って得するトリビア:

人類史上初の脳外科手術が成功したのは、紀元前7000年ごろの石器時代のことだった。

書籍情報

Geoffrey James(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

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