Inc.:常に過密なスケジュールと戦い、長時間労働で目の前のタスクを消化するだけの日々をすごしてはいませんか? アメリカでは、平均週47時間近くにもなる重労働が標準化しています。さらに、アメリカ人は他の国に比べ、週末や午後10時以降に仕事をする傾向が強いのです(私もまさにその最中です)。雑誌『Leader to Leader』の編集長であり、『Create Your Future the Peter Drucker Way』の著者であるBruce Rosenstein氏が、この悪夢から抜け出す方法を教えてくれています。Rosenstein氏はドラッカーの哲学と彼の教えの研究における第一人者であり、ドラッカーの「体系的廃棄」の哲学こそが我々の働きすぎる国民性に対処する方法であると述べています。
ドラッカーは、企業を増強する手段として体系的廃棄を奨励していますが、Rosenstein氏は、これは個人レベルで仕事のスケジュールを管理する際にも有効であると言います。その理由は次の通りです。
1.それぞれの活動を見つめなおす
考えてみてください。「現状を冷静に見て、このタスクは今日中に完了させる必要があるのか」と正直に自問しましょう。答えがノーであれば、そのタスクは廃棄の対象になります。
Rosenstein氏自身もこれを実行しています。音楽に関わることが好きだった彼は、フルタイムの仕事をしながら何年もの間、週1日レコード店で働いていました。「やりがいを感じて何年もやりましたが、ある日限界を感じました」と彼は言います。彼はその仕事を辞め、まもなく大学で講座をすることになります。「あの仕事を辞めていなかったら、時間は取れませんでした。教えるほうがより充実しています」と彼は語ります。
2.やるべきことはもちろん、やりたいことをやるように心がける
Rosenstein氏は、1日のスケジュールを考える際、「やるべきことVSやりたいこと」を自問すると言います。
「例えば、特定のプロジェクトを進めたいけど、本日中に絶対終わらせなければならないタスクがあるとします。組織内の誰かにそのタスクをゆだねることができますか? それとも外注することができますか?」
まず、早く片付ける必要があり、特に自分ではなくても大丈夫なタスクを、自分の皿から取り去る方法を見つけるのです。(人に任せることが苦手な人のためのヒントがここにあります)。
3.ルーティンワークに疑問を持つ
1日に行うすべての活動を記録し、それぞれのタスクが自分の目標達成にどれくらい貢献しているのかを問い正します。Rosenstein氏は言います。
「おそらく、習慣に基づいて仕事を進めていることに気づくでしょう。自分の貴重な時間と能力が実際にはどこに使われているのかを知り、その配分を賢く変えるための方法を突き止めることができるのです」
4.自分が得意なことをリストアップする
実際に行っている1週間分の業務のリストと、自分が得意なタスクのリストを作りましょう。得意なタスクのリストは、能力の根幹となり、あなたを成功に導きます。次に、2つのリストを比べてみてください。二つのリストで共通のタスクが無い場合、変える必要があるとRosenstein氏は言います。
例えば、自分にとって欠かせない能力を活用する手段として、ソーシャルメディアを使っているかもしれませんが、目標達成よりもソーシャルメディアを使うこと自体に集中してしまう可能性もあります。「ソーシャルメディアを使う際にどこで線引きをするのか見極める必要があります」
5.タスクの選別ができたら、残ったものを改良することに集中する
「厳選したら改善しましょう」とRosenstein氏は言います。体系的廃棄のポイントの1つはワークライフバランスの獲得にあることは確かですが、それだけではありません。自分が非常に得意とすることや、自分や会社の成功に大きな変化をもたらすような能力に注目するという目的も果たすのです。無駄をなくすことで得られた時間とエネルギーを、自分が得意とするタスクの向上に使ってみましょう。そこに焦点を当てることで大いに効果が発揮され、まったく新しい段階で仕事をしていることに気づくでしょう。
6.繰り返す
ドラッカーは、継続的な改良を意味する日本語、「kaizen」の提唱者です。体系的廃棄に完成はなく、ときどき自分の活動を見直して廃棄するものと改善するものを再検討する必要がある、という考え方です。Rosenstein氏は次のように言います。
「1年を通して自分の気が向いたときに、定期的に自分の活動を見直すようにしましょう。誰の人生にも変化があり、状況が変われば自分にとって重要なタスクも変わるかもしれません。自分が好きなことをすべてやる時間はありません。しかし、自分の時間と努力をどの活動に費やすべきかを見極めれば、人生のすべての局面においてうまくいくし、満足感を得られるでしょう」
Overwhelmed? 6 Ways to Bring Sanity to an Insane Work Schedule|Inc.
Minda Zetlin(訳:コニャック)
Photo by Shutterstock.