米Lifehacker編集部御中
私は、恥ずかしいことをやらかすたびに、恐怖のあまり凍り付いてしまいます。時にはそれが必要なこともありますが、そうでないときにはくよくよしていても仕方ないと思うのです。
どうしたら、小さな失敗にびくびくせずに生きられますか?
永遠の恥かきより
まずは深呼吸をして、落ち着いてみてください。
恥ずかしいという気持ちを完全に封じ込めることはできませんが、和らげる方法はたくさんありますから。やり方によっては、今後の恥ずかしい瞬間を、未然に防げるようになりますよ。
恥ずかしいと感じる理由
バカなことを言ってしまった、あるいはおかしな行動をとってしまったときには、自分ではどうすることもできない無意識の反応が起こります。頬が赤くなり、心拍数は上昇。汗が出て、言葉はしどろもどろに。この感覚はきっとあなたにもわかるでしょう。
大事なのは、なぜそのような反応が起こるのか、理由を知ること。恥ずかしさの定義はたくさんありますが、ビジネスサイト「Crew Blog」のライター、Andrea Ayresさんは「恐怖への反応だ」と説明しています。
恥ずかしいという感情は、実際にしてしまった反応や行動が、すべきだと思っていることと一致しないときに芽生える自意識です。
社会が求める生き方をしていない時や、好ましくない注目を浴びているときに、恥ずかしいと感じることが多くなります。
私たちは基本的に、社会に受け入れられたいと思っています。
だから、その状態を脅かすような行為をしてしまうと恐怖に襲われるのです。
たとえば、ワインを飲む時はシャツにこぼしてはいけないと思っているので、実際にこぼした時、社会に拒絶されるのではないかと怖くなってしまうのです。
もちろん、私たちは完ぺきとは程遠い存在です。
人間の身体は、周囲の状況に反応するように進化してきました。つまり、まずはこれを自然の反応であると受け入れることが大切です。そもそも、他人の存在があるから恥ずかしいと感じるのです。
家に一人でいる時には感じないでしょう。つまり、くすぐられるのと同じで、自分の恥ずかしさを完全に封じることはできないし、一人で恥ずかしくなることもできないのです。
難しいことかもしれませんが、まずは恥ずかしさを認めることです。人間、生きていれば恥ずかしいことの1つや2つぐらいあるもの。その影響をなるべく和らげて、うまく受け流せるようになりましょう。
明らかに見られていた場合、恥ずかしさを認めてしまう
恥ずかしさには必ず他人が介在しますが、シチュエーションによって対策が異なるので注意が必要です。
周囲の人は、あなたに注目していますか? あなたのミスを見ていましたか? あるいは、失言を聞いていましたか? そうでなければ、自分がしてしまったことをわざわざ指摘する必要はありません。
それでも、やはり周囲に誰かがいるので、多少は恥ずかしい気持ちになるかもしれません。そんなときは深呼吸をしてください。恥ずかしさがすぐに過ぎ去ります。
明らかにみんなに見られていた場合、「仮面を外す」ことで最初のショックと赤面状態を和らげることができると、心理学についてのサイト「Uncommon Help」の運営者、Mark Tyrrell氏は述べています。
最近では赤面することはほとんどなくなりましたが、以前30人ぐらいの人と話している時に、赤面体験をしたことがあります。
その時はすかさず、「うわ、信じられない! 見てください、顔が赤くなってきちゃいました!」と言いました。自ら仮面を外して退路を断つことで、赤面はすぐに収まったのです。
恥ずかしいと思っている自分を受け入れて、目撃者に自分の気持ちを伝えましょう。恥ずかしさを認めることで、身体は素早くショックをやり過ごし、状況をコントロールできるようになります。
最初のショックさえやり過ごしてしまえば、穴があっても入りたい気持ちにならずに済むでしょう。
周囲にいるのがよほどひどい人たちでない限り、状況を理解し、場合によってはあなたの気持ちをフォローしてくれるかもしれません。
謝る。ただし、必要な場合に限る
最悪の場合、大きなミスを犯すこともあるでしょう。自分のミスによって誰かを傷つけたり問題を発生させたりした場合、謝ることが大切です。
謝罪が必要なときは、次の3つの要素を考慮してください。
- 起こったことに責任を持つ。誰かに濡れ衣を着せない。
- できるだけ丁寧に、そうなった理由を説明する。人は「理由」を受け入れてくれる。
- 問題を大きくしない。自分の反応次第では、もっと恥ずかしい事態になることもある。
たとえば、未来のビジネスパートナーの名前を間違えて呼んでしまった場合、それは相手に対して失礼であり、関係に支障をきたす可能性があります。そんな時は、こうやって謝罪をしましょう。
「ジョン、名前を間違えてごめん。つい、別の知人を思い出してしまって。とても恥ずかしいことをしたと思ってる。これからも一緒にやっていけると嬉しい」と。
言われた相手も、間違いは正されたと感じ、あなたと同じように一緒にやっていきたいと思ってくれるでしょう。
一方で、恥ずかしいことをしたあとに、必要もないのに謝らなきゃと思ってしまう人もたくさんいます。それでは、双方にとって恥ずかしい状況になりかねません。恥ずかしさを認めたとしても、それに赤丸を付けて目立たせるのではなく、瞬時にやり過ごした方がいいでしょう。
必要がないのに謝るのは、不安要素を増やしているようなものです。
あなたのミスで誰かに被害を与えたなら、謝ってください。でも、何も悪いことをしていないのに、悪いことをしてしまったかのように振る舞うのは避けること。
前に進むことで、恥ずかしい瞬間を心の中で過去のものにしましょう。やってしまったことを自分で認めたなら、それで終了。起こったことを受け入れ、必要に応じて事態を修正し、前に進んでください。
一緒に笑っちゃえ!
恥ずかしい瞬間の何が怖いかと言えば、笑われることです。でも、実は周囲の人たちが笑うのも自然な反応であって、抑えることはできないのです。では、どうしたらこの状況をコントロールできるでしょうか?
答えは単純。一緒に笑っちゃえばいいんです。
彼らの笑いに加わってしまえば、あなた自身が事態を深刻にとらえていないことも伝えられます。小学生へのアドバイスみたいですが、騙されたと思ってやってみてください。恥ずかしい状況のままでいると、あなただけが被害者になってしまいます。そうなるぐらいだったら、流れに乗ることです。
もちろん、これがうまく行かないこともあるでしょう。
たとえば、彼らがあなたを不快にさせようという意図を持っている場合は、「またやっちゃった」とか「さあ、次はどんなヘマをしようかな?」のような自虐的なユーモアを使えば、矛先を変えることができます。
意地悪な人たちの言っていることに賛同してしまうという方法もあります。ただし、明らかに一線を越えているような場合は、躊躇せずにその場を去ってください。ミスを犯したからといって、他人にあなたの気分をめちゃくちゃにされる筋合いはありません。
ほめて注意をそらす
恥ずかしい瞬間を何とかやり過ごしても、その話題が長続きするのはいやでしょう。そんなときは、皆の気をそらすような行動に出てください。コミュニケーションスキルについてのサイト「Westside Toastmasters」のRichard Ansman氏は、相手をほめるのがいいと言います。
たとえば、「こういう時、君はいつも気にかけてくれるよね。きっと君は、こんな恥ずかしいミスを犯さないんだろうな。僕も二度とやらかさないといいんだけど」という感じです。
これによって、誰もが喜ぶ2つのこと、すなわち「ほめること」と「ぬくもり」を提供できます。
自分のミスにからめてほめるようにしてください。
急に誰かの着ているシャツをほめても、いっそう気まずくなるだけです。また、嫌味にならないようにも気をつけてください。
恥ずかしさが恐怖にならないように
恥ずかしさは、恐怖にならない限りは害がありません。でも、恥ずかしさが心をいつまでも支配し続けるようでは、今後の心配の種になってしまいます。
デートに誘って振られたら、拒絶されることが恐怖になります。会話中に失言してしまったら、人付き合いが恐怖になります。急に便意に襲われた経験も、恐怖になります。
ミスが心に残らないようにするには、視点を変える必要があります。YouTubeチャンネル「WellCast」から引用した上の動画では、頭の中のチャンネルを変えることを勧めています。あなたの頭の中は、シチュエーションコメディにチャンネルが合せられていて、同じ場面が何度も繰り返されている状態です。それより、もっとマシなチャンネルに変えましょう。気持ちを切り替えて、自分の気を紛らわせるのです。
チャンネルを変えたいのにリモコンが見つからないあなたには、恥ずかしい瞬間を違う視点で振り返るという方法があります。
イリノイ大学の研究によると、恥ずかしい瞬間を振り返る際、その時の気持ち以外のことを思い出すのがいいのだそうです。そこにいた人やその日の天気など、心を乱すことなく思い出せることならなんでも構いません。同研究の主任研究員であるFlorin Dolcos心理学教授は、こう説明しています。
記憶の中にある感情以外の部分は、その記憶に関連する嫌な感情をいとも簡単に消し去ってくれるでしょう。一度ほかのことに没頭すれば気持ちは完全に切り替わって、ネガティブな感情はそれほど気にならなくなるはずです。
過去の厳しい瞬間を乗り越えれば、少しずつ楽観視できるようになります。
過去の恥ずかしかった瞬間を振り返り、視点を変えて見れば、将来の恥ずかしさへの耐性ができてきます。かつて同じ状況に対処できたことを思い出せば、恐怖をはねのけることができるのです。
今後のために、謙虚さを
恥ずかしい瞬間を本当にうまくやり過ごすには、できるだけ謙虚さを持つことです。つまり、常に冷静かつ低姿勢でいること。それが究極の盾になります。
心理学についての情報サイト「Psychology Today」のライターで心理学者のKarl Albrecht氏はこう説明しています。
謙虚さとは、ニュートラルな感情のこと。人に上も下もないと思える精神的な成熟を意味します。
あなたにとって「重要」な人もそうでない人も、全員が同等なのです。あなたの価値は地球上の1人の人間として、ほかの誰よりも上でも下でもないのです。感情ではなく目的に基づいて行動や反応をしましょう。反射的な行動がそぐわないシチュエーションでは、感情を抑えてください。
恥ずかしい瞬間が、あなた自身を揺るがすことはありません。だって、あなたのことはあなたが一番よく知っているのだから。恥をかかない人なんていません。あなたの恥ずかしい瞬間は、将来きっと笑って話せる思い出話になるはずです。
他人は、あなたが思っているほどあなたのことを気に留めていません。あなたにとってはどんなにひどい経験でも、他人とっては取るに足らないことなのです。ほんの数日か数週間もすれば忘れ去られるでしょう。彼らには彼らの恥ずかしい瞬間があり、彼らの生活があるのです。
謙虚さを持っていれば、自分のミスなどたいしたことではないと思えるようになるでしょう。
大事なのは、ミスへの対処。今後ミスを犯した時、謙虚に冷静に対処できますか? それとも、必要以上に事を大きくして墓穴を掘りますか? それでもいいでしょう。だって、人間だもの。それでも人生は続くのです。自分を大切にして、前へと歩みを進めましょう。
Patrick Allan(原文/訳:堀込泰三)
Photos and illustrations by Tina Mailhot-Roberge, Quinn Dombrowski, Butupa, JD Hancock, Quinn Dombrowski, Matt McDaniel.あわせて読みたい