時として物事に過剰反応をしてしまうことは誰にでもあることです。しかし、それはあまり良い癖ではありません。自分が怒りっぽかったり、イライラしやすかったり、些細なことが気になって仕方がないようだと感じたら、以下の順を追って対処していきましょう。

普通の反応と過剰反応の違いを知る

まずは普通の反応と過剰反応の違いを知ることが重要です。激しい反応のすべてが過剰反応というわけではありません。状況に応じて、思うままに感じたり、自分の感情を表現したりすることは、全然悪いことではありません。頭にくるようなことがあれば、頭にきます。怒るべきようなことがあれば、怒ってしかるべきです。

しかし節度を超えた反応をすると問題が起こります。たとえば、自分が牛乳を買い忘れていらだったとしても、誰かを怒鳴りつけるようなことではありません。忘れたのはほかの誰でもなく自分です。しかし、もっと大事なのは、起きていることは単に「牛乳を買い忘れた」ということにすぎないことです。

仮にほかの誰かが牛乳を買い忘れたとしても、今食事の準備をしているところでもなければ大した問題ではありませんし、買い忘れた人を怒鳴りつけたところで牛乳が手に入るわけではありません。それどころか、あなたと怒鳴りつけた相手の間に新しい問題が生じるでしょう。ストレスのせいで感情的になることはありますが、それを人にぶつけたところでストレスは解消されません。むしろ周囲にもストレスを与える分デメリットが大きいといえます。

過剰反応には、自分の内面に向かうものと内的な過剰反応と、外にぶつけてしまう外的な過剰反応の2種類あります。内的な過剰反応は、その出来事に囚われてくよくよし、ほかのことが考えられなくなるというものです。このような過剰反応はあなたの幸福感を損ない、やりたいことの妨げになります。たとえば、渋滞中に割り込まれたことで1日中イライラして、そのことが頭から離れないとします。そのうち「なんで自分の時に?」とか「いつも自分にはこんなことばかり起こる」と考え始めるようになり、かなり大きなストレスになります。

外的な過剰反応については、もっと古くからいろいろな形があります。怒鳴ったり、叫んだり、自分の思う通りにならない時に人に当たったりすることです。また、日頃の性格に関わらず、自分が相手に対して適切な反応をしているしていると思い込んでしまう場合があることをお忘れなく。特に反応ではなく共感を求められている場面ではなおさらです。そのような時は今自分が反応しているのか、過剰反応しているのかを、きちんと見極めるのがポイントです。

過剰反応の引き金になるものを特定する

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ほとんどの場合、過剰反応を引き起こす、特定のきっかけとなるものがあります。誰にでもそのスイッチのようなものがあり、時々誰かがそれを押してしまうのです。そういう時に過剰反応をしないようにするには、準備をしておくのが一番です。自分がどんなことでスイッチが入るかを考えてみましょう。スイッチが入るきっかけがわかったら、それが押されそうになった時に、より自分をコントロールしやすくなります。

私の場合は、私がやりがちなことを具体的な例を挙げもせずに人に指摘された時に、感情的になると自分でわかっています。「いつもそういうことやるよね」という風に一般化されるとさらに腹が立って「いつ私がそんなことをやったのか具体的に言ってみろ」と過剰反応をしてしまいます(まったく良い対応とは言えませんが)。

では、自分がここ数ヶ月の間に何かに過剰反応してしまった時のことを思い出してみましょう。それが正当なものだったかどうかはさておき、一番腹が立った出来事を特定しましょう。拒否、拒絶、批判、友達を馬鹿にされたとか。ニュースなどで事実ではないことが真実のように伝わっているというような、自分には関係のないことでも構いません。

また、睡眠不足、空腹、喉の渇き、過労のような、身体的なコンディションについて考えるのも重要です。前回過剰反応してしまった時、自分や自分の身体はどんな状態だったかを思い出してみましょう。しばらく何も食べていなかったとか、1日中水を飲んでいなかったとか、死ぬほど忙しい週の週末だったとか、何か思い当たることはありませんか? そのような状況では、いつもは穏やかな人でも癇癪持ちの子どもみたいになることがあります。私の場合はお腹が空いていることが多いです。自分の引き金となるものがわかれば、今後は過剰反応する前に鎮めることができます。

行動を起こす前に深呼吸をする

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感情にまかせた言動をしてしまいそうで危ないと思ったら、そうなる前に一度立ち止まるのがベストです。1人の時もとりあえず深呼吸をするように「World of Psychology」でJulie Hanksさんはすすめています。

自分をコントロールできなくなるかもしれないと感じたら、深呼吸をしましょう。深呼吸して交感神経を鎮め、神経が落ち着くようにし、より思慮深く生産的な対応を選びます。今度渋滞で割り込まれたら、とりあえず深呼吸をしてみましょう。私のFacebookのタイムラインを見ていると、運転中に一番過剰反応をしがちな状況が渋滞の割り込みです。ジェスチャーで怒りをあらわにしたり、放送禁止用語を叫んだりする前に、すべてのドライバーが深呼吸をしたらどうなるかを想像してみましょう。

簡単なことだと思うかもしれませんが、深呼吸は心を鎮め、何が起こったのか冷静に考える時間をくれます。それまではいきなり結論を出していたのだと思いますが、深呼吸によって一部始終を考える時間ができます。また、深呼吸をすることで、コントローラーを投げ出したら壊れてしまうということに気づきます。自分が沸騰したお湯だと思ってください。そんなにすぐには冷たくなりません。しかし、深呼吸をすれば、頭にくることから少し離れる時間ができます。

自分の管制塔の声を聞く

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深呼吸をしたら、自分の心の管制塔をチェックしましょう。自分がパイロットだと想像してみましょう。管制塔の指示がハッキリするまでは何もできません。心理学者のArlene K. Ungerさんは、次の「FAAシステム」で物事を明晰に判断するよう勧めています。

  • Freeze(冷静になる

    自分に変化(緊張感、体温、心拍数)がないかを確認し、深く呼吸をして落ち着くように心がけます。

  • Analyze(分析する

    起こったことを理論的に考えましょう。自分の身に起こったことを主観的にとらえないようにし、思いやりのある対応を探します。

  • Act(行動する

    「私が」と自分を主語にして語ったり、主観的に状況を判断しないようにします。それでもまだ怒りが収まらない場合は、気分を変える方法を探します。

このFAAシステムを使うと、頭にくる状況を系統的に受け止められるようになります。怒りの感情はまだ残っているかもしれませんが、爆発しそうな状態から離れ、もう少し建設的な状態になれます。過剰反応を回避するために、ほんの少しの時間が驚くほど有効だということがわかるでしょう。

過去と未来からの視点で見てみる

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最悪の瞬間から抜けだした後は、何が起こったのかいろいろな視点から見ることに少し時間をかけます。人によっては難しいかもしれませんが、振り返るのは大事なことです。過剰反応した自分を責めるのではなく、そこから学ぶために振り返ります。まず「なぜそんなことをしたのか?」という大事な質問を自分に問いかけます。

違う対応もできたのでは? そんなに大事なことだった? 自分の行動を振り返るのが辛い場合は、起こった出来事から自分を切り離し、少し引いて見てみましょう。他の人からはどんな風に見えるだろう? 他の人はどうやってコントロールしてるのだろう? 自分の視点を変えるのはかなり難しいことですが、長い目で見るととても役に立ちます。

自分の起こした行動を振り返るだけでなく、今度どういうことができるかという視点でも見てみましょう。自分に期待されていることを、現実的に確認します。白黒ハッキリつける必要はありません。すべてを良いこと、悪いことと決めつけないようにしましょう。人も状況もグレーなものです。

「Live Love Work」でChrysta Bairreさんは、過剰反応は他人の期待に過剰に応えようとして起こることが多いと説明しています。他人が本当に望んでいること、他人はあなたの言動に対してどう思うかを考えてみましょう。また、過剰反応は本質的には利己的なものです。自分は物事を決める権利があると思い込むのはやめましょう。自分に対する期待をコントロールすることに時間をかければ、物事に対して過剰反応しないようになります。

感情を抑えつけない

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手付かずの状態だからこそ過剰反応してしまうこともあります。長い間悩まされていたことがある場合は、ほんの些細なことで怒りや感情が爆発します。できるだけ過去のことを洗い出し、残っている感情的な問題を解決しましょう。精神科医のJudith Siegelさんが「フラッディング法」と呼んでいるものです。

簡単に解決できないような瞬間に対処するだけでなく、昔のネガティブな感情の記憶が押し寄せるような状況もすべて見つけることになるかもしれません。

過剰反応をした時、もしくは過剰反応した後すぐに、問題に対処します。すぐに対処すれば、手放して前に進むことができます。感情を発散できる友だちや大事な人を見つけましょう。できるだけその人たちを問題に巻き込まないようにし、相手を信用して、相手が喜んで聞いてくれる時に感情をぶちまけます。

人に感情を吐き出すことができない場合は、紙に書き出してもいいです。日記を付けたり、手紙を書いたり、なんでもいいので表に出さない状態で書きましょう。感情の爆弾が消えたら、かなり満たされた気持ちになります。

人生は楽なものではありません。自分の身は自分で守りましょう。自分の思い通りにならない時も、冷静さを失わない方法はいくらでもあります。自分の感情を表に出し、物事に適切に反応しつつ、心の時限爆弾が爆発しないように気をつけましょう。

Patrick Allan(原文/訳:的野裕子)

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