Inc.:成功は素晴らしいものですが、うれしくない副産物もあります。より成功すれば、より忙しくなってしまうことです。あなたはあっという間に「より多く」に飲み込まれてしまうでしょう。より多くの会議、より多くのプロジェクト、より多くの意志決定、より多くのToDoリスト...。
最後には、何かが犠牲になります。大抵の場合、それはあなた自身です。そうなる前に対策を立てる必要があります。
今回は、あなたが持っている最も貴重なもの(すなわち「時間」)を取り戻す、誰でもできる10のやり方を紹介します。
1. 黙認をやめる
この考えに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、あなたの振る舞いが、周囲の人にあなたをどう扱うえばいいかを教えるのです。
例えば、あなたが会議や電話をしている最中に、部下が割り込んでくるのを許せば、彼らはいつでも遠慮なく割り込んでくるでしょう。また、特定の人からの電話には、何をしていても必ず出るようなら、その人はいつでもすぐに対応してもらえるのだと期待するでしょう。同じように、すべてのメールをすぐに、あるいは2、3分以内に返信していれば、あなたにメールを送ればすぐに返事がもらえるのだと誰もが思うはずです。
私の友人のひとりは、「緊急用」メールアカウントを持っており、そのアカウント宛に来たメールには、ただちに返信しています。彼の部下たちは、彼が「通常」のメールは、一日に数回しかチェックしないことを知っており、それに合わせてうまく対応してくれるそうです。(また、この方法は、緊急のメールが来たらすぐにわかるというメリットもあります)
自分にとってどうするのが一番いいのかを考え、周囲の人に対して、自分をどう扱って欲しいかを明確に示してください。時には割り込まれることがあるかもしれませんが、思った以上には周囲の対応をコントロールできます。
2. 報告書をやめる
どのみち、あなたは報告書を読んでいません。
あなたが読んでいないのなら、あなたの部下も間違いなく読んでいないでしょう。
3. サイン(ハンコ)をやめる
私がある製造工場に着任したときのこと。その工場では、作業員たちが作業を始める前に、監督者が作業の品質チェックを行うことになっていました。これはおかしなことだと思いました。経営層は、作業員が基準通りに作業をしてくれると信じています。それなのになぜ、彼らが作業を始める前に、彼らの作業基準への理解度を確かめねばならないのでしょうか。
私は、ただちにこの手続きを廃止しました。(そうすることで、監督者の時間が節約できただけでなく、品質チェックが済むまで生産ラインを止めておく必要もなくなりました)
おそらく、遠い過去に何らかの間違いが起き、同じ過ちが起きないようにこの手続きが追加されたのでしょう。しかし、こうした手続きは、作業員の仕事に対する責任感をそぐことにもつながります。
訓練し、説明し、信頼してください。そして、不要な手続きはすべて撤廃することです。(ヒント:ほとんどすべての手続きが当てはまるでしょう)
4. 顧客を切る
こんな顧客がいるはずです。世話がかかるのに儲からない顧客。膨大な時間を食い潰すくせに、ほとんど利益を生まない顧客。そうした顧客には、もっと高い料金を課すか、提供サービスを減らしましょう。どちらも不可能な場合は、できるだけ早くその顧客を切ってしまいましょう。
5. ウィッシュリストを現実的なToDoリストに変える
20も30も項目があるToDoリストは、やる気を挫くだけでなく、気分を落ち込ませます。達成できないとわかっているのに、始める気になりますか?
その代わりにこうします。まずウィッシュリストを作ってください。頭のなかにあるアイデア、プロジェクト、タスクをすべて書き出します。「やりたいこと」リストを作るのです。
次に、その中から最重要なものを3〜4個選び出します。最も大きなリターンが得られるもの、最も大きな苦痛を取り除けるものを選んでください。
それがあなたのToDoリストです。確実に実行してください。
6. 出費をカットする
あなたは、決して使わず、必要でもなく、欲しくもないものにお金を費やしています。そして、それを買ってしまったがゆえに、使わねばならないと感じています。私はかつて、膨大な数の雑誌を定期購読していました(定期購読は書店で買うよりずっと安い)。それはいいでしょう。しかし、雑誌は次々と届きます。読まねばというプレッシャーが高まります。読めななかった雑誌が積み上がり、私に罪悪感を抱かせます。
私はあるとき、3〜4つの雑誌の定期購読をやめてみました。結果、とくに問題は生じませんでした。
出費をカットすることで節約できるのはお金だけではありません。出費にともなって浪費していた時間こそが、最大の節約ポイントなのです。
それをカットすれば時間や労力を節約できそうな出費をひとつ選んでください。そうすれば、お金だけでなく、時間の面でも恩恵を受けられます。
7. 個人的なコミットメントをやめる
私たちは、多くのことを義務感から行っています。友人に頼まれて参加したボランティアに、あなたは実際には意義を感じていないのかもしれません。古い友人たちと週末にランチ会をしていますが、もうかなり前から義務のようになっています。または、何かの役員をしていても、自分が役に立っているとは思えず、充実感もありません。
惰性でやっていることをひとつ選んでください。あるいは、義務感でやっているもの、やめ方がわからないという理由だけで続けているものを見つけます。そして、それをやめます。一時的な痛みや対立があるかもしれません。しかし、すぐに大きな安堵感がそれにとって変わるでしょう。
これからは、貴重な時間を、あなたが本当に意味があると思えることに使えるのですから。
8. 自分と関係ない意思決定をやめる
あなたはすでに、たくさんの意志決定を行っています。例えば、昼食に何を食べるかだってそうです。ツナとミニサラダがいいでしょう。ヘルシーでシンプルなものを選んでください。もしかすると、Buffer社のLeo Widrich氏みたいに、毎日何を着るかの意思決定を放棄している人もいるかもしれません。Widrich氏は毎日、ジーンズと白いTシャツしか着ないそうです。(また、週のうち6日は、夕食に同じものを食べるそうです)
意思決定に毎日エネルギーを費やしていることをひとつ選んで、長期的な意思決定をひとつ下します。以後はその決定に従ってください。そうすることで、脳のパワーを節約できるだけでなく、習慣作りにも役立ちます。習慣こそが成功への道なのです。
思考能力は、本当に重要なことを考えるためにとっておきましょう。
9. 意志力の浪費をやめる
意志力は有限です。誘惑に抗っているとストレスが溜まり、消耗します。そして結局は誘惑に負けてしまいます。
意志力を試す必要がなければ、エネルギーを浪費することもありません。例えば、会社の受付に顧客用のキャンディを置いたとします。あなたは受付の前を通るたび、キャンディを取りたい誘惑にかられますが、なんとか自制します。しかし、誘惑に抗い続けたあなたはいつしか疲弊し、最後にはキャンディの魅力に敗北します。
もっと良いやり方があります。受付からキャンディを撤去するのです。もう意志力を使うこともありません。
日々、誘惑に抗っていることをひとつ選び(食べ物、時間の浪費、ウェブブラウジング、ソーシャルメディアのチェックなど)、誘惑そのものを取り除いてください。
自制はあなたを疲弊させます。自制の必要性を取り除き、活力を取り戻してください。10. 最後の決定をする。すなわち、決定者を決定する(ヒント:それはあなたではない)
次々と意思決定する代わりに、ひとつだけ決定します。今後、あなたの代わりに意思決定を任せる人を決めるのです。
例えば、(製品の出荷などが)約束した期限に遅れてしまったとき、顧客に対してどう対応すればいいのか、それぞれのケースにおいて個別の判断が必要となります。あなたが全部決める代わりに、社内の誰かを教育して、意思決定を任せましょう。
適切な人を選び、ガイドラインと助言を与えたら、あとは思い切って任せます(定期的にフォローアップはする)
そうしておけば、あなたは、個々の期限遅れへの対応ではなく、期限遅れをどうすればなくせるを考えることに時間を使えます。
あなたが現在行っている意思決定の多くは、信頼できる部下に任せられるものです。
もちろんあなたも、他人を信頼することを学ぶ必要があります。でも大丈夫、それは難しいことではありません。教育、訓練、ガイドラインを与え、定期的にフォローアップします。人を育てることにフォーカスし、部下に適切な権限と責任を与えてください。
そうすれば、あなたはもっと重要なことに時間を使えます。つまり未来を考えることに。
Overwhelmed? 10 Foolproof Ways to Permanently Free Up More Time|Inc.
Jeff Haden(訳:伊藤貴之)
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