携帯キャリア各社が「かけ放題」サービスを始めたり、電話もできる「音声通話SIM」を利用したMVNOサービスが増えたりと、ユーザーはスマホの利用料について今まで以上に比較検討できるようになりました。

たとえば、各キャリアの音声定額プランは2700円ですが、音声通話機能付きSIMならデータ通信も利用できて月額1600円(IIJmio「みおふぉん」の場合)まで削減できますし、通話アプリを利用すれば、30秒当たりの通話料を半額にすることも可能です。

せっかく通話料を安くできる手段が増えたのですから、これを利用しない手はありません。まずは、通話料を安く抑える方法を2つ紹介します。

方法その1:『楽天でんわ』なら通話料を安くできる

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私は無料通話アプリをいくつかインストールしていますが、東京在住の私にとって、地方に電話を掛けるとき、IP電話などを利用するとなかなかつながらないことがあります。そこで私が利用しているのは『楽天でんわ』。この通話アプリは通常の電話回線を利用しているので、IP電話ほど途切れたりつながらなかったりすることはほとんどありません(若干のタイムラグが生じることもあります)。

しかも楽天でんわを使えば通話料を安く抑えることが可能です。楽天でんわの基本使用料は0円。国内では30秒あたり10円で通話できます。国際電話も30秒10円(非課税)で利用できる優れものです。

もし「本当に音質がいいのか?」とか「ほかのアプリと比べて使いやすいのか?」と思っているなら、楽天でんわの「3分0円」プランを試してみると良いでしょう。これは3分以内の通話が何度でも0円になるという期間限定のプラン。新規登録ユーザーのみのプランですが、先着5万人限定で利用できます(3分を超える分については、30秒あたり20円の通話料が掛かります)。

利用できる期間は2014年10月7日(火)10:00~2015年1月10日(土)23:59まで。期間限定である理由は記事の後半で書きますが、2014年12月26日までには、このプランが継続するか、提供終了するかが決まるそうです。

方法その2:「音声通話SIM」なら固定費を安く抑えられる

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現在契約しているキャリアの旧プランで楽天でんわを使っても、通話料は通常の半額までお得になります。ただ、通信料の固定費部分を一気に安くするなら、「音声通話SIM」を使うという手もあります。固有の電話番号を持つことができ、契約しているキャリアからの乗り換え(MNP)も可能です。たとえばIIJmioの音声通話機能付きSIM「みおふぉん」ミニマムスタートプランであれば、音声通話とLTEでのデータ通信が月額1600円で利用できます(LTEはひと月あたり2GBまで)。

ネットサーフィンなどのデータ通信をあまり利用しない人にとっては、このような格安SIMに乗り換えるとお得。特にNTTドコモのiPhoneをはじめとしたSIMフリー端末であれば乗り換えも簡単です。

2つの方法を併せれば、スマホを毎月1600円で運用できる?

ここまで、通話料を安く抑える方法を2つ紹介しました。楽天でんわはアプリのダウンロードと公式サイトから利用申し込みが必要ですが、導入にはそれほど手間が掛かりません。とりあえず「3分0円プラン」で試してみたうえで、そのまま継続して利用するかどうか検討してみると良いかもしれません。

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ところで、3分0円プランはなぜ「3分」なのでしょうか。楽天でんわのサイトを見ると、「携帯発信の84%が3分以内で会話が終わっている(TCAテレコムデータブック2013より)」という調査結果を踏まえ、3分0円プランを始めたと書かれています。あまり意識したことがないのですが、ほとんどの会話は3分以内に終わっているようです。

私はどちらかといえば電話よりもLINEやFacebookメッセンジャーなどで済ませてしまうことが多いので、それほど長時間電話することはありません。電話をする時といえば、「待ち合わせ時の所在確認」や「飲食店の予約」、「出前を取る時」くらいでしょうか。楽天でんわの3分0円プランを利用する場合、3分以上の会話は通常のキャリア通話料と同じく30秒ごとに20円掛かってしまうので、これらのやりとりを3分以内で収める必要がありそうです。

さて、ここからは格安活用術のための検証です

方法その1で紹介した「楽天でんわの3分0円プラン」で、かけた電話がすべて3分以内に終われば通話料はかかりません。そこへ方法その2の「みおふぉん」を併用すれば、電話とデータ通信を利用しながらもスマホを月額1600円で運用できる可能性が見えてきます。

というわけで、ライターである筆者が実際に3分0円プランを利用するシーンを想定して、それぞれのシーンごとにどのくらいの時間が掛かるのかを検証してみることにしました。

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シーン1:待ち合わせ時の所在確認電話

ある取材の打ち合わせのために三越前駅で会う約束をしていたのですが、先方が定刻になっても現れなかったので、さっそく楽天でんわを利用しつつ、通話時間をストップウォッチで計測してみることにしました。「銀座線A8番出口」で待ち合わせをしていたのですが、どうやら先方は半蔵門線で降りたらしく、迷子になっているようでした。いったんB4番出口で地上に出てもらい、三井タワーのある道路を北上してもらうようにお願いしました。

建物や道の名前を言葉で説明するのは大変で、結局通話時間は12分26秒。3分を大幅にオーバーしてしまいました。このように、所在確認電話では相手側が迷子になっている場合が多いので、3分以内に収めるのは難しそうです。

シーン2:飲食店の予約

今週金曜日にデートの予約をするため、恵比寿のお店を予約しました。まずは「食べログ」などの口コミサイトでお店を探し、電話番号を控えておきます。日時と人数を言うと「今確認いたします」ということで保留になりました。しばらくすると、予約したい時間帯が空いていることがわかったので、自分の氏名と電話番号を伝え、コースを決めました。あとはどのウェブサイトを見て予約したのかを聞かれたので、「食べログ見ました」と言って終了。この一連の通話時間は1分52秒。3分以内に抑えることができました。

シーン3:実家への近況報告

実家に電話してみました。かける前に報告する内容をある程度メモしておいたのですが、親からは「親戚の話」やら「仕事の進捗」やら他方面な内容を聞かれ、予想以上に話が膨らんでしまいました。通話時間は4分20秒。3分以内に収めることはできませんでした。

シーン4:ビジネスシーンの確認電話

仕事での通話時間も計測してみました。メールに書いてある内容を補足する電話の場合、それぞれの箇所について細かく説明するため、3分を軽くオーバーしてしまいます。しかも「良いアイデアありませんか?」と意見を求められる場合もあり、10分以上通話してしまうことも。ビジネスシーンでは3分以内に収めるのは難しいかもしれません。

もちろん、「急病で会社を休む」とか「提出書類のリマインド」などの要件であれば、3分以内に収められるでしょう。ケースバイケースで使い分けるのがよさそうです。

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シーン5:出前を取る

出前を実際に注文してみました。ストップウォッチを片手に、「SALVATORE CUOMO & bar 武蔵小山」のピザを注文してみました。

このお店へは初めての注文だったので、「電話番号」「住所」「氏名」などを電話で伝えました。結果、2分19秒。無事3分以内に注文できました。

シーン6:本の買取依頼

自宅に本がたまっていたので、最寄りのブックオフに電話をかけて出張買取をお願いしてみました。電話に出た店員に住所を伝えると、「少々お待ちください」と言われ、しばしの間、待たされることに。別の店員に代わり「台風の影響(筆者注:この週は台風が接近していました)と予約状況などから、来週の水曜日以降のご予約となります」ということで、来週の水曜日に買い取りに来てもらうように予約しました。通話時間は2分48秒。3分以内に収まりましたが、ちょっとギリギリでした。

まとめると、3分以内に収められそうな日常の通話シーンは以下の通り。

・飲食店の予約

・「急病で会社を休む」「提出書類のリマインド」といった程度のビジネス電話

・出前を取る

・本の買取依頼

このほか、以前に楽天でんわを紹介した記事でも取り上げた「宅配便の不在連絡」や「喫茶店・書店などが本日空いているかの確認」など、ちょっとした手配や確認などの電話が3分以内の通話に適していると言えます。なかなか1600円のみでスマホを運用するのは難しいようですが、工夫次第でかなり近づけることはできそうです。

もっとも、楽天でんわの3分0円プランの場合、3分をオーバーしても通話料は30秒ごとに20円。これは大手キャリアの通話料と同額です。3分までは無料ですから、3分0円プランの楽天でんわを使いさえすれば、長電話をしても「大手キャリアの通話料より3分だけお得になる」わけです。

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※楽天でんわの「3分0円プラン」と「30秒10円プラン」を時間と料金の関係で表したイメージ図。
6分が1つの分岐点になる。

ちなみに現時点で、既存の楽天でんわユーザーの通話料は30秒あたり10円なので、6分を超える通話の場合、既存ユーザーのほうが通話料を安くできる計算になります。とはいえ、6分以内の通話であれば3分0円プランの方がお得であることに変わりません。今回の検証を元に、実際にかかったであろう通話料を比べてみると以下のようになります。

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(クリック/タップで、別ウィンドウに大きな画像を表示できます)

3分に収まる通話が0円になると、合計の通話料に与える効果も大きいことがわかります。「携帯発信の84%が3分以内で会話が終わっている」ことから考えても、よほどの長電話をしない限りは、30秒10円プランよりも月々の通話料はお得になるケースが多そうです。通話料がどれくらいになるか、実際に3分0円プランを申し込んで試してみてはいかがでしょうか。

ところで、なぜ3分0円プランは新規ユーザー限定なの?

さて、普段から楽天でんわを利用している筆者。今回の3分0円プランは既存の楽天でんわユーザーは対象外となっています。「ちょっとこれは既存ユーザーとしては残念...」と感じた私は、真意を確かめるため、楽天でんわを運営する「フュージョンコミュニケーションズ株式会社」に、なぜ新規ユーザーのみ対象なのかといった疑問を聞いてみることにしました。

―― 3分0円プランをはじめようとしたきっかけは何でしょうか?

「大手携帯キャリア各社が、横並びで基本料の高い音声通話定額プランを開始しました。しかし、リサーチの結果、携帯電話ユーザーの61%がこのプランを不要と考えていらっしゃることもわかりました。新たな選択肢として、あまり電話をしない方にもお得に使っていただける料金プランを提供する必要があると考えました」

―― 従来からの楽天でんわユーザーが利用できないのはなぜですか?

「これまで楽天でんわを支えてくださった既存のお客さまのご期待に応えられず、大変申し訳ございません。決して既存のお客様を蔑ろにしているわけではありません。人数や期間を区切り、新規のお客様だけに限定している理由は、テストマーケティングの要素が強いからです。正直にお話しすると、今回の『3分0円プラン』はこれまでのプランと比べるとどうしても収益性が低くなってしまいます。極端に3分未満の通話が増えると赤字になる可能性もあるのです。赤字のままでは継続的なサービス提供ができなくなってしまうので、この『3分0円プラン』でも一定の収益を確保できるかを提供する3カ月間で見極める予定です」

―― 今後の展開はどのようにお考えでしょうか。既存ユーザーも使えるようになるのでしょうか。

「3カ月間で収益性の見極めができれば、『3分0円プラン』を正式プランとしてリリースしたいと考えています。正式プランとしてリリースできれば、既存のお客さまにもそのタイミングでプラン変更できる予定ですので、今しばらくお待ちいただければ幸いです」

「今回はテストマーケティングの要素が強い」ということで、その成果によっては3分0円プランが期間限定ではなく「通常版」として正式リリースされる可能性があるようです。既存ユーザーのひとりである筆者としても、ぜひ従来からの利用者にもこのプランを導入してほしいところです。

まとめ:通話料は今よりもずっと減らせる(はず)

今回は通話料をできるだけ安く抑える方法と、楽天でんわの3分0円プランについて説明しました。あまり長時間通話をしない人にとっては、キャリアの回線を使うよりは、「音声通話SIM」と楽天でんわを組み合わせたほうが、賢く通話料を抑えることができます。また、キャリアの音声定額プランをいま使っていない人にとっても、音質はそのままに通話料を減らせる楽天でんわは良いツールの1つとなるでしょう。

今までキャリア回線しか選択肢のなかった方、ぜひこれを機会にスマホの通話料を見直してみてはいかがでしょうか?

楽天でんわ: 3分0円プラン登場!

(安齋慎平)

※今回の記事中にある金額表示はすべて税抜のものです Photo by Thinkstock/Getty Images.