「忙しいという言い訳を覚えた」なんて広告コピーを先日、電車で見ました。そう、毎日誰だって忙しい。でも、新しいことを覚えたり、興味を広げたりするのが「今日よりも明日をもっと良くするコツ」なのも、誰だって実感できることのはずです。
そこで紹介するのが、忙しい中でも生まれるスキマ時間の活用にフォーカスした、スマートフォンやタブレットで使える暗記帳アプリ『zuknow』(iOS/Android)。ザックリ言うと、記事冒頭の画像にあるようなリング式の暗記カードを、デジタル化して使えるアプリです。公式が用意している『TOEIC(R)presents English Upgrader フレーズ集』『使える英語フレーズ1 「プラダを着た悪魔」』といった英語学習コンテンツだけでなく、手軽にオリジナルの暗記帳をつくることもでき、それを友達など他のzuknowユーザーともシェアできます。1つの暗記帳にはカードを500枚まで入れられます。
開発元である株式会社ビズリーチの丹野瑞紀さんは「zuknowは毎日1%の成長を積み上げるのに適したアプリなんです」と話してくれました。いくつかの機能から、その「毎日の積み上げ」に効きそうな2つの機能にしぼって見ていきます。
zuknowが得意なこと、苦手なこと
zuknowの暗記帳は、1枚ずつのカードを束ねたスタイル。カードの表面をタップすると反転して裏面が表示されます。たとえば、英単語であれば、表に英文、裏に日本語訳といった表示ができます。裏面には解説などを入れることも可能。Siriによる音声読み上げにも対応しているため、英単語のリスニング勉強も使えます。カードの自動再生モードを使えば、「英単語を聞きながら通勤する」といった"耳から学習"もできそうです。
特にzuknowが向いているのは、「ことばの知識」や「意味」のインプット。英語などの語学学習、日本史やマーケティング用語集など暗記が必要な科目には最適です。逆に「英文法」など長文を用いる文章読解や、「英会話」のようなコミュニケーションが発生するものは苦手といえます。英語学習ならば、「オンライン英会話のレッスンを受け、わからなかった単語をzuknowに登録して復習する」といったように、コミュニケーション系の学習と併用して使うのがオススメの使い方だとか。丹野さんは「zuknowの最大の特長は、暗記カードの内容を元にクイズが自動生成されることです。しっかり暗記できたかをチェックできますよ」といいます。クイズは4択問題と入力式の2パターンがあり、3回正解しないとその暗記帳をクリアしたことになりません。3回のうち、2回が4択問題、1回が入力式と決まっています。入力式があるだけで、一気に手強くなりますね。
また、暗記カードには画像を使うこともできます。子ども向けの知育カードのようにもできますし、「焼肉でよく聞く部位」なんていう趣味の問題まで、幅広くアレンジできそうです。このアレンジの幅広さは、ユーザーによるさまざまな使い方を呼ぶだけでなく、「毎日の積み上げ」に効きそうな大きなポイントにもなっているようです。
毎日続く機能その1:豊富なコンテンツ
現状、zuknowにはユーザーがつくったものを含めると18000以上の暗記帳がアップされています。特にユーザー投稿の暗記帳が増えており、「月間1000コンテンツほどのペースで増えている」とのこと。
「zuknowでつくる暗記帳では、なかなか市販されていないニッチな分野のものにもピッタリなんですね。『この栄養素の特長は?』といった栄養学、化学なら『炎色反応の対応表』とか。それから以前にユーザーの事例でご紹介したのですが、2020年の東京オリンピックを見越して注目され始めている資格である通訳案内士の勉強にもマッチしているそうです。いわゆる観光ガイド的なお仕事なのですが、仏像や建築物の写真をカードの表面にして、裏面に英文を書いて覚えるわけです。それから、現状でzuknowのユーザーは約3割が高校生や受験生ということもあって、中間・期末テスト対策にも活用されています。学校ごとに範囲が違うので、暗記帳をそれぞれで作らざるをえないですから」と、丹野さんはzuknowのライブラリにアップされた暗記帳を見せながら面白そうに話します。
zuknowのウェブサイトからCSVファイルの一括アップロードができたり、スマートフォンでコピーした言葉をすぐに登録できるアシスト機能(現状は英語のみ対応)があったりと、暗記帳をいかに作成しやすくするかは、運営側でも汗をかいているポイントなのだとか。
毎日続く機能その2:習慣化につながるシェア&プッシュ
暗記帳はシェアすることもでき、任意のユーザーでグループを作って使うこともできます。シェアした人とは学習の進捗をランキング形式で競争。丹野さんによると「これが結構燃える」のだそう。「私はTOEICの暗記帳で、『まりママ』さんに負けているんですが、『まりママ』さんということはきっとお子さんのいる女性で、忙しいだろうに頑張っているな、でも負けていて悔しいからなんとか抜かしてやろう、と(笑)。友達に抜かされるとプッシュ通知が来るようにもできるので、対抗意識が芽生えて、クイズに答えようという気になる。自分の気持ちを勉強に向かわせる工夫ですね」。
プッシュ通知は、一定時間になるとクイズを出してくれるようにもできます。iOS 8の新機能「Today Extension」にも対応。気づいた時に取り掛かれるのも、勉強に向かうためのきっかけ作りになるでしょう。このように、いかに接点をつくって学習を習慣化するかに、zuknowは気を払っているとのこと。
将来的にはユーザーによる有料コンテンツの販売も視野に
現状は一部の公式有料コンテンツをのぞき、zuknowは基本無料で使えます。ですが、将来的には『LINE』のクリエイターズスタンプのように、ユーザーが有料で暗記帳を販売できるようなシステムを整備していくことも検討中。コンテンツの盗用チェックなど乗り越えるべきハードルはありそうですが、丹野さんはやる気をのぞかせます。
「素人だけどプロのように教えてくれる、アルファブロガーならぬ『アルファティーチャー』がzuknowから表れて、有名になる人が生まれてくるといいなと思っています。TwitterやFacebookと同じくセルフブランディングツールにもなります。また、多くの学習塾は、進学対策コンテンツをそれぞれで作って積み重ねているのに、塾の中だけで眠っていることが多いんです」
ひとつの事例として、埼玉県さいたま市中央区にある中高生向けのS.T進学教室は、受験対策用のコンテンツを電子化して、zuknowで生徒が学べるように整備しているそう。その取り組みを『学習効果が高い』とPRして、塾の集客に役立てています。最近の若年層は「スマホネイティブ世代」といっても過言ではないでしょうから、手段としてアリだなと感じます。
「片手が空いているとき」はいつでも学習のチャンスになる
もともと、丹野さんのいる株式会社ビズリーチは、管理職や専門職などのハイクラス人材向けの転職サイトを運営している企業。そのビズリーチがなぜ教育アプリを作るのか。素朴な疑問をぶつけてみたところ、丹野さんの返答は納得のいくものでした。
「私たちは転職と学習を別のものとは見ていません。キャリアは努力を積み重ねた延長にあるものです。たとえば、年収を上げていこうと思ったら、より高いレベル、よりグローバルな環境に身をおくために英語力が必要になってくるように、キャリアアップに学習は必須ともいえます。学校を卒業した後も勉強は欠かせない。むしろ、卒業してから勉強が生きてくるシーンが多いのです。zuknowはその必要性に気づいた人が、勉強をはじめるためのツールになればいいなと考えています」
通勤や通学だけでなく、ちょっとした待ち時間や、休憩中など、スマホを使うシーンすべてが学習時間に充てられる。そう考えると、毎日1%の成長を積み上げるのも難しいことではないようにも感じます。良いスキマ時間の活用法といえるのではないでしょうか。
友だちと競える暗記帳アプリ | zuknow(ズノウ)(iOS/Android)
(長谷川賢人)