Inc.:子供のころは、時間が過ぎるのが遅すぎて待ちきれないほどでした。早く大きくなりたいとか、早く夏休みが来ないかなと願ったものです。しかし、大人になると時間はあっという間に過ぎ去り、何をするにも時間がかかるようになります。輝かしき子ども時代は過ぎ去ったのです。
時計を見れば時間は一定のスピードで流れています。しかし、体感時間は伸び縮みします。心理学もその見解を支持しています。新しいことを学び、体験しているとき、時間はゆっくりと感じられます。子ども時代に時間がゆっくりと過ぎたのはそのためです。生活が決まりきった日課と多忙さで埋めつくされているとしたら、1日を長く感じられるわけもありません。
誰に「驚きと発見」の時間がある?
子ども時代のように新しいことを学び体験し続けられれば言うことはありません。しかし、それは簡単ではありません。例えば水曜日の午後3時、あなたは子どもを学校に迎えに行く前に報告書を仕上げなければならず、夕食の準備もしなけばなりません。その合間に「驚きと発見」の時間を見つけろだなんて、無理な相談です。
しかし、朗報です。科学が時間を増やす別の方法を発見しました。この方法なら、わずかな時間を割くだけでOKです。誰でも生活に取り入れられます。何も大きなプロジェクトに取り組む必要などありません。ずっと念願だったチェロの練習や、夢だった写真家になるための時間を捻出する必要もありません。
カウチポテトよりも善行を
他人のために何かをしてください。そうすれば、1日を長く感じられます。会社で長時間働き、家族の世話をした後ぐらい、ソファで好きなテレビを見たっていいじゃないか! そう思うのはもっともです。しかし、ペンシルベニア大学ウォートンスクールのキャシー・モギルナー氏によると、余暇時間を他人のために使えば、自分の時間も増えるのだとか。
自分の娯楽に時間を使うより、他人のために何かをすることで、時間感覚を引き伸ばせるのです。テレビをみたり、マッサージを受ければ、楽しい気持ちになったりリラックスできます。しかし、こうした娯楽は『自己効力感』を増やしてはくれません。余暇時間が増えたはずの現代人が、時間を豊かに感じられない理由は、余暇時間を自分のために使っているからでしょう」とモギルナー氏は話しています。モギルナー氏と同僚たちは、あるグループに、10~30分を使って『自分自身のために、何か今日予定していなかったことをしてください』と依頼しました。別のグループには、同じく10~30分を使って、『他の誰かのために、今日予定していなかったことをしてください』と伝えました。2つのグループにどんな違いが生じたでしょうか? 他人のために時間を使ったグループは、時間感覚が引き伸ばされていました。
The Surprising, Scientifically Proven Secret to Adding More Hours to the Day|Inc.
Jessica Stillman(訳:伊藤貴之)