今回は、攻撃的過ぎる人よりも、むしろ受動的過ぎてアサーティブになれない人にとって、うまくコミュニケーションができるようになるコツをご紹介しましょう。
アサーティブの程よいさじ加減
人間は、相手がアサーティブかどうかに関係なく、かなり良くない判断をします。相手の方が自分よりもアサーティブさが足りず、自分のことはかなりアサーティブか、もしくは適切にアサーティブだと思いがちなのです。研究によって、相手の方が強く主張し過ぎると思い込みがちだということは判明しています。
自分のパートナーが、よく考えての行動にも関わらず、何らかの一線を越えたと確信している人は38%でした。パートナーの言語もしくは非言語の行動(目をキョロキョロと動かしたり、「嘘つけ!」と言ったりすること)が、相手の行動の受け取り方に大きな影響を及ぼしていることも判明しました。
人間は、自分が意図した結果をアサーティブのベースにしています。これは、自分のアサーティブさについて、そのような浅はかな判断をしているということなので、気をつけなければなりません。このせいで、適切なアサーティブのポイントが何なのかという判断が難しくなってます。アサーティブであることというのは、単に自分が言った言葉だけではなく、言語・非言語を含めた全体のコミュニケーションです。
他人の自分に対する接し方を変えたい場合は、どのように自分のコミュニケーションスタイルを変えるべきか知る必要があるでしょう。相手があなたに対してひどい扱いをするようなら、それはおそらくあなたが受動的過ぎるということです。もっと快適にアサーティブになるにはどうすればいいかを知るには、以下の質問を自問自答してみましょう。
- 怒りやいら立ちを適切に表現していますか?
- 相手と違うと考えたり感じたりした時は、自分の意見を自発的に言っていますか?
- やりたくないことがある時に「嫌だ/いいえ」と言えていますか?
受動的過ぎ、もしくは攻撃的過ぎだと、自分のことを認めにくいかもしれませんが、よりアサーティブになるために必要な最初の第一歩です。筆者は、アサーティブというより受動的になりがちでしたが、それが分かったお陰で自分を変える力になりました。
はっきりと話すこと
そんなつもりも必要もないのに、相手を責めたり非難してしまうことはよくあります。「あなたは/君は/お前は」というような言葉を使うと、相手を非難しがちになります。自己防衛的な働きとして、相手は避難されるべき対象だと信じることで、自分と距離を置いたり、道を閉ざしたりする傾向にあります。このようなことを避けるためには、「私は/僕は/自分は」を主語にして話しましょう。
自分を主語にして話す方法をあげてみましょう。
- 感情:自分がどんな風に感じているかを相手に伝える。
- 行動:個人や団体など相手の行動がいかに自分を傷つけているか、問題があるかを説明する。
- 要望:自分の必要なことを言う。
これであなたの感情に対して、たとえ反対意見だったとしても、自分の身を守るようなことをせずに、あげられた問題に対して積極的な方法で応えられるようになります。
具体的な例はこのようになります。
「私たちが一緒にこの仕事をしていたら、時間通りに終わらせるのはもっと簡単だったと思う」
「あなたが私に口答えした時、見下されているように感じた。私が話し終わるまで、言葉を返すのは待ってもらえるかな」
ほとんどの人はこんな風に話していないのではないでしょうか。ここで大事なのは、自分の感情や思っていることを、よりはっきりと伝えられる言い方を考えるということです。
練習あるのみ
気の弱い、受動的過ぎる人は、何でもかんでもすぐに謝らないように、常に気をつけなければなりません。筆者は、契約上責任義務のない電話には出ないように努めていますし、24時間いつでも答えられなかったことを申し訳なく思わないようにしています。自分を大事にして、自分の生活を向上させたいと思ったら、練習が必要です。
- ロールプレイ:
鏡の前に立ち、自分の思っていることを声に出して言ってみましょう。アサーティブな言葉や動作を使って、心地良く伝える練習をします。そのような言葉を使って伝えることが、自分にとって心地良くなってきたら、今度は友だちにアサーティブな言葉や動作で伝える練習をします。頭の中でアサーティブに考えるのは簡単ですが、アサーティブに誰かに伝えるには、少し時間と練習が必要です。
- 小さなことから始める:
筆者の場合は、ディナーに何を食べたいか伝えるところからアサーティブの練習を始めてみました。馬鹿げて聞こえるかもしれませんが、アサーティブに伝える練習ができる、リスクの少ないシチュエーションです。他に実生活でアサーティブになる練習をする場合は、会社で同僚をほめたり、友だちに自分の経験を話したりする時に意識してみましょう。うまくできるようになるには、場数をこなす必要がありますから、とにかく練習をしましょう。
これで何もかもが完璧にうまくいくという訳ではありません。コミュニケーションでより"私"をうまく伝えられるようになるというだけです。
アサーティブですべての問題を解決することはできませんし、どんな状況にも適応できる訳ではありません。しかし、必要な時に自信が持てるようになり、コミュニケーションもよりうまくなります。ありのままの自分を率直に伝え、自分の権利を主張できるようになれば、それが力になりさらにアサーティブになっていくでしょう。
Andrea Ayres(原文/抄訳:的野裕子)
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