米メディア『99U』がインタビューしてきた数々の起業家や研究者、クリエイターたちのストーリーの中から、10人のクリエイターの「儀式のようなルーティン」をご紹介しましょう。
1.3カ月毎に休暇を取る
ベンチャーキャピタリストの Brad Feld さんは、3カ月毎に1週間の休みを取ります。
私に一番大きな影響を与えているのは、3カ月毎に取る1週間の休暇です。休暇がはじまる土曜日、妻と私は空港に向かいます。パソコンは家に置き、スマートフォンは空港で妻に渡します。次の土曜に帰って来た時に、妻から返してもらいます。
私たちはいつも、ステイケーション(遠出をせずに自宅や近場で休暇を過ごすこと)ではなく、どこかくつろげる場所に旅行に行くようにしています。そこで私は、妻と一緒に100%リラックスした時間を過ごします。その旅行では、大体1日1冊本を読み、たくさんおしゃべりをし、たくさんの大人の娯楽を楽しみ、毎日遅くまで起きています。戻ってくると、リフレッシュしている自分に気づくのです。
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2.プロジェクトの後で"振り返り"をする
オバマ大統領の2012年大統領選でキャンペーンで CTO を務めた Harper Reed さんは、日々の"振り返り"の重要性についてこのように言っています。
大統領選を戦ったチームは本当に素晴らしくて、プロジェクトの最後にやる"振り返り"のミーティングを重視していました。その振り返りとは、立ち止まって「我々がやりたかったことは何なのか? 我々がした正しいことは何か? 我々がした間違ったことは何か?」を聞くものです。
発展を続けるスタートアップ起業などではよくやっていることで、間違ったことと正しいことがすぐに分かるので、振り返りはかなり重要です。仕事についてすぐに話すことは、どのように仕事や会社が進んでいるのかということに気付くだけでも、かなり大事なことだと私は思います。(中略)
技術系のことに関しては特に、認識するのを忘れると手痛いことになります。感じたことについて話し、それに対処することが大事です。「私たちは今日プロジェクトを立ち上げた。それについてどう思う?」と問いかけましょう。自分のリアルな感情について、本音の会話をするだけでいいのです。
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3.毎日書く
アメリカのベストセラー作家 Cheryl Strayed さんは、毎日書くことを大事にしています。
私は人に、「書くこと」をよくすすめています。自分にとって、とてもいい自己発見ツールとして役立っているのです。
私は色々な方法で書きます。作家として書くのはもちろん、何かに取り組もうとする時や、難しい決断をする時も書きます。私は、書くのが本業ではない人も、危機的な状況にある時は書いた方がいいと思います。2年間何も書いていなくても、失恋した後は日記のようなものを書く人もいます。それは、書くという行為は、基本的に自分の考えや感じたものを確認する行為だからでしょう。書くことで自分が明確になっていきます。
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4."おもしろい人ファンド"を作る
著述家で起業家の Ben Casnocha さんは、自分の"おもしろい人ファンド"に投資すると決めています。
コネや人間関係を作るという長期的視点で見れば、長期的視点で見ないと、間違ったことをします。恋愛、友情、仕事、あらゆる人間関係は、進展させるのに時間がかかります。かなりの時間がかかります。短期間で人間関係を作ろうと焦ると、長く続く可能性があった人間関係を台無しにするおそれがあります。
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5.インスピレーションが得られる切り抜きブックを作っておく
デザイナーの Sarah Foelske さんは、行き詰まった時は自分の切り抜きを見るそうです。
どんな仕事にも行き詰まる時期というのはあります。私は、スランプを抜け出すのに一番大事なことは、パソコンから離れ、忙しさを忘れることだと分かりました。たった10分でもいいのです。心を落ち着かせると、アイデアが浮かびやすくなります。創造性というのは、今の自分に集中することでもあるので、運動や瞑想もかなり助けになります。
また私は、お気に入りの雑誌やイベントのフライヤー、美しいパッケージ、その他インスパイアされるものを切り抜いたものを、たくさん貯め込んでいます。この切り抜きブックは特に分類しておらず、ただ見た目が好きなもので埋め尽くされているだけなので、アイデアが浮かんで欲しい時にパラパラとめくります。
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6.毎日昼寝をする
ニュースキャスターの Pat Kiernan さんは、毎日必ず昼寝をするようにしています。
私は昼寝をとても大事にしており、大抵スケジュールにも入っています。昼寝をしない理由なんてありません。私は昼寝を死守しています。午前中元気に仕事をするには、しっかりを休息ができていなければならないので、招待されているものすべてに行きたいという誘惑に抗って、いくつかの用事はカットしなければなりません。
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7.人の記憶に残る自分をイメージする
Rapha の創始者である Simon Mottram さんは、自分の計画を実現するために、ウソのビジネス記事を書きます。
私は、自分の将来の会社に関する、『Financial Times』『ウォールストリートジャーナル』(に載ったらこうなるだろうという)ウソのビジネス記事をよく書きます。そうすると「自分がやろうとしていることはこれだ」ということが分かりやすくなります。
2005年の前半に、私は7〜8カ月間やってきた Rapha に関するウソの記事を書きました。私は、2010年12月には『フォーチュン』誌に載っているという記事を書きました(現在の世界は明らかに少し変わっていて、フォーチュン誌は以前とはまったく違うものになっていますが)。
── Rapha は自転車業界に革命を起こし、より多くの人がライフスタイルとしてロードレースを楽しむようになり、生活の一部になっています。Rapha の顧客2万5000人が、Rapha のサイクリングカフェに集い、共にサイクリングを楽しみ、Rapha コーヒーを飲み、いいコミュニティの場になっています。Rapha の製品や、Rapha が出版している雑誌もあります ──。
ここに書いているビジネスは、5年後の2010年12月時点で、かなり正確に達成できていました。
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8.バーでブレストする
デザイナーの James Victore さんは、考える系の仕事はバーで、実際に作業をする仕事はスタジオでしています。
私はスケッチはすべて紙にするので、スタジオではなく、バーやレストランに行ってします。私が本を書く時は、毎朝スタジオを離れ、公園に行って1〜1.5時間ほど座ります。アイデアを持って行き、大きなスケッチブックに手書きで書きます。それからスタジオに戻り、残りの仕事をします。その後、4時か5時になったら、バーに行き、座ってビールを1〜2杯のみ、アイデアや仕事を精査します。もしくは、新しいアイデアを書くこともあります。この毎日のプロセスは本当に良い習慣になりました。
私はスタジオにこもって考える仕事ができないのです。スタジオでは手を動かして色々なものを詰め込む作業をします。そのような作業が無い場合は、帰ります。どれだけの素晴らしい建築アイデアをナプキンに描いたでしょうか。ナプキンは無料で、仕事のことを考えさせないからこそ、描けたのだと思います。
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9.外の世界に出る
ラジオ DJ の Garrison Keillor さんは、何かが目に映る外に行くようにしています。
私は、じっと座って真っ白な紙を見ていてもしょうがないと思います。メモ帳を持って歩き回り、目に映る世界のことをただ書くだけでもいいです。この部屋に入って、たくさんのイスの列を見て、ここは昔貯蓄銀行だったのだなと思ったら、その2つを一緒に書き留めます。そこから何かが始まるでしょう。
私は、何事も目に映る世界と共に始まると思います。たとえ、目に映る世界のことが最終的に残っていなかったとしても、それでも私はここからすべてが始まると思います。立ち聞きできそうな会話はあちこちにあります。部屋の後ろにいればより立ち聞きしやすくなるでしょう。
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10.新しいアイデアを生む言葉の連想ゲーム「形態学的合成」をする
アーティストで映像作家の Ze Frank さんは、ブレインストーミングする時には一風変わったやり方をします。
形態学的合成とは、自分の思考プロセスをいくつかの部分に分けようとするやり方です。私はかなりこの方法を使います。(一番厳格な言語感覚ではありませんが)4〜5つの形容詞もしくは特性を選び、その方向性でブレインストーミングをします。
一般的に、アイデアがある時はその定規を決めるところから始めます。P&G 社に新しいトイレットペーパーが無いと言いましょう。それに関連するアイデアを考えようとしている場合は、まず最初にやりたいのは、定規に一般的な想像力をあてはめることです。トイレットペーパーが無かったらどうなりますか? トイレットペーパーがある、もしくはあり過ぎる場合はどうなりますか? 今まで使って一番小さなトイレットペーパーはどんなものですか? いつもトイレットペーパーを使うのは誰でしょう? トイレットペーパー1万ロールを使ったら何ができますか? トイレットペーパーの無い世界はどういう世界でしょう?
私は、何か面白いアイデアが出てくるまで、極端なことを行ったり来たりして考えます。それから、新しいアイデアを元に、この思考プロセスを繰り返します。何かの境界線の外側を探らなければ鳴らないときには、かなり有効な思考の練習になります。
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10 Creative Rituals You Should Steal|99U
Sean Blanda(訳:的野裕子)
Photo by Thinkstock/Getty Images.