冷酷な人物だからといって、奥深い発言をしないとは限りません。それどころか、歴史上の悪名高い人物のなかには、実に含蓄に富んだ言葉を残している人もいます。この記事では、とりわけ洞察に満ちた名言を紹介しましょう。
「言葉は、未踏の領域への架け橋である」
― アドルフ・ヒトラーいつのまにか行き詰まって身動きがとれなくなってしまった経験はありませんか? アイデアや会話に詰まることもあれば、文字通り道に迷うこともあるでしょう。そんな時、頭を柔らかくして視野を広げようと思ったら、言葉を使うのが一番効果的です。言葉は、行ったことのない場所へあなたを連れていったり、友達と友達を結ぶ架け橋になったりと、さまざまな力を発揮します。
その反面、アドルフ・ヒトラーのケースでは、言葉はとても悪意に満ちたおそろしいことに利用されました。とはいえ、文脈から切り離してしまえば、その格言がヒトラーのものかテイラー・スウィフトのものかを見わけるのは、そう簡単ではありません。
「より高みを目指すのをやめた者は、高みにいることはできない」
― オリバー・クロムウェル新しいスキルを身につけようとしている時や、目標に向かって努力している時には、「もうこれで充分」という罠に簡単に陥ってしまうものです。ですが、オリバー・クロムウェルが言っているように、人はみな、より高みを目指してできるだけの努力をしなければなりません。
もちろん、ここで問題なのは、オリバー・クロムウェルの目指した「高み」が、おそらく一般的な方向性とは違っていたことです。クロムウェルは国王を処刑し、5万人にのぼるアイルランドのカトリック教徒を奴隷にしました。ウィンストン・チャーチルも、クロムウェルを「軍事独裁者」と評しています。クロムウェルは一部の人にひどく嫌われ、死後には遺体が処刑されたほどでした。
「他人の決断を批判するよりも、自分の決断を信じるほうが勇気の要ることだ」
― フン族の王アッティラ決断とは、それだけでもたいへんな努力を要するものです。ですが私たちは、他人の決断をぼんやりと支持したり批判したりするだけで、自分の決断によって立つべきだということを忘れてしまいがちです。
この格言は、ウェス・ロバーツ氏が、その著書『アッティラ王が教える究極のリーダーシップ』で、アッティラの言葉として挙げているものです。アッティラはこの格言のとおり、ヨーロッパ征服を目指す断固たる信念、野蛮な群衆をまとめあげて多くの人を虐殺させた強固な指導力、そしてヨーロッパ西部を略奪しようという揺るぎない決意の持ち主でした。
「不可能という文字は愚か者の辞書にしか存在ない」
― ナポレオン・ボナパルト「不可能だ」なんて言葉は、誰も言いたくないでしょう。ですが、まさにそうとしか思えない時もあります。そんな瞬間が訪れたら、ナポレオン・ボナパルトの言葉を思い出す価値があるでしょう。文句を言わずに困難に立ち向かい、ただやるべきことを片づければ良いのです。
ただ、ナポレオンさえも、ブリュメールのクーデターやナポレオン戦争のさなか、そして晩年、ワーテルローの戦いに敗れたあとにセントヘレナ島へ追放された時には、きっと「不可能」という言葉が頭に浮かんだことでしょう。
「真に強い者は、まがいものに対して、それを証明してみせる必要はない」
― チャールズ・マンソンありのままの自分でいるだけでもなかなか大変なことですが、誰かに疑問の目を向けられると、人生はさらに厳しいものになります。信者を次々に洗脳したカルト指導者のチャールズ・マンソンの言葉は、最強の者はその強さを証明する必要などないということを、私たちに教えてくれています。
すっかり落ちこんでしまっている時や、どうすれば良い印象を与えられるのか不安な時、あるいは、はっきりものを言って相手の気を悪くするのが怖い時には、チャールズ・マンソンの言葉を思い出すと良いでしょう。
「私の信じるものはただひとつ、人間の意志の力だけだ」
― ヨシフ・スターリンちょっと弱気になっている時には、人生の大目標を達成するなんて不可能だと考えてしまいがちです。ですが、歴史のなかには、それよりもずっと大きな目標を達成した人たちがいます。人間の意志は、実に強い力を持っているのです。
ヨシフ・スターリンの場合、その意志の力でソビエト連邦の独裁者となり、何百万もの人の殺害を命じ、革命の指揮をとりました。それに比べれば、プログラミングを覚えるなんて難しくないでしょう?
「最低でも1日1回賭けをするべきだ。そうでないと、幸運がすぐ近くにあっても、それに気づくことができない」
― ジム・ジョーンズリスクを嫌う人は多いでしょう。それは必ずしも悪いことではありませんが、多くのものを逃してしまう可能性もあります。時々は殻を破って、1歩を踏み出してみる価値はあるでしょう。カルト教団の教祖で、信者を集団自殺に導いたジム・ジョーンズによれば、それは1日1回の賭けごとを意味します。
ジョーンズのしたことを考えれば、彼が何を賭けたのかなんて、想像したくもありませんが。
「われわれの前にこの地球上にいた無数の人々も、同じ経験をしてきた。だからこれは、誰もが共有している体験なのだ」
― テッド・バンディ「どうして私ばっかりこんな目にあうの?」と考えてしまうことはありませんか? ですが、いずれあなたも気づくはずですが、あなただけに起きることなんてほとんどありません。たいていの場合、別の誰かが、同じ状況で同じような経験をしているものです。そんな風に考えれば、つらい1日を乗り越える力が湧いてくるはずです。
死刑執行前の最後の面会でこの格言を残したシリアルキラーのテッド・バンディにも、きっと同じことが当てはまったでしょう。
「羊として100年生きるくらいなら、ライオンとして1日だけ生きるほうが良い」
― ベニート・ムッソリーニ今日はなんだかやる気が出ないと感じているなら、イタリアのファシスト党の独裁者、ベニート・ムッソリーニの格言を思い出せば、元気が出るかもしれません。落ちこんだままじっと座って、上司に蹴とばされるのを待つくらいなら、立ち上がって1日に立ち向かいましょう。
ムッソリーニがライオンとして生きたことは、誰もが知っています。なにしろ、第二次大戦に敗れたあと、イタリアから逃亡しようとしていたところを国民に見つかって処刑された時にも、堂々と立っていたくらいですから。
「酒は飲むな、タバコは吸うな、運動をして、野菜と果物を食べよ」
― ロバート・ムガベこの最後の格言は、これまで紹介してきたものに比べれば、それほど深遠なものではありません。でも、一番具体的なのはたしかです。いつまでも健康でいるための秘訣は、実はこんなに簡単なことなのです――「野菜を食べて、運動をしなさい」。ジンバブエの独裁者ロバート・ムガベの言葉に従って生きれば、あなたも、より良い人生を送れるでしょう。
Thorin Klosowski(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
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